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シンジ

山崎怜奈「言葉のおすそわけ」より 第23回 2022.7.15 「選挙」 自分が選挙特番に出るなんて、考えたこともなかった。日本ではなかなか支持する政治家や政党の話をオープンにする風潮ではないし、家族や友人と政治の話をすることも少なかった。でもよくよく考えたら、そこまでかたくなに隠す必要もない。自分は自分、他人は他人だし、意見が違ったとしてもあえて否定せずに、聞くだけで良い。無理にとは思わないけれど、普段の生活で普通に政治の話ができるようになれば良いのになあと思いながら、とりあえず勉強してみることにした。 勉強し始めて一番驚いたのは、ネット上に残されたアーカイブの豊富さだった。一昔前までは、新聞や政見放送、各党のホームページ、パンフレットなどでしか、候補者の主張や各党の方針を知ることができなかった。テレビに政治家が出演して議論している姿も、平日の夜遅く、あるいは日曜日の朝にしか見ることができなかった。 しかし今はYouTubeを検索すると、選挙期間よりも前に配信された動画がたくさんある。選挙の仕組みや議席の数といった基本的なところを丁寧に解説してくれている動画や、テレビでしか見られないと思っていた政見放送、党の代表同士の論議、有名な政治家へのインタビュー。テレビで放送された党首討論も公式アプリで後日配信され、「選挙」と検索すると関連する特集番組がいくつも引っかかった。 誤解を恐れずに言うと、どんなに調べても、「自分とぴったりだな!」っていう候補者には、今回も出会えなかった。そもそも、候補者にしろ恋人にしろ推しにしろ、まったく同じ考えを持つ人間を見つけるのはほとんど無理だと思った方が気楽なのかもしれない。でも、投票には行く。迷いながら行く。投票は候補者を全肯定することじゃないし、全権を委ねることでもないので、自分の考えを軸としたときの近似値、つまり自分にとってしっくりくる投票先を選んでいる。 だからこそ、自分の投票先にかかわらず、当選した政治家を厳しい目で見守り続ける必要もある。デジタルタトゥーが永久に残り続ける昨今、その人が以前に「やる」と言ったことが実現できているかどうか、簡単に確認できてしまう。それに対して誰かに言及されている映像も、冷静な答え方も、言葉を濁したときの表情も、とても分かりやすく残っている。本当の素顔は誰にも分からない。されどそこには、テキストでは計り知れない人間的な機微が、想像以上に細かく、鮮明に残っている。 選挙期間が始まる前に特集を組んでほしい、最近はメディアへのそんな声もよく耳にする。たしかに、学ぶ機会がもっとあったらうれしい。でも選挙は「これまでの政治の結果」でもあるのだけど、「これからの政治の始まり」でもある。だから、実際の本番は投票日が終わってから。大々的に報じられる当選者の一覧は、結果の一側面でしかない。むしろ、「自分の一票を入れた候補者が当選に近づく」ということ以上に価値が高いのは、国民に選ばれた政治家や政党がこれからどういう政治をするのか、追い続けることで得られる「未来への判断材料」なのかもしれない。 各党がかつて掲げていた公約を、次の選挙前にみんなで検証する。そんな機会が、教育の中にあっても良さそうだ。忙しい日常の中で国会答弁をすべて見るのは難しいので、何か変化が起きるたび、リアルタイムで公約との比較が更新され続けるシステムがあっても便利だと思う。万人がどこからでもチェックできる形ならもっと良い。「各世代あたり何%が投票に行ったか」「選挙当時どんな基準で投票先を選んだのか」といった、選んだ側の理屈も心の中に留めながら、この先を案じてみる。 定期的に行われるこの国の国民投票は、言ったことを実行する人を選ぶことも、実行しない人を見極めて落とすこともできる、ほとんど唯一の手段。若輩者の自分の一票は微力かもしれないが、無力ではない。そう信じたい。

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シンジのトーク
トーク情報
  • シンジ
    シンジ

    個人的ベントレーには、かつての「アルナージ」の様な、ロールスの「ファントム」に対抗し得るモデルを期待してしまう。
    ベントレーらしくオーナー自らステアリングを握るスポーティなもう一つ上のクラスの新世代のサルーンを見てみたい。

  • シンジ
    シンジ

    2014年の9月6日に755を始めて、いつの間にやらまるっと10年過ぎました。
    いやはやビックリ。あっという間ですなぁ。

  • シンジ
    シンジ

    ホンダの「GB350」にこんなモデルが追加されたんだ。
    こういうのは、凝り過ぎない感じでカスタムして乗りたい。カッコ良くし過ぎるとカッコ悪くなるからね...そこの線引きが難しいしセンスが出るよね。

    価格上がっちゃうんだろうけど、出来ればホイールはワイヤーホイールにして欲しかったなぁ。

    https://x.com/webcgnet/status/1834128248155881827?t=GdtFr-LwOsgOgPIh8KzYQA&s=09

  • シンジ
    シンジ

    見城さん、素敵な女性陣に囲まれて羨ましい…なんて思いながら、よ~く拝見したら見城さんの右側に写ってるのは、元欅坂46でフジテレビアナウンサーの原田葵ちゃんではないですか?
    欅坂のライヴに参戦された事もある見城さん、葵ちゃんと欅坂時代のお話なんてされたのかやしら?
    葵ちゃんは欅坂加入時は15歳の最年少、幼くて細くてちょっと色黒でね…冠番組「欅って、書けない?」ではMCの土田さんに“ゴボちゃん”とか呼ばれて、膨れっ面で「やめてくださいっ!!」なんて言ってたのが可愛かったなぁ(笑)。
    すっかり大人になりましたね。

  • シンジ
    シンジ
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    久しぶりに見た気がするな。
    「一所懸命」本来の正しい日本語。
    一つの事に真摯に打ち込む。

    いつの間にやら間違いの「一生懸命」にすりかわってしまったよね。
    まぁ、言葉は生き物だから変化していくのは当たり前で、今僕らが使っている日本語も一生懸命と同じ様に誤ったものが流行って定着した言葉が沢山含まれてる訳で…。
    でも、その変化から定着の過程をリアタイしてると「それは間違ってる」って言いたくなってしまう(笑)。

  • シンジ
    シンジ

    そう言えば、「申し訳ない」も気になる。
    丁寧にと、“申し訳ありません”とか“申し訳ございません”とか使われてるけれど、本来は“申し訳ない”で一つの言葉なんですよね。
    だから“ない”を“ありません”や“ございません”に変えるのは間違いなんですね。

    「申し訳ない」を丁寧に言うならば、“大変申し訳ないことでございます”と言うのが正しいみたいです。

  • シンジ
    シンジ

    ゴスペラーズの黒沢薫が乃木坂46の中西アルノをアシスタントに送るスパイシーセッションズ。
    今回から地上波とTVerで観られます。
    ゲストを迎え、曲を決めてから、歌割り、ハモリ、アレンジ等をその場で決めて披露する。
    生の音楽が出来ていく過程が面白い。
    黒沢薫さんが惚れ込んだ、中西アルノの歌の才能を是非とも目撃して頂きたい。


    https://x.com/TVer_info/status/1837552036889743779?t=unW0nyiqUGqnRp3M43g6Kg&s=09

  • シンジ
    シンジ

    TVerに上がったスパイシーセッションズの特別版。
    今まで放送された中から幾つかのセッションをピックアップ。過程から本番までの流れが面白いし、セッションそのものも素晴らしい。音楽って良いなぁ…と思わせてくれる。
    こう見えて(見えてないけどw)中学時代に合唱部に引っ張られてバスを担当していた身としては、観てると、唄いたくて、ハモりたくてウズウズしてくる(笑)。

    音楽好きな方には絶対観て欲しい。

    Spicy Sessions
    #TVer
    https://tver.jp/episodes/eppw0gkp50?p=3344