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いく丼大盛り一丁‼︎

アイドル坂 #2 響「さて、そろそろ行くかな…」 響は親友美香との待ち合わせ場所へ向かうことにした。 問題は誰にも見つからずに家を出たいのだが、幸いにも父ちゃん達はすっかり酔っ払っているし、親戚の子供達や弟は夢の中。 あとは勘の鋭い母ちゃんさえやり過ごせば脱出は成功だ! 何事も無くまずは家を出たい、しかしなかなかそううまくいかないのが世の習わしだ。 響が玄関の扉に手をかけた時、なんとも言えない視線を感じた…。 振り向かずに玄関の大きな鏡に目をやってみた…。 響「たかし!😳」 弟のたかしが眠そうに立っているのが見えた。 たかし「姉ちゃんどこさいぐの?」 響「えっ!どこも行がねえよ〜😅😅😅」 たかし「嘘だ」 響「嘘でねえ、あれだ、あぁ〜、ほれ、雪さどのくれえ積もってるか見るだけだ。🙄🙄😏」 たかし「姉ちゃん、ここは秋田だよ、雪なんてずっと前から積もってるよ。😎😎😎」 響「そうだね…。😥😥😥」 たかしは小学四年の弟なのだ。 しかもちょっと生意気。 たかし「母ちゃんに言付けちゃおうかなぁ〜😎😎😎」 響「ちょっと待って、それはダメ!!!😱😱😱」 たかし「じゃぁ、なんかちょうだい、そしたら黙ってる。😎😎😎」 一番面倒臭いのに見つかっちゃったなぁ…。 なんでこのタイミングで起きてくるわけ? いつもはぼぉ〜としてんのに…。 っていうか、****掻きながら話しかけんなっつうの!!!!😡😡😡 響「わかった、明日たかしの欲しいものあげるから母ちゃんには黙ってて。」 たかし「わかった!じゃあ黙ってる!」😁 思わぬところで時間がかかったが、ほぼほぼ約束の時間に間に合ったみたいだ。 校門前には赤のダウンを着た美香が足踏みをしながらすでに待っていた。 美香「いっつも私が先だよね!遅刻じゃないから良いけど、たまには私より先に来ようとか思わないわけ?」 この雪の中、外で待ち合わせなんて私らくらいだし、そもそもここを待ち合わせ場所にしたのはあなたさまです! なんて言えない…。😅 響「ごめん、ごめん、出掛けにさぁ、たかしに見つかっちゃってさぁ、本当もう少し早く着く予定だったんだけどね。ハハハ。😅」 美香「えっ!大丈夫なの?」 響「うん、全然平気、あいつ超子供だから。😊😊😊」 美香「じゃぁ、行こっか?」 響「うん!」 雄物新橋の先に小さな神社がある。 子供の足ではかなりの距離だが、小学校生活最後の思い出にどうしても響は行ってみたかったのだ。 明日は正月早々怒られるだろう、でも自分で決めたこと、自分だけで決めたことを最後までやり遂げたい。何もないこの秋田にいて、他人から見たらなんてことない小さなことかもしれない。でも、何もないところから自分で決めたことをやり遂げる。 今の私に出来るこれが全力なんだ! いつもなら、お気に入りのマフラーに顔半分を隠している響、だけど今夜はなぜだか顔全体で小雪混じりの風を受け止めたい気分だ。 美香「だいぶ歩いたねぇ〜」 響「そうだね、橋についたら少し休もうか。」 美香「うん、賛成!٩( ᐛ )و」 どのくらい歩いただろうか、心に秘めた熱い想いと、美香のおしゃべりのおかげで雄物川までは意外に直ぐに感じた。 美香「響、紅白観てた?」 響「ううん、点いてたけど観てない。」 美香「まじで!乃木坂観なかったの?!」 響「何それ???」 美香「あんた、乃木坂知らないの?」 響「しらなぁ〜い😑😑😑」 美香「あんた逆にすごいわ!乃木坂46っていってね今一番人気があるアイドルグループなんだよ!」 響「ふぅ〜ん🤥🤥🤥」 美香「しかもね!、全員かわいいんだよ!全員!!!わかる?!」 響「全員?それは言い過ぎ!笑」 「AKBだってかわいいこいっぱいだけど、あれれ???って感じのこいるじゃん!笑」 美香「それがさあ、乃木坂にはそういうのいないの!」 実は美香はかなりのアイドルオタクで、そのあたりの情報にはかなり詳しいのだ。 美香「私ね、今度乃木坂のオーデイションあったら受けてみたいんだ!」 響「えっ!まじで!?」 美香よ、乃木坂初のあれれ???なこだと思うのだが…。 美香「響、私いけると思うんだよね〜、どう思う?」 響「うん!いけるんじゃない!!!ハハハ😅」 今年最後の大嘘だ…。 美香「よーし、神社でしっかりお願いしちゃおっと!」 新年早々神様も大変だよ…。 そうこうしていると、雄物川の雄物大橋が見えてきた。 あの橋を子供だけで渡るのは初めてだ。 押し寄せる高揚感と共に足早になる響。 しかし、橋の袂には見覚えのある顔が…。 響「母ちゃん…。」 続く…

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