自己検証トレーニング
トーク情報望月輝子 望月輝子望月輝子 12/14 「厨房の哲学者」を読み終えた。
思えば、ちょうど一年前に
「三流シェフ」が発売された。
三國シェフと脇屋シェフは北海道出身。
高度経済成長期の初期に生まれたお2人は、育った環境は違っても必死に鍋を磨き続けるという共通点のもと、人生を切り拓いていったのは三國シェフ。親が決めた道を運命というならば、その運命に従い切り拓いていったのは脇屋シェフなのだと感じた。
天敵だった鍋を何ヶ月も洗い続けて気付けた中国料理の道。15歳の青年は武者小路実篤の言葉との出会いによって、自分で選ばなければ人生は始まらないことを知る。
私も武者小路実篤の「この道より我を生かす道なし。この道を歩く」という言葉を刻みこみながら進んだ過去がある。44歳の時だ。15歳と44歳。同じ言葉の影響が、その後の人生に深みを増していくのは間違いなく15歳であり、どこまでも恥ずべき自分を抱えながら生きていることを思い知らされる。
15歳の時の自分に、この本を読ませてあげたい。まず運命に従って、とにかく目の前のことと格闘してみなよって。
そうすれば動き始めるからって。
暗黒ともいえる自分の10代は砂漠化していて、苦しいだけで何も進まなかった記憶が生々しく蘇り、胸が締め付けられて痛い。
もうすぐ54歳を迎えてしまうが、目の前にある自分の鍋を、ひたすら磨き続けていこうという気持ちが奮い立つ本だった。
進むんだ。前へ。