#豊永阿紀の本棚
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2019.02.28
小説 映画ドラえもん のび太の月面探査記/辻村深月
明日公開のドラえもんの映画、その脚本を辻村深月さんが書かれたということで、一足先に小説を読みました。
ネタバレになってしまうので、感想ではなく、少しだけ昔話をさせてください。
ドラえもんはむかし、幼馴染の家に住んでいました。
保育園に通っていた頃の、金曜日のお話。
私は、帰り道にかきかた教室に行って、そのあとにダンスに行っていました。
その間の時間、幼馴染のお家でご飯を食べていた時に見ていたのがドラえもん。
かきかたの終わる時間はまちまちで、毎週は見れなかったけど、あのお家で食べていたご飯、幼馴染の妹の椅子、そしてドラえもん。あの頃のことを思い出すと、この光景が蘇ります、
ドラえもんのすごいところは、毎週見ていなくても、まるでいつのまにか言葉を覚えているような自然さで、あの子達の名前を覚えていること。タケコプターやどこでもドアもわかること。
だけど私はやっぱり、毎週は見れなかったから詳しくはなくて、ひみつ道具何がほしい?って聞かれても、その2つしか知らなかった。
そんな私が、ドラえもんを少し近くに感じるようになったのが中学2年生の頃。
辻村深月さんの、凍りのくじらとの出会いでした。
カワイソメダル、もしもボックス、いやなことヒューズに先取り約束機、ムードもりあげ楽団、ツーカー錠、タイムカプセルにどくさいスイッチ、そして、テキオー灯。
ひみつ道具やドラえもんの話がたくさん出てくるこのお話は、ドラえもんが好きな女の子のお話。話が出来すぎていて少し怖いのだけど、実は、この主人公、あの幼馴染と同じ名前を持つのです。(おとうさんもおなじなまえなの。)(すごいよね)
この少しずつのつながりが、やっぱりうれしくて、
辻村先生とドラえもんのように、私にとっての辻村作品は、特に凍りのくじらは、ずっとずっと、当たり前に私の人生の一部なのだなぁと実感します。
映画公開記念のインタビューで、「もしかしたらこの本で、初めてドラえもんに出会う子どもがいるかもしれない。」と、辻村先生がおっしゃっていたのだけれど、たしかに私は、これを読んでやっとドラえもんと、のび太やジャイアンやスネ夫やしずかちゃんと、初めて対面した。それがなんだかとっても嬉しかった。
今年のドラえもんの映画、初めて観てみようと思います。
理帆子と郁也も、きっと観るんだろうな。
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2018.06.30
噛みあわない会話と、ある過去について/辻村深月
私はあの時なんて言っただろうか。
過去の会話を、一言一句憶えているなんてこと、不可能だと思う。きっとそれは誰も。
それでも憶えている。相手は憶えている。私が憶えているように。
人には誰しも地雷というものがある。それは、同じ意味の発言でも、その言葉が、ただ一つのワードが入っただけでどうしても許せなくなる、呪いのようなもので、たちが悪いことに、呪いをかけた当の本人は、気づいていない。
私も、かけられたことが何度もあるし、そしてかけたことがある。それを知っているのは傷ついたのだと、教えてくれた人がいたから。教えてくれなければ、分からなかった。そんな、わたしにとっては、たわいもない言葉。優しい人だから教えてくれたけれど、未だに分かっていない呪いも、きっとあるのだと思う。誰しもあるのだと思う。
記憶は、変わっていく。人間は忘却の生き物とはよく言ったもので、都合の悪いことはすぐに忘れるし、都合よく塗り替えてしまう。それを事実だと信じる。それでも、傷つけられたことは、鮮明に、1ミリの狂いもなく憶えている。感情も、音も、景色さえ、鮮明に。わたしは、憶えている。
ナベちゃんのヨメとママ・はは、は完全に読者として読めた(怖かった)けれど、パッとしない子は、あの人はいまどう言っているんだろうかと思う自分がいたし、早穂とゆかりは、どちら側の人間だろうかと考えてしまった。そして、それは多分どっちも。
誰しもある、記憶の話。
ダークな辻村さんだった〜〜〜〜〜
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『スロウハイツの神様』下巻に入ってビックリしたことがあります
こんなところで、さりげなく繋がるんだぁ、っていう
『月を取り囲む雲』の写真が載っている写真集、その写真家の名前
それにもうひとつ
『凍りのくじら』の時からひっかっていた駅の名前
『椎名町』
この時だけ、固有名詞が出てきたので気になっていました
そしたら、『スロウハイツの神様』にも出てきたので
気になって調べてみました
あぁ
神様の住んでいたあの有名な『荘』があった土地だったんですね
知りませんでした