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「ハハハッ…ついに、ついに完成したぞ…我が野望を果たす時は近い…」 暗い室内の中央にある棺を見つめ、男はただただ高笑いを続けた。 棺の中の物体には『109』と書かれてあったーーー。 そこに、孤独な足音が近づいてきた。 「どうだ、完成したか」 「あ、あぁ!これで、お前と私の野望が…ぐぁっ!」 「眼魂を数多く無駄にした甲斐があった…これさえ出来上がれば、もう貴様は必要ない…『蛮野天十郎』」 「マコト兄ちゃん!」 明るい髪色の少年は駆けていた。 目線の先には背の高い青年、深海マコトの姿があった。 「なんだ、タケル?」 マコトに追いついた天空寺タケルは、ニコッと笑い、声を上げた。 「やっとカノンちゃんも元気になったし、マコト兄ちゃんも元に戻ったんだからさ、これからは一緒に眼魔倒していこうよ!」 「ふっ。なんだそんな事か。 当たり前だ。力を合わせて、眼魔の野望を止めるんだ」 マコトと優しい笑みを受けると、改めて仲間になれたんだと実感する。 「ここに居たか、スペクター…」 静かな声に2人は身構えた。 聞き覚えのある、危険な声だったからだ。 「どこにいる、アラン!」 「それは尋ねる態度ではないな。」 「「っ…!!」」 後ろに飛び退く2人。 アランが眼前に現れたからだ。 「構えなくてもいい。今日は、眼魂を奪いに来た訳じゃないさ。面白い物を見せてやろう…」 パチンと指を鳴らすと、アランの背後からどこか見覚えのある物体が現れた。 「それはっ…『ロイミュード』⁉︎」 タケルが叫んだ。 「だかロイミュードは108体全部剛達が倒したんじゃなかったのか⁉︎」 「見てマコト兄ちゃん!胸のナンバー…」 2人で同箇所を見た。そして同時に声を落とす。 「「109」」 「そう、こいつはロイミュード。新たに産まれたばかりの、110体目のロイミュードだ。」 「ロイミュードは泊さん達の相手だけど…」 「目の前の敵を見逃す訳には行かない。 行くぞ、タケル!」 2人はゴーストドライバーを浮かび出し、眼魂をセットした。 「「変身!」」 力の差は、歴然だった。 2人は同時に何度も攻撃した。 だがロイミュード109は意に介さず、全てを受け止め、攻撃の間を縫って反撃する。 「なんて力だ…」 「ふふふ…お前達で敵うはずがない。 私は『神』なのだから」 「かみ、だ、と…」 一定の間を置き、ロイミュード109は音声を出した。 「私は『ハデスロイミュード』」 それだけ聞いて、2人の意識は夜に消えていった。 次の朝、2人は真っ白な部屋のベッドで目を覚ました。 「ここは……?」 「病院だ」 タケルは声の先を見た。 そして、懐かしい顔に思わず笑みがこぼれる。 「泊さん…どうしてここに?」 「夜中、2人が倒れてるって通報を受けたんだ。若いからケンカだろうって。 でも来てみたら驚いたよ。なんたって仮面ライダー2人が倒れてるんだからな。」 そして、真剣な眼差しをタケルとマコトに向けた。 「何があった?」 2人はお互いを見て、マコトが静かに声を絞り出した。 「ロイミュードと戦った…」 「なんだと⁉︎ でもロイミュードは俺達が全員倒したはずだ…」 「ナンバーは109だった」 「109? ロイミュードは108までしかいないはず…」 「アランが言ってた…新たに産まれたばかりのロイミュードだと……」 「繋がった…昨日の午後、お前達の通報が来る前、謎の焼死体が見つかったんだ。まだ身元は分かってなかったが、恐らくそいつは蛮野だ。」 「蛮野…?」 「機械生命体、ロイミュードを作り出した、言わば悪の根源だよ」 突如割り込んできた声は、どこか懐かしみを帯びていた。 「蛮野天十郎。ロイミュードを生みだし、姉ちゃんを侮辱し…俺のダチを殺した最低最悪の悪魔だ」 「剛、遅かったな」 「悪いね、進兄さん。 これでもアメリカからマッハで帰ってきたんだけど」 2人の話が盛り上がりそうで、タケルが切り上げる。 「その…蛮野って人が死んだのがなんで繋がるんですか?」 「あぁ…蛮野は、もう死んでる存在なんだ。だから、焼死体が見つかる事自体が違和感。でも、その焼死体が見つかった場所は、古くから不可思議現象が起こっていた場所。俺が見解するには、眼魔が蘇らせたんじゃないかって読んでる」 そこまでの話を知っていたかのように、剛が話を引き継ぐ。 「そして蛮野は、この世界を手にいれるために新たに最強のロイミュードを作ろうとした。でもそれを眼魔に利用されて、出来上がったロイミュードを横取り。邪魔になった蛮野は即排除って訳さ」 それを聞いて、タケルとマコトも視線を落とす。アランならやり得ない事ではないからだ。 「109はどんな姿だった?」 「えっと…まがまがしい感じで、確か…『ハデスロイミュード』って名乗ってました!」 不意に聞かれ、少し返答が淀んだが、一応ちゃんと答えた。 「ハデス…ギリシャ神話No.3の力を持つ、あっ!」 「どうした剛?」 「『冥界の神』だ…」 「冥界って…死者の世界の?」 「そう。だから蛮野は…ハートやブレン達を蘇らせようってしてたのかもしれない!もしその力がハデスロイミュードにあるんだとしたら…」 「眼魔が蘇らせるとしたら…ダヴィンチ眼魔、ラファエロ眼魔、ミケランジェロ眼魔か」 4人が息を呑む中、事件は起きようとしていた。 ここは深き森林の中央にそびえ立つ城。 アランの眼には、ハデスロイミュードが映るのみだった。 「さぁ、私の為に働いてもらおう、ハデス…」 「俺は命令されるのが嫌いだ。誰からの命令も受けんぞ」 「そうか…面倒な性格なようだな。 まぁいい。私が欲しいのはお前ではない、お前の力だ。その、『死者転生装置』に力を注いでくれるだけでいい。そうすれば、その後は好きなだけ地球で暴れまわってくれれば…」 「それならば良い。神の力を注げば、こいつは永久機関として、多くの命を蘇らせるだろう。はぁぁ…」 ハデスロイミュードは死者転生装置にエネルギーを注いだ。そして、それは動き出した。 「もう良いぞ。好きなだけ暴れろ」 アランの声を合図に、ハデスロイミュードは城から姿を消した。 「これで…私の邪魔を出来るものは居なくなった…まずは手始めに…蘇るがいい、ロイミュードNo.002、003、009」 アランの声に反応し、機械は物凄い音を立てながらエネルギーを3箇所に放出した。そして、黄金に輝く3つの物体が現れた。 「ここは…地獄、ではないようだな」 「実に煌びやかで豪勢で優雅な場所のようですね」 「それには見合わない大きな機械が、全体の質をかなり落としてるようですわね」 口々に発言する彼らをアランが制止する。 「地球に再び足を踏み入れれた事を感謝しろ。私がいなければ、お前達は地獄で惨めな生活をしている所だったのだからな、ハート、ブレン、メディック。 今日からはこの、アランに従ってもらうぞ」 3体は人間態に戻り、悪戯な笑みを浮かべて静かに城の奥へと消えていった。 「さて、次は…この世界を眼魔世界と同一にする為に、オリンポス12神の力を利用するとしよう…ふふふふふ… さぁ、姿を現せ!神の名を持つ眼魔達よ!封印された忌わしき過去を脱ぎ捨て、今ここに復活せよ! 『ゼウス』『ネプチューン』『ヘラ』『アテナ』『アポロン』『アレス』『デメテル』『ヘパイトス』『アルテミス』『ヘルメス』『アフロディテ』『ヘスティア』!」 12の雷はハデスロイミュードに惹かれるように、城を飛び抜け高い建物の並ぶ東京へと向かっていったー。

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