AYUKOのトーク
トーク情報- AYK
AYK ロベール・ルパージュひとり芝居
『887』
ルパージュを取り巻く人々と社会体制の変化。
父親の仕事が理由で最高級を取りながら私立に進学できなかった過去を語りながら、次第にそれはマイノリティであるケベック民族の話に発展してゆく。
スピーク・ホワイト!
白人の言葉を喋ろ。
フランスに忘れられたカナダ。
1960年代のケベック・シティーで育った彼は、子供の時に住んでいた「887」番地を思い出しながら、過去と現在を重ね合わせる。
カナダの国旗はなぜ赤1色になったのか。
なぜ私立に進学できなかったのか。
国とは。
民族とは。
カナダでフランス語を話すということは。
世界一有名といっても過言ではないほどの演出家、そして映像の魔術師と呼ばれるロベール・ルパージュ。
ライブや舞台の映像演出方法はすべめ彼が生み出してきたと称されている。
ミニチュアの中と外、iPod touchを使った映像投影、折り畳みセット、すべてが異空間を作り出す革新的演出方だった。
しかし特筆すべきは、英国のEU脱退が決まったその日に幕をあげたこの舞台の運命的要素と、物語終盤の独白。
それは、イギリスもフランスも、そしてカナダ自身さえも忘れかけていたような“記憶”を、血の混じった咳のように吐き出される、怒りと狂気の混じった叫び。
スピーク・ホワイト!!
ミシェル・ラロンドの詩に乗せた幕切れは、熱い言葉の強さに隠された、砂を噛むようなルパージュ自身の記憶と、カナディアンの歴史を垣間見させてくれた。
これがいまの日本にどう受け入れられるのか、周りの感想が楽しみでしかたない。