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サボテンのトーク
トーク情報
  • 🐱しまじろう(別名 あしゅじろう)💕
    🐱しまじろう(別名 あしゅじろう)💕

     シニアの皆さん、最近胸をときめかせることありますか。若者と交流していますか。この命題を一挙に解決できるイベントがあります。そう、アイドルのライブを見に行くこと。40歳、50歳の年の差なんて、愛があれば乗り越えられる。67歳ライターも「乃木坂」デビューしました。

     神宮球場、8月30日午後4時。

     67歳の私は胸の高鳴りを抑えられなかった。

     目の前にはアイドルグループ乃木坂46のグッズが並ぶ。あと2時間でライブが始まる。そして私が観客デビューするのだ。

     やきもきさせられた台風が一山越えた会場前は、グッズを求める若者たちが幾重もの列をなす。シニアの私は、ふつうだったら身の置き所がないはず。だが不審者扱いの視線を受けても負けないぞという決意に満ちていた。

     なぜなら初めてのアイドルライブ参加は、ファンの若者たちが背中を押してくれて踏み出せたからだ。

     乃木坂46の名前は知っていたが、かわいい少女たちという印象しかなかった。ある日家でボーッとテレビの音楽番組を見ていたとき、彼女たちの新曲「君の名は希望」が流れた。ピアノソロのイントロで始まった曲を聴いているうちに不意に涙ぐんでしまった。

     存在感がなく孤独な少年。転がってきたボールを無視したが、拾うまで待っている少女がいた。その瞬間彼が否定していた世界が美しく輝き始めるという歌詞だった。

     若いときひとりですねていた時期があった。そんな私を理解し、日差しの中に引っ張り出してくれた友がいた。その思い出がこの歌に激しく共鳴した。

     その日から私の修行僧のような研鑽(けんさん)?が始まった。彼女たちのCDを聴き、DVDや出演番組を見て公式ホームページをチェックし、YouTubeを検索することが日課に。彼女たちとその曲の魅力にどんどんハマってしまった。乃木坂46の楽曲はシニアが昔聴いた青春歌謡やオールディーズのようなものがけっこうあるうえに、ピアノや弦を多用していて耳に心地いい。
    乃木坂46は先行するAKB48のライバルとして結成された。屈託ない笑顔だが中高時代に不登校やいじめの経験者もいる。今日最前列で歌っていても明日は後列に置かれるリスクがある。人生で波風受け続けた中高年には心に響く話のはず。応援するっきゃない。

    在宅ファンとなって3年。今年になって生の乃木坂46を見たい気持ちが抑えられなくなった。しかし、いくら「逢いたさ見たさに怖さを忘れ」といっても、じいさんがアイドルライブに行って若者にじゃけんにされたらダメージは大きい。悩みに悩んで思いついたのが乃木坂ファンが集うサイトにアクセスして直接問いかけることだった。

     血圧高めの67歳と正直に明かすとともに、どんな曲が好きでどれほど乃木坂46が好きかを熱意を込めて書き込んで投稿した。

     すると「年齢なんか関係ないです」との返信がたくさん寄せられた。すっかり気をよくしてライブについていろいろ質問すると、持参する物からなにから、イチから教えてくれた。

    「ライブ中じっとしているとお地蔵さんって言われますからサイリウム(色を切り替えられるペンライト)振ったほうがいいですよ」

     シニアの悩みのトイレの問題にも、

    「曲が終わったときに行けばいいです、次の曲が終わるまで通路で待機になりますけど混みませんから」

     とていねい。

     なんて素敵な若者たちだ。たくさんの人に乃木坂46を応援してほしいという気持ちをリスペクト。

     さていよいよ入場だ。入り口が指定されているので間違えないように緊張して行列に加わる。簡単な手荷物検査とチケットの照合があり席へ。私は三塁側のスタンド。高さは中間点くらいでステージとその先の大型モニターが両方見える。メンバーの顔が肉眼で見えなくてもモニターで確認できるのがいい。

     そわそわしているうちについに開演時間。前奏曲が響き期待感が球場全体に膨れ上がる。3日間のライブ最終日で初めて青空が広がる。天気にあわせて急きょ決まったかのように最初の曲として「何度目の青空か?」が流れる。パフォーマンスするメンバーに向かって、ファンが振るサイリウムがカラフルに発光し続けている。3万5千人を収容した神宮球場は蛍が群れ飛ぶ池と化した。
    ところで、今回ライブ参加を決意したもののネックはチケット購入だった。レッド・ツェッペリンの初来日でアリーナ席をプレイガイドですんなり買えた時代もあったのになあ、としみじみ思い返すが、いまや人気グループのチケットは発売後瞬殺売り切れというのは常識。

     たどり着いたのがチケット売買サイト。余ったチケットを出品するオークションサイトだ。売りたいチケットの一覧が表示され、価格や日程が自分の希望と合えばサイトを通じて売りたい人に申し込む。

     利益目的の転売を防ぐためにチケットの持参者が最初のチケット購入者かどうか抜き打ちチェックがある。だからチケットを売ってくれた人と一緒に入場するのがベスト。私は関東近県に住む男性から購入し、会場で待ち合わせて一緒に入場した。彼はサラリーマンで有休を乃木坂46のライブに使っているという。

     思い切り至福の時間にひたっているうちあっという間に時間が過ぎ、ライブは終盤を迎えていた。

     突然花火が上がり、地響きのような観客の歓声。私もサイリウムを振りながら若いファンといっしょに光と音の渦の中で、「本当に来てよかった、ありがとう」と背中を押してくれたファンたちに心から感謝していた。メンバーと同世代でずっと私に「パパ、キモい!」と言っていたのにライブ参加が決まると「夢がかなったね」と言ってくれた娘にもサンクス。

     まさに「太陽ノック」の歌詞「未来とは今が入り口」。思い切って入り口をくぐったら優しいファンが待っていた。

     かつて南沙織や麻丘めぐみに夢中になった世代だからこそ、アイドルライブを楽しむのはありじゃないですか。隠れ乃木坂46ファンのあなた、カミングアウトしましょうよ。みんなが参加すれば「女性席」「親子席」に次いで「シニア席」だって用意してくれるかもしれない、お願い秋元さん!

     最後に乃木坂46のみなさん、感動のライブをありがとう。また行きま~す。(土肥慎也)