【グッジョブ。と彼はウインクした】


六本木通りを疾走した後、ずっと気になっていたことがある。それは駆け抜けた時にちゃんと腕を振っていたのか。ということだ。

餅は餅屋というから陸上アスリートに意見を伺いたかったが、なかなか場面がないまま時が過ぎていた。

ある年のこと。ニューヨーク線の機内でウサイン・ボルト選手と話す機会に恵まれた。言わずと知れたオリンピック100メートル金メダリストだ。

千載一遇。自分は思い切って腕のフォームを尋ねた。

「あなたの走りを見たわけではないから断言出来ないが」

意外に若い顔つきのメダリストは優しい眼差しで答えてくれた。

「もし結果を出せたのなら フォームは正しかったということだ。」


誰かのほんの一言が 別の誰かの人生を救うこともある。
センチメンタルとは、そういうことかもしれない。



#ごめんなさい

#半分くらいはホラです