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礼二えもん
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一月七日 寒の雨、考へさせる雨だ。 △一杯の酒は甘露だつた、百杯の酒は苦汁ニガリとなつた。 清貧に安んじて閑寂を楽しむ、さうなる外はない、それが時代おくれであらうと、何であらうと。 何のための出家ぞ、何のための庵居ぞ、落ちつけ、落ちつけ。 「身のまはり」 三日の夜から今朝まで考へつゞけた、そして或る程度の諦観を握ることが出来たので、掃いたり拭いたり、身辺を整理した。 あるのは命だけだ――まだ命だけは残つてゐる。 さびしい昼餉だつた、ソバノコだけだつた。

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