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    ことばのメモ

    「ここです」
    「ありがとうございます。」
    お金を払う
    「ここでいいですか?」
    「はい、歩いて帰るんで」

    タクシー運転者にまで言い訳をしながら、彼にも私の意思はあくまでそうだと伝えている

    アパートの下に虫の集合地と化した自販機があることを確認し、彼を2階の部屋の前まで運ぶ

    あくまで酔った人の自力を最大限に活用した最低限のサポートで2階まで運ぶ

    自分の部屋の前で倒れ座る彼に
    「ちょっと水買ってきますね」
    と言う

    彼は酔っているのか酔いが覚めたのか一点を見つめている

    下の自販機で水を押す
    私は何がしたくてここまで来たのか、理由を考える

    水を私にゆっくり歩けと思うわりに小走りなスピードで2階まで上がる

    「部屋には入んないので。鍵開けれます?」
    あくまで私のスタンスを伝えるが、今は相手に委ねる

    彼は鍵をポケットから取り出しそうとしている
    取り出すんだと思った

    彼はグーで鍵を握ったままポケットから手を動かさない
    動かさないんだと思った

    「家こっちちゃうやろ?」
    「バレました?」
    バレてて安心する
    ついた嘘が私の言葉の意味に入っていたことを安心すると同時に、彼だけの意思でないことに少し残念に思う

    「なんで送ったん」
    一点を見つめてはグーのままだ
    「話せるタイミング今かなって。でも泥酔されてたから、ちょっと違ったかもしれないです」
    「何話したいん」

    彼の目を見る
    「ニーサとかイデコ聞きたいなって」
    「なんで俺やねん」
    ちょっと笑った
    真意なんてこいつは言わないと分かっていたような、ちゃんと答えるなんてしないと分かっていたような顔をして、それ以上聞かない

    私も何を聞きたいのか分からない
    分からないというより,正確にこの気持ちを伝える聞き方が分からない

    「ちょっと散歩する?」
    「歩けるんですか?」
    ん,と言ってゆっくり腰を上げた

    タイミングは間違ってなかった
    見え透いた嘘をつけて良かった

  • ことばのメモ
    ことばのメモ

    桂駅
    寒いかった
    日は出てるのに寒いパターンの午後5時
    きっとこれからさらに寒くなるだろう
    どうしてこの服を選んでしまったのか

    私が秋は服が可愛いから楽しみだと言った
    その時はみんな楽しみだねと言った
    次の日母は私に対して大したオシャレとしないのに何がファッションが楽しみなんだと聞いた

    オシャレとファッションを楽しむは違う
    履き違えているのは母だ
    母は無難な服に高級なワンアイテムも好む
    母なりにファッションを楽しんでいるのだろうけど、無難な服を選んでおいてオシャレを定義するのは厚かましいのではないか
    それは無難であるだけで、オシャレかどうか分からない

    そんな私は無難に寄せて、白Tシャツに黒ベストにジーンズという無難界隈では一、二を争う配色を選んだ

    やっぱりTシャツは寒かった
    それなら白Tシャツに緑ベストに紫パンツを着れば良かった

    母の目を気にして着る服で寒いのなら、着たい服を着れば良かった

    髪型と化粧ノリがいいことだけが今日の救いだ

  • ことばのメモ
    ことばのメモ

    結婚するのが嫌になった
    この人と一緒にいたいと思った人をあんなふうに傷つけてしまうのかもしれないと思ったら、結婚するのが嫌になった

    こんな素敵な人はいない、ずっと一緒にいたいと思った人にあんな態度をとってしまうのだろうから、それなら一緒にいる決断なんかしないほうが、その人のためなんじゃないかと思った

    結局、自分は親に似るのだから

  • ことばのメモ
    ことばのメモ

    2023年11月中旬ごろに見た夢です。
    愛犬は私に一番懐いていたので、夜寝るときはいつも私のベッドの上で一緒に寝ていました。朝起きて私が部屋で仕事をしているときも、私のベッドでよく寝ていました。
    その愛犬が亡くなり、1週間後に火葬を行いました。その週に見た夢です。
    いつものように自分の部屋で寝ていると、足元の方から愛犬くらいの大きさの何かが私の頭の方へ向かい、私の首元で眠るように巻きつく重さを感じました。締めつけられているような感覚ではなく、ただそこに座っているような重さでした。目を開けることはありませんでしたが、その重さだけが起きた後も感覚として残っていました。

    夢と現実の間で、ただその重さだけを覚えています。
    あのとき、きっと愛犬は私と一緒に寝てくれていたのだと感じています。