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ヨルシカ「負け犬にアンコールはいらない」は、単なる自己卑下や敗北宣言の歌ではない。むしろこの曲は、“評価されること”や“物語としての成功”そのものを拒否する意志表明として読むべきだ。
1. 「負け犬」という自己規定の反転
タイトルにある「負け犬」は、社会的競争や他者比較の文脈で貼られるラベルだ。しかしこの曲の語り手は、それを嘆きながらも同時に受け入れ、武器に変えている。
勝者の物語には、拍手や再登場(アンコール)が用意される。だが語り手はそれを「いらない」と切り捨てる。ここで重要なのは、欲しくても手に入らないから諦めているのではなく、最初から拒否している点だ。
2. アンコール=消費される感情
アンコールとは、観客の期待に応えてもう一度同じ感動を提供する行為だ。
この曲ではそれが、
• 他人にわかりやすい成功
• 共感しやすい苦悩
• 物語として“美しく回収される人生”
の象徴として描かれている。
語り手はそれらを嫌悪する。なぜならそれは、感情や人生が他人のための見世物になることだからだ。
3. 美しくならない痛みを抱えたまま
曲全体を通して一貫しているのは、
「救われないままでいい」
「報われなくても語り終えない」
という姿勢だ。
ここには、ヨルシカ作品に通底する
感情は説明できなくても存在していい
という思想がある。
ドラマチックな結末も、成長譚もいらない。ただ、不格好なまま生きている現在だけが真実だと語る。
4. 創作者の自己否定と抵抗
この曲は、リスナー個人の話であると同時に、創作をする側の叫びにも聞こえる。
評価され、求められ、同じものを繰り返し期待される――その循環に対して、
「それなら私は舞台に戻らない」
と言い切る強さがある。
これは逃避ではない。
消費されることへの抵抗だ。
5. 結論
「負け犬にアンコールはいらない」は、
• 勝てない者の嘆きではなく
• 敗北を引き受けた者の矜持
を描いた楽曲だ。
拍手がなくてもいい。
理解されなくてもいい。
それでも鳴ってしまう感情だけは、嘘じゃない。
だからこそこの曲は、静かで、攻撃的で、そして誠実なのだ。
