8月1日(木)
暑い。
夏がやってきたということだろう。
街を散歩していると、おじさんが
「あちいね。ほらこれ見て」
と言いながら、ドロドロのチーズを見せてきた。
暑くて頭がおかしくなっているのだろう。
僕は
「そうですね。ちょっと野菜つけさせてもらっていいですか?」と言った。
もちろん僕の頭もおかしくなっている。
するとおじさんは
「なんでやねん」と言い、どこかに行った。
再び散歩を続けていると、おばさんが
「あっついね~。ほらこれ見てよ」と言いながら
ピノの箱を開け、茶色の液状になったピノを見せてきた。
おばさんは
「ハート型のあったのにねえ、この有り様よ。もうあっついわ~」と言いながら
1mぐらい宙に浮いた。
まずい、街のみんなの頭がおかしくなっている。
僕は「冷涼所」に向かった。
冷涼所とは、熱中症予防のために地域が設置している涼しい場所だ。
2kmほど汗だくになって歩いて冷涼所に到着したが
そこには地獄の光景が広がっていた。
地域が設置した直径7mほどの巨大風鈴が落下し粉々に割れており、おじさんたちがとても辛そうな顔でガラスの掃除をしている。
おじさんの一人は少しでもみんなが涼しくなるように、風鈴の鈴の部分を泣きながら大きなガラスに打ち付けているが
「キャチン」という音しか鳴っていない。
とりあえず暑くてたまらないので、冷暗所のエアコンエリアに入ったが全く涼しくない。
むしろ外より暑い。
業者が間違えて室外機を内側に付けてしまったらしい。けたたましい轟音を鳴らす7台の室外機。
室温はなんと51度。
エアコンエリアの真ん中では稲川淳二のモノマネ芸人「稲川準備」が怖い話をしているが効果は薄い。
ひんやりシャワーマンというミストシャワーをかけて回ってくれる人がいつもは居るはずなのだが姿が見当たらない。
受付のおばちゃんに
「ひんやりシャワーマン今日はいないんですか?」と聞くと
「死んだよ」
と言われた。
少し怖くなって涼しくなったのでその勢いで家に帰った。
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