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見城徹

[マチネの終わりに]を六本木ヒルズの映画館で観た。ラストが特に素晴らしい。観終わった後も何度も何度もラストシーンを思い返して人生は悪くないという感慨に浸っている。長く生きていると運命というものは確かに存在すると思う。喜劇にしても悲劇にしても運命の歯車は我々の人生の中で音もなく回っている。 劇中に「未来が過去を変えることだってある」というセリフが何度か出て来る。この映画のラストは互いの想いがすれ違った男女の過去を美しく塗り替えている。この映画は福山雅治でなければ成立しなかった。同じようにこの映画は石田ゆり子でなければ成立しなかった。演技とか以前にこの神話のような映画の世界に主人公として息づくのはこの2人の人生の総体としての存在の仕方しかあり得なかった。映画を観てしまうと強くそう思う。2人の会話も何気ないが痺れる。何もかもが完璧なのだ。その上、福山雅治が演奏するクラッシック・ギターがこの物語の光と影を深く彫り上げる。映像と音楽のこれ以上あり得ない幸福なセッション。人生は悪くない。僕たちは人間の根源を映し出すこの神話のような映画に感応して、明日に向かって一歩を歩み出す。

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