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ikutama読書記録
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    編集者という病い〔集英社文庫〕見城徹
    解説(小池真理子)のとおり、“見城徹の過去”を凝縮させた一冊。共同体幻想を壊し続ける男の人生が書かれている。
    『悲惨の港を目指す』『新たなる無名』『死ぬために生きる』見城さんからよく聞く言葉が、様々な場面、トーンで語られる。
    苦しむことは決して無駄にならない。心も筋肉と同じで、動き苦しんだ分だけ、鍛えられる。だから自分の不安や恐怖にとことん付き合えばいい。そして一歩踏み出すときには「ロッケンロール!」と叫んで行動するといい。心を両極端に振り切る。もう2度と繰り返したくないという程に自分を追い込むことができれば、それは眩い輝きを放っている。過去を振り返るとそれに気づく。
    不安が無いと、全力は続かない。だから『新たなる無名』を求める。笑って死ねるなら今すぐにでも死ぬ。死ぬのが怖いから仕事と恋愛に全力を尽くす。

    人生とは“死ぬまでの時間”であり、“良く死ぬために生きている”ということは、事実である。一時の気の迷いでは無く、悔いなき死を笑顔で迎えることがどれほど困難なことか。そのためには、考え尽くし、やり尽くし、疲れ尽くすしかない。身も心も、動くと何かが始まる。
    男を漢にする読書でした。

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    大河の一滴〔幻冬舎文庫〕五木寛之
    小説だと思っていたが、随筆。しかし、読み終えてみると、小説(物語)を体験したような感覚。人の命は大河の一滴。大きなリズムに向かって時間を旅する小さな一滴。
    「一見、出来損ないに見える1本のライ麦が土の中でシベリア鉄道の1.5倍もの根を張る」というエピソードに心打たれた。“生きること”それ自体がどんなに、大変で力強い営みなのか、こんなに丁寧に優しく書かれている本は無い。『息絶えた秩序より、生きて命を保つ無秩序を愛する』命はただ生きているだけで尊い。
    「遠慮せず本音を書く」その願望と自己嫌悪。見城さんに迫られ、執筆を決めた心情が、文庫版あとがきに書かれている。『なにかひとつの物語を信じるということによって、人間は少しだけましな動物になったのではないか』作家の葛藤の末の覚悟。
    この本に感謝します。

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    国民総株主〔幻冬舎〕前澤友作
    超スピード出版されたとは思えない読みやすさ。パラパラと見ていても頭に入ってくる。客から株主(投資家)になる。自分の意思で経済に参加し、世の中を盛り上げていく。株取引は未経験ですが、初めの一歩として、株引換券をもらいました。
    前澤さんの考える『世界からお金が消えた日』も楽しみにしています。

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    老いてこそ人生〔幻冬舎文庫〕石原慎太郎
    学生時代に読み、20年以上の時を経て文庫本を購入。
    「老いを迎え撃つ」。老いの存在を認めつつ、耐え、変化し、受け入れ、決して投げ出すこと無く自分を生かし切る。自らの弱点を克服できれば、人の痛みに気づき、救うこともできる。
    影響を受けた作家や死生観が見城さんとシンクロし、時折見城さんの著書を読んでいるような錯覚に陥った。2人が深く影響を与え合う特別な存在だったことが随所に現れている。ゴルフ場でキャディさんに『見城の奴が…重ねて余計なことを言う』の場面、光景が目に浮かび思わず吹き出しました。
    “肉体が在り、その上に人生が在る”という現実。『持病も悪女のように厄介だが、人生の彩り』という男らしさ。そして「時間」がもたらす“変化”の無残。
    最後の三島由紀夫のエピソードは大変興味深かった。死は当人から全て余計なものを殺ぎ落とし、最後の未知、最後の将来がそこに現れる。
    石原慎太郎が69歳で執筆した本。また何年かして、読んでみたい。

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    厨房の哲学者〔幻冬舎〕脇屋友詞
    『つまらないことから逃げ、面白いことだけしていた』少年時代から、厳しい料理の世界へ。“選ぶこと”を恐れていた自分に気づき、目の前の仕事を自分の仕事と認めた瞬間から、鮮やかな景色が現れる。道を選べばどこかに辿り着く。
    誰よりも観察し、先を読み、期待に応える。頼まれたら引き受け、自ら「やっていいですか」と言えるまで努力を続ける。
    中国を旅したときの『良いとか悪いとかいう前に、彼らはいかにも生きている感じがした』という一文に心が躍った。世が変わり人の好みも変わるから、料理人も変わっていく。中国料理の理解をアシストするイラスト付コラムもありがたい。読書も料理も背景を知ると、味わいが一層増す。
    占い師(他人の助言)と自分の選択。自分が選んだと認めた人間の強さ。考え続けるから頑固者では無く“哲学者”と呼ばれる。考えさせられる一冊でした。

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    風邪の効用〔筑摩書房〕野口晴哉
    老いてこそ人生(石原慎太郎)で、活元運動に興味を持ち、購入。著書は、日本の整体の創始者。『風邪は治すものでなく、経過させるもの』。敏感な人は1時間程度で身体を整え、風邪を経過させる。鈍感な人は風邪をひかず大病を患う。風邪には背骨を緩め、整える作用がある。『身も心も弾力を失うと人は死ぬ』。
    「手当て」の語源は手を当てて治すこと。手を当て、硬くなった部分を緩め、身体、命の自然を取り戻すことが根本の治療。

    前提となる知識が不足し、この本を読んだだけでは会得できることは少ない。
    新しい価値観に触れ、自分なりに理解する。先人の文化を吸収して、一歩進めていく。読書の醍醐味とも言える一冊。背骨を意識して過ごしたい。

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    人生の目的〔幻冬舎新書〕五木寛之
    「大河の一滴」の感動が忘れられず、五木さんの本を購入。
    四苦(生老病死)はどれも与えられるもの。かといって受け身に徹し切ることもできない。“強い意志”は才能あって、凡人が容易に真似できるものではない。
    人類全体は地球で過ごす「運命共同体」と言える。一方で個々はそれぞれ違う苦しみを背負って生きている。

    歴史も含めて世界は、自分の一部と考えれば、出会う全てのものが意味を持つ。個々は迷いを脱するため、『何か』を信じる。醜さの自覚の分だけ、信じる力は強くなる。人は思い通りにならない“自分”を変える出会いを探して生きる。思い通りにならないから生きている。

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    軽い気持ちで読み始めたが、緻密な思考と覚悟、工夫の連続に圧倒された。モテるとは求められること。そのために如何に特別な人間になるか。現実と妥協なく向き合い、前向きに力強く自分を高めていく。
    『人は情報の集まり』『何十時間も準備して、食べるのは一瞬』何気なく見逃していたことに気付かされた。
    味の原則を理論的に説明する部分は、目から鱗。シェフが味の原則について、言葉を探し思考を綴る。料理するのも味わうのも、楽しくなる。「誰でも一歩前進できる」そう思わせる鳥羽シェフの優しさを感じた。

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    流しの公務員の冒険〔時事通信社〕山田朝夫

    “現場”を渡り歩く「行政の職人」。“問題の本質、ゴール”を見失わず、関係者を巻き込む“渦”を作り出す。
    意思決定のプロセスに関係者を巻き込むと、プロジェクトの熱量が桁違いに増す。会議の回数や提供資料は要望に応え、愛着を育む。全員の思いを載せた意見書を作り、【責任者】に提出する。理屈ではなく、物語と感動が人を動かす。
    「挨拶・真剣・丁寧」というコミニケーションを支える土台を固め、「“ここ”をキレイにすることは“世界”をキレイにすること」、「本質に迫らないのは“仕事”ではなく、“妥協、逃避”」と奮起する。『ミス・パーフェクトが行く!(幻冬舎)』の元ネタになった一冊。

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    一日一生〔朝日新書〕酒井雄哉
    日本最大の苦行と言われる千日回峰行を2度満行した大阿闍梨。苦行を遂げるコツ、苦行の意味についてさらさらと語る。
    『人は身の丈に合うことを、毎日くるくる繰り返している。』それぞれ修行に最適な環境を与えられている。だから毎日コツコツと一生懸命“繰り返す”ことが大切。一日を一生と考えて全力を尽くして明日を迎える。“歩くこと”は人間の原点、まず歩くことから始めるといい。生きている限り何歳になってもやらなければならないことがある。
    『トッコトッコ歩く、のっこのっこやる、くるくる繰り返す』繰り返しの中で自己検証し、信頼関係を育み、“残されたもの”としての命を全うする。