神が人を見捨て、人が人を差別する。差別された者たちは肩寄せ合って盃を交わし家族を形成する。

何が善で何が悪？
何を信じて何に背く？
何が矜持で何が下衆？
何が家族で何が敵？
・・・・・・・

傍観者として卑怯者として臆病者として決して自分を変えない頑固者として舞台を冷たく覗いていた。

差別しているつもりが差別されて、全部の価値観があっという間にひっくり返る、そんなカオスな空間に引き摺り込まれ泣き笑いしながら手をたたいていると、一人の観客として、見届け人として義務を果たした、そんな安堵とともに嗚咽が突き上げた。

［人間っていいなぁ。］
伝兵衛さんのズルいセリフに救われる。悔い改めてぇ。いや、十字を切らずにたたっ斬られてぇ。

もう二度と観ることの叶わない奇跡の舞台。尾を引く感動と喪失感はいつまで続くのだろう。

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