桃井 さつき桃井 さつき2015年12月18日 23:148月15日の午後12時半くらいのこと天気がいい 病気になりそうなほど眩しい日差しの中することも無いから君と駄弁っていた 「でも、まぁ夏は嫌いかな」猫を撫でながら君はふてぶてしく呟いた あぁ逃げ出した猫のあとを追いかけて飛び込んでしまったのは赤に変わった信号機 バッと通ったトラックが君を轢きずって鳴き叫ぶ 血飛沫の色君の香りと混ざり合ってむせ返った 嘘みたいな陽炎が「嘘じゃないぞ」って嗤ってる 夏の水色掻き回すような蝉の音に全て眩んだ 目を覚ました時計の針が鳴り響くベッドで今は何時? 8月14日の午前12過ぎ位を指すやけに煩い蝉の声覚えていた でもさぁ少し不思議だな同じ公園で昨日見た夢を思い出した 「もう今日は帰ろうか」道を抜けたとき周りの人は皆上を見上げ口を開けていた 落下してきた鉄柱が君を貫いて突き刺さる 劈く悲鳴と風鈴の音が木々の隙間で空回り ワザとらしい陽炎が「夢じゃないぞ」って嗤ってる 眩む視界に君の横顔笑ってるような気がした 何度世界が眩んでも陽炎が嗤って奪い去る 繰り返して何十年もうとっくに気が付いていたろ こんなよくある話なら結末はきっと一つだけ 繰り返した夏の日の向こう バッと押し退け飛び込んだ瞬間トラックにぶち当たる 血飛沫の色君の瞳と軋む体に乱反射して 文句ありげな陽炎に「ざまぁみろよ」って笑ったら 実によくある夏の日のことそんななにかがここで終わった 目を覚ました8月14日のベッドの上少女はただ 「またダメだったよ」と一人猫を抱き抱えてた