【見城徹】僕の人生を切り開いた読書体験。すべてを語ろう
NEWS PICKS 「リーダーの教養書」2017/05/23より引用
『二十歳の原点』の扉ページには、僕のメモ書きが残っている。日付は1971年5月19日、「沖縄ゼネストの日」とある。
君の死は僕にとって重い。致命的に学生運動の嵐を通り過ぎた者のわかりきったノートにすぎないのに。一人のごく平凡な少女が、うぬぼれも、優越感も、劣等感もある、自意識の強い、そして当然に良心的な君が、必死にもがき、戦い、努力し、うぬぼれ、焦り、傷つき、絶叫し、死んでいった。僕は君が好きだ。そして君は重い。悦子よ、僕は君を無視して生きられない。君の死は僕の生に蘇り、僕の苦悩とともに僕の中に生き続ける。
今読み返すと照れくさい気もするが、それだけ彼らの人生は、僕の生の原動力となっている。
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