ログイン
詳細
吉田真悟

檄文 後半より 銘記せよ! 実はこの昭和四十四年十月二十一日という日は、自衛隊にとっては悲劇の日だった。創立以来二十年に亘って、憲法改正を待ちこがれてきた自衛隊にとって、決定的にその希望が裏切られ、憲法改正は政治的プログラムから除外され、相共に議会主義政党を主張する自民党と共産党が、非議会主義的方法の可能性を晴れ晴れと払拭した日だった。論理的に正に、この日を境にして、それまで憲法の私生児であつた自衛隊は、「護憲の軍隊」として認知されたのである。これ以上のパラドックスがあろうか。  われわれはこの日以後の自衛隊に一刻一刻注視した。われわれが夢みていたように、もし自衛隊に武士の魂が残っているならば、どうしてこの事態を黙視しえよう。自らを否定するものを守るとは、何たる論理的矛盾であろう。男であれば、男の衿がどうしてこれを容認しえよう。我慢に我慢を重ねても、守るべき最後の一線をこえれば、決然起ち上るのが男であり武士である。われわれはひたすら耳をすました。しかし自衛隊のどこからも、「自らを否定する憲法を守れ」という屈辱的な命令に対する、男子の声はきこえては来なかった。かくなる上は、自らの力を自覚して、国の論理の歪みを正すほかに道はないことがわかっているのに、自衛隊は声を奪われたカナリヤのように黙ったままだった。  われわれは悲しみ、怒り、ついには憤激した。諸官は任務を与えられなければ何もできぬという。しかし諸官に与えられる任務は、悲しいかな、最終的には日本からは来ないのだ。シヴィリアン・コントロールが民主的軍隊の本姿である、という。しかし英米のシヴィリアン・コントロールは、軍政に関する財政上のコントロールである。日本のように人事権まで奪はれて去勢され、変節常なき政治家に操られ、党利党略に利用されることではない。  この上、政治家のうれしがらせに乗り、より深い自己欺瞞と自己冒涜の道を歩もうとする自衛隊は魂が腐ったのか。武士の魂はどこへ行ったのだ。魂の死んだ巨大な武器庫になって、どこかへ行こうとするのか。繊維交渉に当っては自民党を売国奴呼ばはりした繊維業者もあったのに、国家百年の大計にかかわる核停条約は、あたかもかつての五・五・三の不平等条約の再現であることが明らかであるにもかかわらず、抗議して腹を切るジエネラル一人、自衛隊からは出なかった。  沖縄返還とは何か? 本土の防衛責任とは何か? アメリカは真の日本の自主的軍隊が日本の国土を守ることを喜ばないのは自明である。あと二年の内に自主性を回復せねば、左派のいう如く、自衛隊は永遠にアメリカの傭兵として終るであらう。  われわれは四年待った。最後の一年は熱烈に待った。もう待てぬ。自ら冒涜する者を待つわけには行かぬ。しかしあと三十分、最後の三十分待とう。共に起って義のために共に死ぬのだ。日本を日本の真姿に戻して、そこで死ぬのだ。生命尊重のみで、魂は死んでもよいのか。生命以上の価値なくして何の軍隊だ。今こそわれわれは生命尊重以上の価値の所在を諸君の目に見せてやる。それは自由でも民主主義でもない。日本だ。われわれの愛する歴史と伝統の国、日本だ。これを骨抜きにしてしまった憲法に体をぶつけて死ぬ奴はいないのか。もしいれば、今からでも共に起ち、共に死のう。われわれは至純の魂を持つ諸君が、一個の男子、真の武士として蘇えることを熱望するあまり、この挙に出たのである。  三島由紀夫

前へ次へ
前略 見城先生
トーク情報
  • 吉田真悟
    吉田真悟

    死ぬまでに一度は行ってみたいところに、スコットランドのアイラ島があります。ウイスキーの聖地ですな。その中で一番好きな蒸留所がアードベック😊なのです。
    どんなに酔っていても飲むと目が醒める。それだけ個性的で「煙り臭い」のですが慣れると癖になる。
    私が飲む様になったのは10年前ぐらいからで、アードベック10とウィービースティが多いので、このような希少な瓶は眼福でござる。

    秋元康さんの匂いがしました。

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    しかし先生の飲まれるワインの方の希少さには敵わないでしょうけれど😆3時すぎなのに目が覚めました

  • 吉田真悟
    吉田真悟
    投稿画像

    アイラ島で作れるウィスキー(スコッチ・ウイスキー)は「アイラ・モルト」として知られ、ピート(泥炭)によるスモーキーさが特徴である。
    2016年現在では8つの蒸留所があり、島の南部の蒸留所、東から順にカリラ(Caol Ila)、アードベック(Ardbeg)、ラガヴーリン(Lagavulin)、ラフロイグ(Laphroaig)では強烈なピートの香りのウィスキーが製造されている。島の北側ではボウモア、ブルックラディ(Bruichladdich)、ブナハーヴン(Bunnahabhain)、キルホーマン(英語版)(Kilchoman)が生産されている。ブナハーヴン、ブルックラディのウィスキーはノンピートであるが、キルホーマンとブルックラディで生産されるポート・シャーロット、オクトモアと呼ばれる3種のウィスキーはやはり強烈なピート香を持っている。やはり強いピート香をもつポート・エレンは1983年に閉鎖され、現在は建物の一部が残るのみで、現在は隣接のモルト製造所(モルトスター)のみが操業を続けている。