七色息子七色息子 先週のFNS歌謡祭で披露された「ノンフィクション」平井堅×平手友梨奈を見た。
彼女の一挙手一投足が発する言葉、表情の微かな揺らぎ、感情が崩壊するラスト、その すべてがショッキングだった。
ただ感動したいとか、ただ幸せになりたいとか、ただ夢を持ちたいとか、それが希望なんだとか、それが義務だとか権利なんだとか、もう ずっとお腹いっぱい。
飢えることを許さないビジネス、モラトリアムを飼い慣らすかのような はち切れんばかりの飽食の時代に、エゴというもの一切なく、ただ無価値に輝く石ころが落ちてきたら、今までの価値観を覆すような そんな無表情のダイヤを見たら、人は その存在を邪魔だと蹴り飛ばすのだろうか。
現実の命を、嗤い蔑み貶め見下し喰らうような、このフィクションが暴走した一億総批評家社会の中で、拒絶と救いを同時に懇願するような複雑な叫びは、耳傾ける価値すらない、モラルの欠けた、ただただ無益で理解不能な負け犬の遠吠えに聞こえるのだろうか。
不都合なほどの称賛や期待以上の悪評が飛び散り、居た堪れなくなるエゴイストたち、誰も、所有する権利も義務も持っていないのに、その当然が当然じゃなくなって、狭い狭い場所に閉じ込められ息ができないでいる影、でも、その影が、悲痛なほどに自由だった。
たった独りの探究が、見る者の感情を揺さぶっている。嫌悪され、不気味がられ、共感され、愛されている。そんな残酷で気恥ずかしい感情の波紋の中心、波風の深淵に、平手ちゃんはリアルタイムで居るんだなと思った。ノンフィクション。彼女の表現が、とてもショッキングで、本当におもしろかった。凄ぇ...。
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