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  • ★知★
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    臣知 R指定4

    「どうゆう事か説明しろよ」「………は?」
    「何で、あんなモン送りつけてきた」「………」
    「答えろ」「……なに上から目線な訳」
    「答えろよっ‼︎」「怒鳴るなよっ‼︎」
    「女子供には手挙げる趣味は無えんだよ、正直に話せクソガキ」
    「……臣、アタシ幾つになったか判る?そんな事も憶えてないの……?
    あんなに人の身体、弄んどいてなんなの?急にもう会わないって、アノ女のせいなの?!」
    「聞いてるのはコッチだ、何でこんな事した」
    「コッチだって聞きたいよ!何でお姉ちゃんじゃ無いの⁉︎私は……お姉ちゃんと、お姉ちゃんと付き合うならって身を引いたんだよ?」
    「……あの人には、……直己さんがいるだろ………」

    バサッ
    「………!?…知」

    「……ごめんなさい、聞くつもりは無かったの、臣が居ると思って…私」
    「……アンタのせいよ……」
    「………やめろ」
    「アンタがアタシから臣を奪って滅茶苦茶にしたんだ!」
    「黙れって‼︎」

    声を出す事も、身動き一つ取る事も出きなかった
    目の前で臣が女性に手を挙げた

    あんな怖い顔の臣を初めて見た
    彼女は涙一つ見せずに臣を睨み返してから部屋を出て行った
    「鍵を置いていけ」

    ガシャン
    臣の左頬に、鍵が投げつけられぶつかる
    私はまだ動けなかった


    「………嫌になったか、俺の事……知」
    「触らないで…!」
    「知っ……そんな目で見んなよ」
    「……嫌っ」

    乱暴に抱きしめられて急に身体に自由が戻る
    臣を叩こうとして腕を取られて今度は臣に動けなくされてしまった

    口の中に無理矢理舌を捻じ込まれ、息が出来なくなる
    今までこんな無理矢理に求めてくる事は無かった
    「……知、ごめんな、ごめんな許してくれなんて言う資格は俺無いから……」

    臣が泣いている、私も泣いている

    今度は私から強く抱きしめた、左頬が痛々しく赤くなっている
    腕を背中にまわして上着を剥ぎ取られ
    されるがままに絡み合いながらソファーに横たわる
    「信じなくてイイ、でも聞いてくれ、俺には知しか居ない、今だって知が欲しい」
    「臣……私を、臣が滅茶苦茶にして、今日の事を忘れるくらいに、私を壊して…」
    「知っ」

    臣の汗が私の汗と混じり合う、臣の吐息が漏れる
    太ももに這う臣の指に力が入る、激しく臣が私の上で揺れ動く
    私も堪えもせずに、感じたままの吐息を漏らすと臣が微かに微笑む
    臣に壊されていく、身も心も、もう中毒末期症状だ

    臣が私の中で、一層大きくなる
    「………臣っ」「あぁ……」
    気が遠くなっていく………


    つづく

  • ★知★
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    臣知 R指定5(限定解除)


    忘れようと思っても、アノ臣の顔が脳裏に焼き付いてる
    彼女に手を挙げた時の、あの形相

    私の知らない、広臣

    臣と出逢ったのは桜が満開を迎えた頃
    会社の花見の帰りに、夜の公園で一人桜の木の下でうずくまってた

    「……あの、大丈夫ですか?怪我したとか?」
    「……別に何でもないよ」
    泣いてるじゃない、この人。それに顔が……誰かに殴られたみたいに腫れてるし
    「なに、お姉さん心配してくれんの?酔っ払いの?やっさし〜ねぇ〜」
    なんか絡んでくるし、声掛けない方が良かったかなぁ……

    「そんな所に酔っ払って寝てたら風邪引くし、怪我、してるでしょ、立てるの?」
    「……手ぇかして!立てない」「……ほら」
    思った以上にボロボロみたいね、でもほっといたら危ないわよね、やっぱり
    「タクシー拾ってあげるから、帰れる?自分で」
    「……お姉さん家、連れて帰ってよ」「……はぁ?」
    「お姉さん、よかったら俺を拾ってくれませんか〜」
    それ、どっかで聞いた様な……
    「でも、俺は躾けがねぇし、見た通りヨッパでぇ、主人噛んじゃうかもしれないねぇ〜」
    ほんっと、酔っ払い。でもよく見るとどっかで見た様な………イケメンだよね彼

    「……俺、今すっげー寂しい気分な訳、ねぇ一緒に飲もうよ〜〜」
    「もう、仕方ないなぁ……」
    私も子供じゃ無いし、こんなに酔ってたら襲いはして来ないだろう、連れて帰るか

    私の部屋に着くなり、喉乾いたって言うからソファーに寝かせて冷蔵庫に
    ミネラルウォーターを取りに行ったらもうソファーで寝息を立ててた
    傷だらけの顔で、涙の跡がついてる。それでも綺麗な寝顔に思えた
    まるで天界から堕ちてきた堕天使

    毛布を掛けて、おやすみって彼に小さく囁いた

    朝、キッチンの物音で目が覚めた、あ、起きたのかな?
    鏡で自分の姿をチェックする、乱れてはいないし、鞄もここに昨日の状態で在る

    「……おはよう」「……あぁ、アンタが俺を拾った人か、ふ〜ん」
    「憶えてるの?」「あ、憶えてるよ、なんか物好きな人が俺に声掛けて来たーって」
    「ひどい言い方ね、一言お礼の一つでも言えないの?顔洗ったら出てって貰える?」
    「……わるい、アンタに当たっても仕方ないよな、悪かったよ」
    「……何が有ったか知らないけど、あんな所で酔っ払って寝てたら凍死しちゃうし、
    変な人とかに絡まれたりしたらどうするの、それにもっと自分を大事にしなきゃ!」
    「………アンタ見るからにお人好しだな……でもサンキューな」
    じゃあって、出てこうとして「ご飯くらい食べて行けば」って引き止めた

    だって、ひどく切ない顔で笑うんだもん

    それから暫く経って、玄関のアプローチのなかに彼が座り込んで待ってた
    「良かった、会えて。もっかいちゃんとお礼言っとかなきゃって思ってさ」
    なんだ、良い子じゃない
    「……でさ、飯食わせてくんねぇ?」「……はぁ?」
    「お姉さんの飯、俺の胃袋ガッチリ掴んじゃってさ、又食べたい…駄目?」

    歳下のイケメンにこんな事言われた事無いし、ちょっとドキドキちゃった
    部屋に入って彼が、サングラスと帽子を取った

    「……え、嘘アナタ……三代目J soul…」「しっ」
    「ねぇ、俺と付き合わない」

    それから臣は私の臣になった

    つづく

  • ★知★
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    臣知 R指定6(限定解除)


    あの日からの臣は私に気遣う様に優しく穏やかに接して来る
    でも、何処かフィルタが掛かったような笑顔にみえるのはどうして……

    何も無かったように毎日は過ぎて行く
    TVから流れる臣の歌声が切なく聴こえる

    あの二人もきっと傷付け合いながらも愛し合っていたんだろう、
    それは二人にしか判らない事だから
    聞きたくないし、知りたくないと思う

    知ってしまったら、きっと嫉妬に荒れ狂う自分が出てきそうで怖い
    それにあの二人は雰囲気が似ていた、同じ空気感で生きてきた様な……


    「今日も来るだろ、知?チョット遅くなるカモだから眠たくなったら寝てていいカンナ、
    その代わり襲っちゃっても怒るなよ」何時もの臣が少しずつ戻って来てる


    臣の部屋のベットは広くて、気持ちいい肌触りのシーツとシックなカバー
    情熱的な臣のチョイスでコーディネイトされている
    ベットに一人で入ると広くてチョットだけ寂しい気分になる
    「………臣の匂いがするぅ………」この匂いが私の脳内麻薬だ

    さて、やっぱり遅いみたいだしシャワーでも浴びてこっかな

    ん、なんだか外が騒がしい気が………こんな時間に誰だろう
    玄関まで言って覗き窓から外を伺う、誰も見えない
    でも………言い争ってる様な声が………
    臣の………声⁉︎

    まただ、気持ちがざわめく

    「もう二度と来んなっつったろ!」
    「臣、ダメなんだよ私だって臣が居なきゃダメなんだよ!」
    「終わった事何時までも引き摺るなな、俺が居なくても生きてける女になれよ」
    「嫌だ、臣が居なきゃ私は絵も描けない、感じる事もできない……」
    非常階段で二人が言い争っているのをあの日の様に私はただ見ていた
    耳だけが研ぎ澄まされた様になるのに、身体は動かない

    「あの人と別れてよ、臣、ねぇ臣、私の方が臣の事全部しってるから、あの人より私の方が臣を気持ちよくさせてあげるから、だから臣……」


    彼女が臣に抱きつこうとした時、臣が彼女の手を振り払った
    その勢いで彼女がバランスを崩しフラフラと背後へ倒れそうになる

    何故だろう、気が付いたら私は走ってた。臣と彼女の方へ

    「危ない‼︎」

    彼女の身体を支えながら身体を入れ替えると、私は彼女をおみの方へ突き飛ばした

    スローモーションで、2人の、顔が、遠ざかって、行く………

    バサッ…………



    「知っ、知っ、おいって、なぁ知ッ、やだよ………」
    臣が…………泣いて………る………の…………
    「ともーーーーーーーっ!!!!」


    つづく

  • ★知★
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    臣知 R指定7(限定解除)


    おみ………お……み………行か……ないで………


    臣が私を置いて、彼女の元へ行ってしまった
    楽しそうに話してる、そんな顔して笑うんだね、臣
    ゴメンね、彼女さん。私さえ臣と出逢わなかったら、あの日、出逢わなかったら


    誰も傷付かずに済んだかもしれないのにね………


    ……………と……も………と………も………


    誰が呼んでるの………?私の………事………?


    ……………と……も………かえっ………て………こ、い、………


    ………わた、し………かえっ、て………いい………の………?


    わた……し………帰る、ところ………ある…………の………?


    「知‼︎ともっ、気が付いたのか⁉︎知‼︎」
    お……み………

    「知、帰って来い、俺の所に帰って来いよ、嫌だよ、目を覚ませよ、知っ!」
    お……み………泣いて………る……の……?

    「俺を置いて行くな!俺を、俺を一人にするな……頼むから………」
    お…み……おみ………

    「知さん………ゴメンなさい……ゴメンなさい………」
    あぁ………よかっ………た………あなた……ぶ、じ……だっ……たの……ね……

    「知さん、許して欲しいからっ、謝りたいから、臣の元に帰って来て!お願い!」
    「………知っ、知っ、聞こえるか、なぁ、知っ、頼むよ………」


    私は三日間意識不明の重体だったそうだ


    「ですので、精密検査の結果は今の所大丈夫ですが、何せ頭部を強打した事も
    有りますので右腕の骨折のリハビリも兼ねて、暫くは経過観察入院をして頂きます」

    臣が私の入院に付き添う訳も行かず、周りにも詳細は話さずに一人で入院生活を過ごした
    時々、元カノさんがお見舞いにやって来てくれたので昼間は退屈もしていない
    少しずつだけど、元カノさんとの誤解を解決していけた事が一番の収穫かもしれない

    「知さん、本当にゴメンなさい。もう、二度と臣の前には現れないから、周りが
    見えなさすぎてどうかしてました。臣の……臣の事、ううん、臣と幸せになって、絶対」
    そう、ありがとう。本当に悪い人間なんて世の中には居ないよね
    本当はすごくいい子なんでしょうね、臣と同じで不器用なだけなのよね、きっと

    夜になると臣も時間があれば、コソッと病室に顔を出す

    「………だいぶ、顔色が良くなってきたな、知……」
    「もう、久々の素っぴん生活で、顔見られるの恥ずかしいんですけど!」
    「……知はそのままで綺麗だよ。化粧してないのも新鮮でイイヨ」
    「……え〜、ほんとに?気を使ってるでしょ〜」

    嘘じゃねぇよ、そう言って臣は私にキスをした

    「………ヤバい、早く退院出来るように頑張ってくれねぇと、俺ガマンできねぇよ」
    相変わらずの臣が帰って来た
    私は、臣の元に、帰って来れた。臣、いつまでも側に居てね


    つづく

  • ★知★
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    臣知 R指定8


    「知、洗い物なんてほっときゃイイから、ほらっ、寝ろ、もう」
    「だってぇ〜臣コップ適当に洗うじゃない!」
    「わーったって、やるよ隅々までちゃんと洗います!」


    明日は知を隅々まで洗っちゃうかんな!
    又、バカな事言わないでよね、余計眠れなくなるじゃないの………(照)


    退院してから臣のマンションで暮らし始めた
    最初は反対したけど、臣が引き下がらなかった


    俺の事より、お前になんか有ったら俺が困るんだよ知は、無茶すっから
    お前は何も気にすんな、知、側に居てくれよ


    仕事で何日か家を空ける時は朝晩電話を掛けてくる
    以前と逆転した生活が私を穏やかに回復させて行った


    「知、こっちを見て、俺の事ちゃんと見て」両手も身体も臣と繋がっている
    「……臣しか見てないよ私、臣に出逢えて良かった…私」もっと深く奥まで繋がる
    唇を重ねたら、熱い吐息を混ぜ合う

    指を絡めて肌の温もりを確かめ合うようにお互いを求め合う
    「知、感じすぎて倒れるなよ」「助けてくれるんでしょう臣が、何も心配して無いわ」
    俺が側にいる、そんな囁きが私を絶頂へと昇り上がらせる


    「じゃあ、行って来るから、何かあったらスグ連絡よこすんだぞ」
    「うん、判ってるよ、臣、そっちも気を付けてね、着いたら教えてね」
    右手で私の髪をかきあげると顔を近づけてキスをする

    「知、愛してるよ」

    それが、私の聞いた臣の、最後の声だった



    「退院前の検査では見つからなかった動脈瘤が再検査の結果見つかりました」
    臣が帰って来た時に、既に私は倒れて数時間が経過していた
    テーブルの上でまだスープは温もりを残していた


    意識不明の昏睡状態になってしまった私を彼はそれでも愛してくれた
    広臣はずっと、私の側に居る約束を守ってくれている


    時間が有れば病室に来て、優しく頬を撫でてくれる、
    身体を拭いて、髪もとかしてくれるし、時々口紅もつけてくれる


    「知、綺麗だよ、俺の声が聞こえてるか………知、声が聞きたいよ俺」
    私の頬に臣の涙が落ちてくる、暖かい涙粒がダイヤモンドみたいに煌る


    お前が、目を覚ますまで俺は待ってるから


    つづく

  • ★知★
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    臣知 R指定9(限定解除)


    深い深い森の中に居るみたい ここは何処なの?もうひとりは嫌………
    誰を探して 彷徨ってるの 私 疲れたの もうこれ以上寂しい想いは嫌………


    「臣、大丈夫なの」「………見ての通り」
    「………大分やつれてる、まぁ当たり前か。妹も心配してるよ、臣も知さんの事も」
    「アイツ元気でやってんの?」「んー、フランスだから声しか聞いてないけど元気そうよ」
    「………そっか、なら良かった。知も心配してたからさ、アイツの事」
    「知さん、良い人だもんね、臣には勿体無い位の」「………ああ」
    「……なに、何時もみたいに、るっせ!とか、はぁ?とか言わないのね」
    「知は、……俺には勿体無いくらいの、いい女なんだよ……実際」
    「そうね……臣がこんな、一年半も看病してる位だもんね、臣が尽くすなんて思わなかった」
    「………るっせ……」


    早く目覚めると良いわね、臣も無理し過ぎないでね。
    そう言ってアイツの姉ちゃんは帰って行った


    知は一年半、昏睡状態のまま意識が戻らない



    「とーもー、ただいまぁ〜腹減ったよぉ、何か食うもん…………!……知⁉︎」
    知がダイニングテーブルの下で倒れていた、まるで眠り込むように綺麗な顔で

    「知!おいっ!嘘だろ!……さっき電話で話してたじゃんか……おい、おいって!」
    思い出すだけでゾッとする。知を失う怖さが全身に降りかかってきた

    なり振り構わず救急車を呼んで病院に向かった
    多分あの時の俺の顔は凄い表情だったのか、誰ひとり気付かれる事が無かったみたいだ

    あれから俺は知が目覚めるのをずっと側で見守っている
    いつか目覚めると信じる事位しか、俺には出来ないから



    今日は仕事で時間が遅くなった。最近、疲れが抜けない様な気がする
    まぁ、自分でもビックリする程、忙しく仕事をこなして心を誤魔化してきた
    「知……来たぞ……?!………え?」



    「………あなた……だぁれ?」



    其処には、…………知がベットにもたれ、笑顔で佇んでいた


    「長い期間、昏睡状態にあった為の一時的な記憶障害と思われます。まだ精密検査の結果次第ですが、動脈瘤が今どの様な状態に有るかもですので、まだ油断出来ない状況には変わりありませんので、大変かと思いますが……」


    「……俺は、広臣って言うんだ。あんたは知、判る?」
    「……ひろ……お、み?……かわいい、な、まえ、ね」
    「……俺は、知は、……おれの大切な人なんだよ」
    「たい、せつ、……なひ、と?」
    「ああ、知が目覚めるのを待ってたんだ、此処でずっと」
    「……わたし、ねむって、……たの?」
    「うん、……白雪姫の様に。目覚めないか、何度もキスをしたよ、知に」
    「……ふふ、あな、たが、わたしに、?どう、し、て?」
    「………愛してるからだよ、知の事を……」


    知は、帰って来た。何も知らない少女の心を纏って、俺の知らない知になって


    つづく

  • ★知★
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    臣知 R指定(限定解除)10 ラストエンディング


    知は意識を取り戻したものの、一時的な記憶障害と1年半の寝たきり生活で歩行が
    まだ困難な生活だった。そして、知に宿ったのはまるで少女のような知だった

    「ヒロオミ、あれ見て綺麗な色」「うん、知の好きな色だね」
    「ふふ、ヒロオミは私の事何でも知ってるの?」「……そうかもな」
    知ってるさ、お前の好きな色、お気に入りの曲、一番減りの早い口紅、それに……
    何処にホクロがあって、何処が感じて、どうしてほしいのか………

    車椅子を押して病院の裏庭を散歩するのが知の今の一番の楽しみ
    こんなに無邪気な知を見てると、エロい事考えてる俺が罪悪感を感じる、チェ

    神様は、俺に何の天罰だか、試練だかを与えてんだよ


    知の歩行リハビリが始まって、少しずつ歩けるようになって来た
    「知、ほらっ足元気をつけて、その先に階段あるからどうすっか?」
    「うーん、階段?降りたら売店が有る所?行きタァい、プリン食べた〜い」
    はいはい、まったく。記憶戻ったら覚えとけよ、ったく

    階段の踊り場まで来ると突然、知が足を止めた
    「……ん?どうした知」「………ヒロオミ、………怖い」
    後退りを始めて転びかける「知!危ない!」
    「やだ……やだ、怖いよ。ここ、いやっ!ヒロ、オ……ミ……」
    「知、大丈夫か⁉︎知っ‼︎」

    知は、階段の踊り場で意識を失った

    「記憶の一片が戻りつつ有るフラッシュバックの可能性が有ります」
    知は熱を出して寝込んでしまった。タイミング悪く明日から仕事で暫く来れない

    「知、大丈夫、すぐに熱は下がるからな、心配するな、な」
    俺が内心すごく心配になっていて、自分に言い聞かせる様に知をなだめる
    「ヒロオミは今度いつ来るの……?」「二日後に仕事終わったらすぐに飛んでくるから」
    「ヒロオミは空を飛べるの?」「はは、空は飛べねぇな、すぐ来るから、必ず来るから」
    知の髪を撫で、眠りに着くまで歌を歌った


    🎵unfair world

    貴方だけは 信じてる 呟いて君は目をそらす
    何を見ているのと僕が問いかけたなら 星を見てる そう言った
    今日も忙しい 裏切りの街では 夜空に星なんて見えなくて
    ビルの上の航空障害灯が 点滅するだけなのに

    泣いていいんだよ この腕の中 疲れ果てて眠るくらい泣けばいいさ
    その悲しみに 触れられない僕は ただ君を抱きしめていよう
    人は誰しも 光と影が 交差する世界の果ての迷える旅人
    色褪せてる朝日昇るまで 一緒に眠りに就こう in unfair world

    明日はどんな嘘が君を きずつけるのだろう
    その傷は僕がきっと 塞いでみせるんだ
    明日はどんな闇が君を 苦しめてしまうんだろう
    君を照らすんだ cry for your love

    泣いていいんだよ この腕の中 疲れ果てて眠るくらい泣けばいいさ
    その悲しみに 触れられない僕は ただ君を抱きしめていよう
    人は誰しも 光と影が 交差する世界の果ての迷える旅人
    色褪せてる朝日昇るまで 一緒に眠りに就こう in unfair world



    遅くなっちまった、知が心配してるかも……急がなきゃ……「危なっ……!」
    気が付いた時には、目の前に車が……


    「知ちゃん、そんなに泣いてたら彼氏さん来た時に目が腫れちゃうよ、ほらっ
    もう泣くのはやめようね、知ちゃん、ね」
    「………ヒロオミ、来ない……私の所に来ないの?もう来ないの?」
    困ったわね、知ちゃんは泣き止まないし、救急は忙しいし……


    「……ヒロオミ…?」
    「………知……遅くなってゴメンな。ちゃんと来ただろ?約束したかんな……」
    「うん、お利口さんにして待ってたよ」嘘つけ……目ぇ真っ赤に腫れてんじゃん
    看護婦さんきっと困らせたんだろ………

    「もう遅いから寝るじかんだろ?今日は俺が横で添い寝してやっから、ほら」
    「うん、やった」「もうチョットそっち行って……よいしょっ」
    知を脇に抱えて狭い病院のベットに二人で横になる、看護婦さんが見たら怒られるな
    「……おやすみ、知。愛してるよ……」知のおでこにそっとキスをする
    「……おやすみヒロオミ……大好き、ヒロオミ……」


    朝が、色褪せた朝日が昇り始める

    おみ……おみ……

    誰かが、俺を呼んでいる

    おみ……おみ……

    知の声……ああ、懐かしいな……その声、呼び方

    おみ……ゴメンね……おみ……あ、い、し、て………る………



    やっと、やっと逢えたな知。逢いたかったよ……信じて待ってて良かった……



    おわり

  • ★知★
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    臣知 特別番外編 エピローグ R指定


    臣、私の大切な広臣、ここに辿り着くまで長い長い時間が掛かったね、二人


    「知、お腹空いた、なんか作って」「何が食べたいの?」
    「んーーーん、チャチャっと出来るモンで良いよ。で、その後、食後に知、だな」
    「……まぁた、そんな事を……もう!」だから早くしろよなぁ〜〜何て言ってるし


    私が倒れてから1年半、意識不明の昏睡状態が続いた間も臣は私の側に居てくれた
    ずっと献身的に看病してくれていたと看護婦さんから聞いた時は涙が止まらなかった

    意識が戻っても記憶障害で、臣のことが判らなかったらしい

    「どう、美味しい?」「…うんめ、やっバこれ」
    意識回復した後、子供に戻った私を見放すことも無く、ずっと側に居てくれた臣

    「もっとユックリ味わって食べなよぉ〜」今は臣が子供みたいに食事を頬張ってる
    「ずっと病院食だったからさぁ、誰かさんのせいで」あ、…………グサっときた

    仕事終わりに病院に向かった臣は、疲れか焦りか、車道に飛び出して車に跳ね飛ばされた
    驚くことに、轢かれても尚、私の待つ病室に自力で辿り着き私のベットで意識を失った

    「あれ?もしかして気に障った? ……………知?」
    「………私、感謝しても仕切れない程、臣には謝らくっちゃイケナイよね」

    傷だらけの臣に抱き締められて、目覚めた私は記憶を取り戻した

    「ばっか、謝るなよ、ゴメンって、そんなつもりで言ったんじゃねぇよ」
    「だって………臣が、臣が居てくれたから……私も心配したんだから………もう!」
    こっちおいで、臣が手を広げる

    「知ともっかいヤレるまで、死んでたまるかって無意識に病院まで歩いてた、俺」
    「もぅ、無茶ばっかり……でも、私のせいでゴメンね、本当にゴメンね……」


    抱き締められて、臣の温もりを身体いっぱいに感じると涙が出た
    髪を撫で、頬に伝わる涙を臣が唇ですくいとる
    頬から耳に掛けて臣の唇が這っていく

    「もう泣くなよ……こうして二人、ここに居られんだから」
    耳元で甘く囁く、悲しさと違う感情が高まっていく……臣をもっと感じたい……

    深く、深く繋がり合って、もうひとつに溶けてしまうくらい肌を重ね合わせる
    どれだけ身体を重ねても拭えなかった不安など今はもう無い、目の前には臣が居る


    やっと始められるな、俺ら
    ずっと一緒だ、これからもずっと。知が嫌だって言っても駄目だかんな
    ぜってぇ離さないから、もう二度とこの手を離してヤンねぇから


    知、愛してるよ

    うん、臣、私も臣の事愛してる



    おわり

  • ★知★
    ★知★

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    臣知
    〜return road〜

    あの時臣を拾わなかったら、
    出逢わなかったら、

    運命って時にイタズラで意地悪.......



    「臣、時間だよ」
    「うぅん.....まだ眠い」
    「遅くまで呑んでるからでしょ」
    「.....俺の快気祝い。仕方ないだろ」
    「あぁっ、またグサッと来る事言う〜」



    臣は入院していた私のお見舞いに来る途中、疲れか焦りか車道に飛び出して車に撥ねられたにも拘らず、事故現場から自力で私の病室に辿り着いた。

    泣き続けてた私を病室のベットで抱え眠り込んで、朝の検温時間に看護婦さんが血だらけで眠る二人を見つけ一時大騒ぎになった。

    出血多量で、見つかるのが後少し遅かったら臣は危なかったらしい。私はマンションの階段から落ちた事故で出来た腫瘍の為意識を失って入院していた。意識を取り戻したら今度は記憶を失っていて子供に戻っていた。血だらけの臣に抱えられ目が覚めた時に記憶を取り戻し、冷たくなり始めていた臣とともに眠りについていた。目が覚めた時は何がどうなってるのかパニックだった。


    「臣っ!何で………どうして⁉︎どうなってるの⁉︎」
    「落ち着いて。知ちゃん……あれ?知ちゃん?あなた……」
    「此処は病院ですよね?私……どうして...」
    「ひょっとして記憶が戻ったの?待って先生を呼ぶから。兎に角彼氏さん出血が多いから……ストレッチャーはまだ⁉︎あのね、知ちゃんはずっと意識不明のまま入院してて意識取り戻したら記憶が無くなってたのよ」


    臣がストレッチャーに乗せられて、救急処置室へと消えていった。
    私は訳がわからないまま部屋に取り残されて、鏡に映った血だらけの自分を見て又倒れそうだった。

    後から来た先生に診察を受け、状況を説明されて落ち着きを取り戻した。


    「彼の方は事故か何かで怪我を負った様です。今の所命に別条は無いですが、あともう少し発見が遅れたら危なかったです」
    「そんな.....どうしてそんな事.......」
    「まだ本人から話が聞けて無いので何とも言えませんが、この近くで事故があった様で轢かれた人が行方不明になったと言う話で警察から病院に問い合わせがあったんです。もしかしたらその事故かも知れないんです」
    「......臣が、事故に...」


    私の所に辿り着くために怪我してるのに病院まで歩いて来るなんて正気の沙汰と思えない臣の行動に驚かせられるとともに、愛されてるって思いが私を驚異的なスピードで回復させた。


    「なんか立場逆転しちゃったな」
    「良いの!臣の面倒は此れから私が見るんだから....もぅ無茶しないで、お願い」
    「知が元に戻って嬉しいよ.....会いたかった知。お帰り」


    病室のベットで傷だらけの顔で横たわってるのは臣なのに、ベットサイドで泣く私の頬を撫で笑ってくれた。


    「......ただいま」


    その一言を言うのが精一杯で、涙が止まらなかった。




    「あんな事で死なねぇよ。知を置いて逝くわけ無いだろ」
    「そんな事言ったって.....ドンだけ心配したと思ってるのよ」
    「心配なら俺の方がしたっつ〜の。お前なぁ〜このやろ、家帰ったら倒れてるわ、目覚めないわ、記憶無くすわで、子供に戻ってドンだけ俺にわがまま言って困らせたりしたか」
    「悪いと思ってるわよそりゃぁもう感謝しきれないくらい‼︎でもそんな記憶に無い事責められても困ります、ほらっ良いから早く起きて!あっもぉ‼︎」


    臣が私を引っ張ってベットに引きずり込む。
    ゴロンと一回転して臣が私の上になる。


    「わがままな子供の知も可愛かったけどな。可愛すぎてエロい事考えるのも罪悪感感じたっての。あぁ〜マジ可愛いかった子供の知も」
    「何よそれ⁉︎」
    「ヒロオミ、ヒロオミって俺に子犬みたいに懐いて来てさぁ」
    「この変態!ロリコン!」
    「るっせ」


    唇を臣で塞がれる。強く優しく、
    甘く切ないキスは頭の奥が痺れそう。


    「知をもう一度抱くまで俺、死ねなかったし」
    「うふふ、もう何回したと思ってるの」
    「お陰でリハビリになったわ」
    「やぁだリハビリに付き合わされたの?私」
    「.......だから今夜もヨロシクな、チュッ」


    昏睡状態で臣に1年半も看病されて、
    意識を取り戻したら記憶が無いってどれだけ私臣に迷惑を掛けたんだろう?



    一生掛かっても返しきれない、恩。


    一生......⁉︎


    一生、臣の傍に居られる?私。



    「知?どうした?」
    「......なんでもない、ほら起きて」
    「なぁ....もっかい、しよ」
    「ええっ時間が....」
    「無いから早く.....」
    「んんっ......」



    もぅ、臣のばかぁ。

    臣に抱かれる幸せ、臣との時間が私の幸せ。


    出会ってくれてありがとう。
    ずっとずっと一緒だからね、嫌って言っても私、離れないんだから。


    だって、一生かけて貴方に恩返ししなきゃいけない私。


    「知、愛してるよ」
    「......私の方が、愛してる」


    繋いだ手をもう離さないでいて......




    おわり