安達ロベルト安達ロベルト8年前写真作品の本質は「焦点を合わせること(=to focus)」にある。被写体選びから、ピント合わせはもちろん、フレーミング、現像、プリントに至るまで、何に焦点を合わせ、何を外すかが常に問われる。テーマ選びは、人生の何に焦点を当てているかの宣言でもある。
安達ロベルト安達ロベルト8年前ものづくりに「産みの苦しみ」はたしかにある。ひらめくまでの苦しみや、フィニッシュの手間がそれにあたる。他方、さほどぴんときてないのに手をつけて、途中で展開せず苦しくなるものは産みの苦しみとは違うので、手放すほうがいい。受精してない卵は、どう温めても何も生まれない。
安達ロベルト安達ロベルト8年前あちこちで井戸を掘りながら、どこも掘りが浅すぎて、水を出せていないのではないか。水が飲みたいから掘ってるのでなく、水を出して人々に尊敬されたい、水の代わりに喝采を浴びたいと思ってはいないか。