紅白出場記念企画 紅白までの4年間の軌跡 振り返りレビュー 『走れ、bicycle』 放課後 幼馴染の彼女と 帰る方向が一緒という 偶然を言い訳に いつも一緒に帰っているのが日常だった 平凡という名のときめき 私が唯一恐れている事 それは この日常が日常でなくなる事 だから僕は守りに入る 『異性の交友関係って 成立しないって言うけど そんな事ないよなっ！』 僕は自信満々に言い放った 崩したくない鉄の理論 彼女の顔が少し曇る 気付いてはいたが 触れないようにした すると彼女は 『どうなんだろうねっ？』 動揺する 日常が揺らぎだす 必死に話題を変えようとするが 非日常に 僕の心と体がついていかない 横を歩いていた彼女が 小走りに夕日の前に出た 『少なくとも私は 異性の交友関係は成立 しないと思う』 鉄とは意外に脆いもんだ 『今も、そうだよ そして、 今までもずっと』 そう言うと彼女は一目散に駆けていった その時彼女の顔が赤く見えたのは夕日のせいだったのか 今となっては判別出来ない 突然の告白 暫く立ち尽くしたまま 頭の情報処理を開始する 昔の98シリーズ並みの処理能力 遅い やっと整理できた時には 彼女は見えなくなっていた 私は手押しのママチャリにまたがり 無我夢中で追いかけた 無我夢中とはよく言ったもので 自転車を漕いでいる感覚などまるでない 上半身の左右の揺れが 最早風をかき分け 空中を走っているようだった 『もっと早く』 『俺もだっ』 『俺もなんだっ』 伝えたいんだ この思い 成長してたんだ 両想い