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 彼と何度も話し合い、協力し合いながら手に入れた新しい生活。  ハワイで家族と暮らすことは、なにも持っていなくても自分が自分であるだけで全ては揃っていたんだということに気づかせてくれた。それまでいつも感じていた「この生活を保てなくなったらどうしよう」と焦る恐怖からの原動力はすっかり消え、全ての原動力の根底に愛を持てるようになった。  子どもたちが寝たあとたまに、彼と過去の自分たちを振り返りながら語り合う。  東京であんなふうに生きてきたわたしたちが、まさか山奥に住んで究極の幸せを感じてるなんてね、と。  一緒に旅を続けてきたわたしたちには、多くの言葉を語らなくてもわかち合える共通の価値観がいつの間にかできあがっていた。  過去に並べて眺めた、たくさんのブランドもののバッグや靴も今は必要最低限しか持っていないし、今季の流行も全然わからない。  だけど、自分が本当にいいと思うプロダクトをこの世に生み出すビジネスをしたり、食卓に並べるハーブや野菜を子どもたちと育てたり、庭で鶏が産んでくれたたまごを命のありがたさを噛み締めながら食べたりしていて、東京にいたころに比べると地味で刺激もない生活をしているけれど、わたしは毎日幸せを噛み締めずにはいられない。  誰かにとってはなんの価値もないような小さなことでも、わたしにとって価値のあるものなら胸を張って大切にすること。  それができたときわたしの人生はとても豊かなものになり、子どものころから抱えていた自分の中にぽっかりあいた穴はなくなっていた。  たった一度きりの人生だから、これからもずっと自分以外の誰かの価値基準に振り回されずに、自由に、幸せに、責任を持ってわたしらしい豊かな人生を送っていきたいと思ってる。

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NE MU IN DE $ 10
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    ウチの庭の、金木犀。
    花が、咲き誇りまくっちょります ©︎ろこ。
    薫りを、振り撒きまくっちょります ©︎ろこ。


    金木犀を見ると、私は小学校の「手洗所」を思い出すんです。

    木造二階建ての校舎に、千人からの児童が通う、マンモス小学校だった、我が母校。
    裏門のそばに、別棟でトイレが建ててありました。
    石の壁に用をたして、下の幅広な溝を流してるいく、小便所。
    もちろん汲み取り式の、大便所。
    風が吹くと、カラカラと音を立てて回るトップエンドがついた、あまり役に立っていそうもない、排気用の煙突。

    母校の、百年からの歴史を物語る、古い古い作りの、「手洗所」の看板も凛々しい、由緒正しきトイレだったんです。

    そのそばに、消臭用も兼ねてでしょう、大きな金木犀が植えられていました。
    秋の盛りには、それはもう甘くて芳しい薫りで、トイレの悪臭を和らげてくれていたんです。


    金木犀で思い出す、もう一つのもの。
    それは、あの曲なんです。

    鳳晶子さんの「みだれ髪」を入れた歌詞から、「明星」を「みやうじやう」と読む粋。
    与謝野鉄幹との道ならぬ恋の、自らの熱情を歌った歌集を持ってくる若さ。
    「あの高速道路の〜」の疾走感は、晶子の熱い歌の引用で、よりその勢いを増すように感じられます。

    一発屋でしたが(失礼)、この曲は、私には忘れえぬ名曲なんです。

    それでは聴いてください、
    キンモクセイで
    『二人のアカボシ』



    ( 。・_・。 ) 53

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    ホワイト

    『二人のアカボシ』
    演奏:キンモクセイ
    作詞:伊藤俊吾
    作曲:伊藤俊吾

    夜明けの街 今は こんなに
    静かなのに また これから 始まるんだね
    眠る埋立地(うみべ)と 化学工場の
    煙突に 星が 一つ 二つ 吸い込まれ

    沢山 並んだ 街の蛍たちも
    始まる今日に 負けて
    見えなくなってゆく
    君とも 離れることになる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    消えそうに 欠けてゆく月と
    被さる雲は そのままに
    二人のアカボシ
    遠くへと 連れ去ってしまおうか


    橋の継ぎ目と 二人に届く
    電波には 懐かしいあのメロディーが
    聞こえてるかい 「みだれ髪」に
    沁みるよう 明星(みやうじやう) 遥か 彼方へ

    見渡せば 青 続く信号機が
    二人の想いを
    照らせばいいのにな
    明日の僕らは 何処にいる

    また 今日も 汚れてく街は
    蝕む煙を 吐き出す
    君の 知らない
    遠くへと 連れ去ってしまおうか

    瞬かない星が 一つ
    夜明けの街に 消えてゆく
    二人 ここから
    宛てのない明日を 探そうか



    僕の決意と 伝えきれない
    想いが 街の音に 消えないうちに

    朝焼けの水蒸気が
    隣の空を彩る
    懐かしいメロディーは
    風と共に 終わる
    君の 髪の毛が 震えてる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    さようなら 街の灯りと
    月夜と 二人のアカボシ
    最後の想いは
    君が 振り向く前に 話そうか


    夜明けの街

    夜明けの街

    夜明けの街



    ( 。・_・。 ) ♪

    #二人のアカボシ
    #キンモクセイ