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俺は村に帰ると、幼馴染みのルンが待ち構えていた。 「あ、帰ってきた。スライムに取り憑かれたおバカキルト」 「誰がスライムに取り憑かれてるだ‼︎」 地味に傷つくぜ。 「だって10年以上も一心不乱にスライムを潰してたらそう呼ばれるって」 ……そう言われると納得してしまう。 「あ、バカでもないぞ」 そこも訂正よろしく! 「バカじゃない人は10年以上もスライムを追いかけないわよ」 ……何だよ。 納得しちまうじゃねーか! なんでもかんでもスライムを結び付けるな。 あいつらにも命があるんだぞ! あ、コレは俺が一番思ったらダメなヤツだ。 「で、何でお前がこんな場所にいるんだよ」 話題を変えよう。 このままじゃ俺が不利だ。 「あんたのパパとママにお願いされたのよ。あんたを迎えに行って来てってね」 「そうだったのか。ゴメンな〜。ウチの両親が無理言って」 巻き込まれてしまったのか。 迷惑をかけてしまった。 「いいわよ。別に。あんたはここを通るって知ってたからここで待ってたのよ」 「ありがとうな。ルン」 「べ、別に、礼とかもいらないし。そ、それにしても今日は早いじゃない」 照れが見え隠れしてるな。 相変わらず、素直じゃない。 「今日は両親に早く帰ってこいって言われてたからな。それに……」 「それに?」 「目標を達成したからな」 「ハァ?」 ん?この距離で聞き逃すかな〜。 「目標を達成したって言ったんだ」 「マジで言ってんの。あんた……」 うわー。 メッチャドン引きじゃないですか〜。 だと思うけどね。 「ほら、ステータスカードだ」 「……あり得ない」 「あ!おい‼︎」 ルンが気を失った。 そんなに衝撃的だったか? まぁいいか。 おぶってら帰るか〜。

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『最弱を沢山倒して最強へ』
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    俺はとうとう成し遂げた!

    自己ステータスを開き今までに倒したモンスターを確認するページを開いた。

    そこに書かれていた名前は一つ。

    「スライム」

    の文字だけである。

    スライムとはこの世界、リコンモの中で最弱のモンスター。

    どのくらい最弱かと言うとこいつらが束になっても子供が殺される事は何かしらの事故がない限りまずないだろう。
    まぁ、代償として洋服が溶かされるのは仕方ない事だ。

    この俺も子供の頃は素ッ裸で家に帰って親に怒られたのも、今となっては懐かしき思い出だ。

    俺が初めてスライムを倒したのは3才だった。

    3才の男の子が木の棒で叩くと死ぬ悲しきスライムを当時は面白い遊びだと思っていた。

    どうやら俺の村の裏山はスライムの群生地域らしく、毎日スライムを倒して生活していた。

    ある日、自分のステータスが分かるプレートを両親から貰い俺がそのプレートをイジっていると、討伐数らしきモノのが表示されたのを皮切りに俺の目標が決定した。

    【スライムを一億匹倒す】

    これは俺が5才の時に思った事だ。

    何故億なのかは特に深い理由は無い。
    多分ちょうど億という単位を親に教えてもらった程度だったような気がする。

    そして俺はとうとう達成したのだ!

    【討伐モンスター】
    ・スライス×100000000匹

    長かった‼︎

    本格的に討伐を始めたのが5才の時だから10年はスライムを倒し続けた。

    倒したから何だと言う話しだが、特に得られる物は無いのだ。

    モンスターは倒すとアイテムを残す事があるのだが、ある程度の強さを持っていないとアイテムはドロップしない。

    なので俺はスライスを倒して拾ったアイテムはほとんど無い。

    だが良いのだ!

    目標を達成する事が重要だったのだ。

    見返りを求めてやっていた訳じゃないしな。

    現在、太陽は真上にある。

    両親が今日は早く帰って来なさいと言ってからな。

    今日は帰るか。

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    俺は村に帰ると、幼馴染みのルンが待ち構えていた。

    「あ、帰ってきた。スライムに取り憑かれたおバカキルト」
    「誰がスライムに取り憑かれてるだ‼︎」

    地味に傷つくぜ。

    「だって10年以上も一心不乱にスライムを潰してたらそう呼ばれるって」

    ……そう言われると納得してしまう。

    「あ、バカでもないぞ」

    そこも訂正よろしく!

    「バカじゃない人は10年以上もスライムを追いかけないわよ」

    ……何だよ。

    納得しちまうじゃねーか!

    なんでもかんでもスライムを結び付けるな。

    あいつらにも命があるんだぞ!

    あ、コレは俺が一番思ったらダメなヤツだ。

    「で、何でお前がこんな場所にいるんだよ」

    話題を変えよう。

    このままじゃ俺が不利だ。

    「あんたのパパとママにお願いされたのよ。あんたを迎えに行って来てってね」
    「そうだったのか。ゴメンな〜。ウチの両親が無理言って」

    巻き込まれてしまったのか。
    迷惑をかけてしまった。

    「いいわよ。別に。あんたはここを通るって知ってたからここで待ってたのよ」
    「ありがとうな。ルン」
    「べ、別に、礼とかもいらないし。そ、それにしても今日は早いじゃない」

    照れが見え隠れしてるな。
    相変わらず、素直じゃない。

    「今日は両親に早く帰ってこいって言われてたからな。それに……」
    「それに?」
    「目標を達成したからな」
    「ハァ?」

    ん?この距離で聞き逃すかな〜。

    「目標を達成したって言ったんだ」
    「マジで言ってんの。あんた……」

    うわー。

    メッチャドン引きじゃないですか〜。
    だと思うけどね。

    「ほら、ステータスカードだ」
    「……あり得ない」
    「あ!おい‼︎」

    ルンが気を失った。

    そんなに衝撃的だったか?

    まぁいいか。

    おぶってら帰るか〜。

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    俺の家は村の端寄りにあるので村の裏口からかなり近い。

    歩いて数分で自宅に到着する。

    「ただいま〜。誰か開けてくれ〜」

    俺の言葉が聞こえたのか、母さんがドアを開けてくれた。

    「あらあら。ルンちゃんと会わなかったの?」

    ドアを開けながら俺に話を振ってきた。

    「ありがとう、母さん。ルンは俺の背中で気絶中」

    背中におぶっているルンを見える様に身を捻った。


    「あらあら。ベットに寝かせなさい。私が診て見るわ〜」

    家に入り、リビングにあるベットにルンを寝かせた。

    すると母さんはルンに魔法を使った。

    「〈癒しの光〉」

    ルンの頭の上に置いた母さんの手から優しい光が出た。

    聖属性の魔法だ。

    母さんは以前に教会で働いていたらしく、この魔法もその時に修得したらしい。

    「ルンちゃんは大丈夫そうね」
    「そっか。よかった」

    いきなり倒れたからビックリしたよ。

    「ルンちゃんが気絶した理由は薄々気が付いてはいるのだけど、少ない可能性に賭けて聞いて見るんだけど、どうしてルンちゃんは気絶したのかしら〜」

    顔と声はいつも通りの優しい感じだが、目が笑っていない。

    「母さんの思ってる通りだよ。目標を達成したって言ってステータスカードを見せたら気絶したんだ」

    母さんは頭を抱えて言った。

    「あなたの目標は知っているわ。【スライム1億匹倒す】だったわね?」
    「そうだよ」
    「……達成したの?」
    「うん」
    「いつ?」
    「今日」
    「達成しちゃったのね……」

    信用してないのか?

    「カード見る?」
    「見とくわ」

    カードを差し出し、母さんに渡した。

    母さんはカードを見て何も言わずに俺に返した。

    褒めても良いんだぜ?
    母さん。

    「あなたはもう、裏山に行かないの?」
    「二度と行かないって事は無いと思うけど、今までみたいに毎日は行かないかな〜」
    「来週からあなたは別の場所に行く事になったって言ったらどうする?」
    「え?別に構わないけど、旅行?」

    母さんは抱えた頭を上げて俺の目を見て口を開いた。

    「あたな、来週から学校に行ってもらうから」
    「ハァ!?」

    どういう事だ!?

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    オイオイ、母さん。

    あなた様は今、何とおっしゃいました?

    「学校に行くのよ。来週からね」
    「え、ヤダ」
    「ルンちゃん楽しみにしてたわよ?」
    「ルンも行くのかよ!」

    何でこいつが?

    「ルンちゃんには聖属性の魔法の才能があるわ。だから推薦枠と私のコネを使って学校に行くのよ」

    前からルンは母さんから聖属性の魔法を習ってたからな。

    才能は生かした方が良い。頑張れよ。ルン。

    「ルンちゃんが学校に馴染めないでイジメられたら可愛そうでしょ?だからあなたも行くの」
    「意味が分からん」

    俺はこいつの保護者として行くのか?

    「ルンちゃんに彼氏ができちゃうかもよ?」
    「良い事じゃないか」

    こいつは見た目だけは可愛いからな。
    騙されて好きになる奴もいるだろう。

    「キルト、あなた鈍感なの?」
    「分からないけど、普通なんじゃないかな?」

    どうした急に?

    「あなたは推薦じゃないから頑張って合格してね」
    「やる気が起きない」
    「ペットにスライムを買ってあげるわよ」

    俺はそこまでスライムの事を好きではないんだが……。

    「俺がペット選択して良い?」
    「何が良いの?」
    「卵系の奴ならなんでも良いよ」

    母さんは目を見開き驚いている。

    「スライムの呪いは解かれたのね!」

    嬉しそうだね!

    そして、

    「噂の元凶はあなたか!」

    あ、しまった!みたいな顔しても、もう手遅れだ。

    「分かったわ」
    「騙されないぞ。先に物を貰おうか!」

    母さんの手口は分かってる。

    「生卵と半熟どっちが良いの?」

    そっちできたか!

    「明日からもスライムを追い続けよう」
    「母さんが悪かったわ。ちゃんとしたペットの卵を渡すから学校に行くのよ」
    「分かったよ」

    試験に落ちたら仕方ないな。