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見城徹

1977年1月、中上健次の運転でロスアンゼルスからメキシコのティファナに向かった。途中サンディエゴのラホヤの海に面したイタリアンでランチをして、街を散策した。初めて見る西海岸の高級リゾート地は夢のような世界だった。サンディエゴは時間がゆっくりと流れ、暖かい日差しを浴びて沢山の人がランニングをしていた。それがジョキングというライフスタイルだとこの時に知った。メキシコとの国境を越えると豊かさから貧しさへ道も風景も一変した。夜のティファナは汚くて臭くて混沌とした街だったがエネルギーに溢れていた。中上健次はティファナを大いに気に入り、メキシカンたちと肩を組んでテキーラを飲んだ。40年前の新宮、ソウル、ティファナ。中上健次はその3つの場所によく似合った。

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