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パワーアップルのトーク
トーク情報パワーアップル 見城徹見城徹 福田さんは絶望的な精神の暗闘をしたことがないんですね。それは悪いことではない。むしろ幸せなことです。「一般的」「常識的」「既成概念的」「共同体的」なものとクラッシュすることなく済んだ。吉本隆明は「共同体」にとっては「異端」です。特に若い時はそれが顕著です。僕もずっと「異端」を自覚して生きて来ました。多分そのままで人生を終えるでしょう。[マチウ書試論]が難解であるけれど、圧倒的に美しいのはそこに異端の人生を生きざるを得ない一人の人間の孤独な心情が投影されているからです。[マタイ伝]を文献として読んでも吉本にとっては意味がありません。学説や解釈や定説などどうでもいいのです。[マタイ伝]を血を流し、葛藤する一人の人間の精神の営為の表現として吉本隆明はどう読み、どう批評するのか?思想的にもプライベートにおいても絶望的な暗闘を繰り広げる吉本隆明の矛盾し錯綜する魂の絶唱。それが[マチウ書試論]です。
パワーアップル 見城徹見城徹 「癒着」という言葉の意味について『広辞苑』を引いてみると「本来関係あるべきでない者同士が深く手を結び合うこと」と書かれている。癒着は悪い意味で使われることが多い言葉だが、仕事を成功させるためには非常に重要な要素だ。
癒着とはどういう状態を指すか。お互いがお互いを必要として結果を出す唯一無二の関係だ。しかし、誰かと癒着するにはキラーカードを持っていなくてはならない。
相手が喉から手が出るほど欲しいキラーカードをこちらが持っている。そして「どうぞ使ってください」とそのキラーカードを惜しげもなく差し出す。
相手も手元にキラーカードを持っており、見返りにそのキラーカードを差し出してくれる。ギブ・アンド・ギブという無償の贈与、テイク・アンド・テイクという無償の報酬の関係は癒着とは言わない。ギブ・アンド・テイクの対等な関係の上に癒着はある。
もし君がキラーカードを1枚しか持っていなければ、その1枚を人に渡してしまった瞬間に弾切れになる。一時的に相手と癒着の関係が構築されるかもしれないが、次に渡すべきキラーカードが1枚も残っていなければ、癒着の関係は早々に終了する。
パートナーとして長く癒着の関係を保つためには、キラーカードを何枚も手元に持っておかなければならない。お互いが圧倒的努力を重ねて何枚ものキラーカードを常に獲得し続けるからこそ、お互いがお互いを必要とする癒着は続いて行く。
そして、キラーカードを切り合った先に、大きな成果が出ると癒着は益々深くなる。
勘違いして欲しくないのだが、「癒着」と「人脈」は似て非なるものだ。僕は「人脈」という言葉を聞くと虫酸が走る。
「仕事ができる人間になるためには人脈が重要だ」と考える人は、異業種交流会やパーティにやたらと出席しては名刺交換に勤しんでいる。大勢の人間が集まる場で名刺を渡し、通り一遍の薄っぺらい世間話をしたところで、癒着と言えるまでの濃密な関係を築けるわけがない。残るのは顔も思い出せない人たちの名刺の山だ。