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    薮下楓、もう少し声が高かったら偉大なフロントだった。「片想いの入り口」の峯吉くらいだったら最高

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    時の流れは早い。小5の春、五時間目、僕はテストを受けていた。電柱がバカみたいに揺れた。水槽の水が盛大にこぼれた。‬隣の女子が泣いていた。僕はその子のことが好きだったから、ここはひとつかっこいいところを見せてやろうと思った。その子を励ましつつ、避難訓練の通り内ばきのまま校庭に向かった。停電か、信号が死んでいた。頭上にはヘリが飛んでいた。聞き覚えのないアナウンスが流れていた。ただ事じゃないなとは感じたけど、これは東海地震だとか、南海トラフがついに動いたんだとか、ネットで仕入れたオカルト話を夢中になって叫んでいた。その時の僕は、いつもと違う状況を楽しんでいた。背筋をゾクッと刺激するスリルを味わっていた。

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    程なくして僕ら生徒は家に帰された。マンションの電気は消えていた。パソコンをつけて、ネットに接続できないことに気づいてイラっとした。テレビもつかなかった。
    僕は当時中学受験の塾に通っていて、翌日が定期テストだった。パソコンを諦めて、僕は机に向かった。成績が落ちて下のクラスに落とされるのは御免だった。
    陽が傾き始めた頃、お隣さんが訪ねてきた。「東北で地震。津波もきたらしい。」そうか、東海地震じゃなかったか、ミスったな。自分の予測が外れたことが悔しかった。

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    部屋が暗くなってきて、ついに字が見えなくなった。仏壇から持ってきたロウソクに火をつけて、こんな時でも勉強してるオレに酔いしれた。余震で火事になりそうだったからすぐやめた。
    太陽が落ちて暗くなると、いま何時かが気になるようになる。午後六時。祖母から安否確認のメールが来た。当たり前だろと思いながら、いつもと違うテンションの文面に少し不安を覚えた。
    母と近くの蕎麦屋に行って、うどんを食べた。普段は話さないマンションの人と、その時はたくさん話した。
    マンションの廊下に明かりが無くて、歩くのも怖かった。父からの連絡はなかった。怖かった。

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    程なくして父は帰ってきて、起きていてもやる事もないからと言って、家族揃って早く寝た。余震に備えて防災セットは揃えおいた。
    朝起きて、津波のニュースを見て、すごいことが起こったんだなと思った。たくさんの人が死んで、行方不明者もいっぱいいるらしい。僕は、正直に言って、今目の前で歴史の1ページが刻まれてることに、興奮していた。重大事件を目撃していることにウキウキした。
    母が起きてきて、塾からテストの延期を伝えるメールが届いたことを教えられた。

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    7年前のこの瞬間の僕は、どんな夢を見ていたか?きっと、面白い1日だったとか思っていたのだろう。
    でもその瞬間に、東北の人々は。想像もできない。怖かっただろう。寒かっただろう。不安だっただろう。僕が夢を見ている間、何人の人が絶命しただろう。
    恐ろしい。同じ瞬間、同じ国にいて、その感情を少しも共有出来なかったことが。同じ人間なのに。東京の僕はテストを気にしていた。東北の人々は命を落としていった。

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    僕は人として、何ができるだろう。突然の災難が、あの一瞬が、世界を大きく変えたのだ。彼らにとっては。あの日の、あの数時間が、彼らの日常を、彼らの関係を、彼らの世界をとてつもなく大きく変えた。

    どうして自分なんだ。僕ならそう思うだろう。その通り。どうして彼らが被害を受けなければなかったのか。論理的な説明は不可能だ。
    でも事実なんだ…。起こってしまったことは変えられない…。

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    彼らのために何ができるだろう。いや、そもそも何かをするべきなのか?
    募金をする、被災地で復興の手伝いをする、寄り添う…。どれも独善的か。何のために、僕は何をすればいいのか?悲しみを癒せばいいのか?何もしないほうが彼らのためなのか?何をどうすれば良いのか?
    …。

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    結局、何もできない。どうしてやることもできなかった。僕はただお小遣いを募金箱に入れて、それで一区切りとして、現実にフタをした。

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    もし再び、小5のあの日に戻れたら、僕は何をするだろう。答えは見つかっていない。
    でも、見つからないままにしてはいけない!今後、同規模の災害の発生は確定的だ。その時僕は何歳だろう?何をしているだろう?そして、彼らのために何をするだろう?