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発砲(八方)スチロール美人 衛藤美彩編
「ふぅ~久しぶりだな…」
僕は実感しながら駅のホームに降り立った。
久しぶりに帰ってきた地元はやはり僕にとって爽快だった。
街の雰囲気や人の雰囲気…。
一瞬で僕は溶け込んでしまった。
…突然、携帯が鳴った。
案の定、美彩からだった。
少し前から美彩には地元に帰ることを伝えておいたのだ。
地元に帰ると必ず美彩と屋台に飲みに行く。
やはり、これがないと地元に帰った気がしない…。
少しすると美彩がやってきた。
「久しぶり!元気にしてた?」
「そっちこそ元気にしてた?」
一通りの会話を終えるといつもの屋台に向かった。
美彩と僕は大学の同級生の同じ学部。
一時期は付き合っていた時もあったが、今はとても気の合う親友といった所であろう。
そして、今年お互い社会人4年目。
僕は東京で美彩は地元で立派に働いている。
屋台に着き一通りの物を頼んだ。
もちろんあれも……。
…すぐにあれがきた。
美彩の大好きなお酒だ!
美彩はとにかくお酒が好きだ…。
今日もやはり美彩は麦焼酎だった。
「本当に麦焼酎好きだよね。」
僕が、関心したように言う。
美彩は笑顔で首を縦に振った。
「乾杯!」
僕の声の後にガラスの軽くぶつけて鳴らした音が響いた。
お互いの仕事の話や愚痴、大学時代の話、野球の話など話のネタは尽きなかった。
あっという間に時間は深夜になろうとしていた。
「そろそろ帰るか。」
僕がタイミングをみて美彩に言った。
「ねぇ。どのくらいこっちにいるの?」
美彩が突然聞いた。
「えっ…。2~3日したら帰るけど。」
僕は、戸惑いながら答える。
「もう1回最後の夜に飲まない?」
美彩が真剣そうな表情で聞いてきた。
「あ、あぁ…。いいけど…。」
僕は、どうしたのだろうかと思いながらも何も聞かずとりあえず了解だけした。
2人が解散した後も僕は家路に向かいながら悶々と考えていた。
美彩がもう一度飲もうと誘ってきたのは初めてだった。
何か言えなかったことでもあったのだろうかと考えたけど僕には何も浮かんでこなかった…。
そして、数日後僕たちはまた同じ場所で飲み始めた。
しかし、美彩の表情がどうもいつもと違った。
なんか凄くあらたまって緊張しているような……。
「なんか今日いつもと様子が違うんじゃない?どうしたの?」
僕は、神妙な顔で美彩に聞いた。
「実は…」
美彩が言いかけた途端美彩は泣き始めてしまった。
「ちょっと!?今日本当に変だぞ。」
僕は、心配そうに言った。
僕は、ふと瞳を閉じてみた。
しかしわ美彩の心の声は聴こえてこない……。
しばらくして、やっと美彩は落ち着いた。
「実は、私別れたくなかったの。別れてみてさらに気がついた。あなたと一緒にこれからもいたい。」
美彩の今まで抑えていたいくつもの叫びだった。
「バカだな…僕は…なんで気づいてやれなかったのだろう…」
僕は、落胆しながらつぶやいた。
「僕も寂しかった。美彩といると落ち着くし、楽しいし、大好きだし……」
僕も、今まで抑えていたいくつもの叫びが爆発した。
「結婚して下さい。」
美彩は、首を縦に1回縦に振った。
僕は、美彩を大切にキュッと抱きしめた。
「私のために あなたのために」
「私のために 美彩のために」
2人はそう夏の夜空に誓った。