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ゆめみん@野菜の妖精

 「もう、ほんっと、あなたってだらしがないわね」  山奥で迷ったケンスケとヒナタはこれからどこへむかうか分からぬまま獣道というか誰かが散らかしたような道をやみくもに歩いていた。  足が棒のようになりケンスケとヒナタ夫婦はその場で座り込んでしまった。  さて、先程あくたいをついたのは、妻の方、ヒナタだった。  二人は微妙に距離をあけて地面に座り込んでいる。  「お腹すいたわね。お弁当もお昼に食べちゃったし」  鳥がさえずる他には音のしない森の中に太陽がかたむきはじめていた。  ヒナタは少しパニックになりケンスケを罵倒したのだ。  すると、枯れ草や枝木をふみしめる音がガサッガッサと近づいてくる。  こんな山奥に人が住んでるわけがない、いのししやクマ、なにか危険な生き物に違いない。  「だから登山なんて嫌だったのよ。ゴールデンウィークだからってどこかに行こうなんて言って。なんで山登りなの?」  「自然にふれてみたいと思ったんだよ、そうカリカリするなよ」  ケンスケは震える声でつぶやいた。  そうこうしてるうちに足音が大きくなった。  もうだめだ。っと二人が思った瞬間。  「ohどなたデスカ?」  見上げると金髪の外国人の女性がかごいっぱいのキノコを入れて軍手をはめ立っていた。  最近は外国人は珍しくないが何故こんな山奥に外国人が?  しかも、かなり若い、20代ぐらいだろうか?  そう二人は思ったが人がいたことにはあんどした。  丸太で作られた家に外国人に案内された。  外国人の女性の名前はエレンと言った。  その家には大きく(エレン・ベーカーリー)とカタカナで書かれていた看板がかかげられていた。  「あなたはパン屋なの?」  ヒナタはパンの形の木製のそれに目をやりながら聞いた。  「イイエ、私は日本のガキ達に英語を教えている教師デース」  黒いシュシュでとめた髪をゆらしながらエレンは店の入り口まで進んでいくと少し離れた距離にいた夫婦にてまねきした。  外国人だから自分の方に腕をふるカムカムだったが。  パン屋に入ってみるとパンのにおいががあたりを包み込んでいた。  エレンはカウンターごしの調理場で小麦粉をバンバン叩きはじめた。  ケンスケとヒナタはきりかぶで作られた椅子に座り、鼻と鼻がぶつかりそうな小さなテーブルに座るように言われた。  そのため二人の距離がかなり近い。  西向きの小さな窓からは夕日がさしこんでいてそこから二、三歩歩いた所に金髪のエレンに似たアニメのキャラのポスターがはってあった。  ティロなんとかとかいてある。  エレンはうでまくりした服からのぞいた細い腕でひたいに流れる汗を笑顔で拭いた。  「どうしてこんな所でパン屋を?」  ヒナタはケンスケと顔を会わせたくなかったのでエレンの方を向き問いただした。  「私はおいしいパンを日本のみなさんに食べてまらいたくて教師をしながら細々とくらしていマース。ただそれだけデース」  しばらくしてパンの焼けるにおいが部屋全体をつつんだ。  お腹をすかしている二人はそわそわしている。  「あの、すみません。私達にパンを食べさせてもらえませんか? お金は払います」  ケンスケはエレンにカウンターごしに話した。  「oh! おあしはいりまセーン。私の心のばかりの、お、も、て、な、しデース」  エレンはにっこり笑ってキノコが入った焼きたてのパンを夫婦のテーブルに置いた。  「毒は入ってないでござるよ」  エレンはカイエ……、お侍に憧れていたのでござるをときたま使う事がある。  ケンスケはバスケットに入った焼きたてのパンをひとつ片手で持ち上げると、パリッと皮の音が心地よく歯にふれ、やわらかな中身がスッと入っていきもぐもぐと口を動かすとパンとキノコのかおりが口からはなへと運ばれてゆき、なんとも美味であった。  「お前も食べろよ」  もう片方の手でケンスケはヒナタにキノコパンを渡すとヒナタはパンを少しちぎり口許に運んだ。  「おいしい!」  ヒナタはおもわず大きな声をだした。  エレンはそれを聞いて満足そうに大きくうなづいた。  ★  「山の出口を教えてくれてありがとうございます。それにこんなにパンをくださって」  ケンスケはかごいっぱいのパンを持っていた。  ケンスケとヒナタはいつのまにか手をつないでいた。  「礼にはおよばぬよ。二人に幸せをお、す、そ、わ、けデース」  そう言いながらエレンは、  「チョイナ、チョイナと歌いながら山を登っていった。  「素敵な人だったわね」  ならんで歩きながらヒナタは言った。  「もしかして山の妖精かもよ」  ヒナタはケンスケの冗談に笑った。  「うん、キノコ持ってたしね」  山奥にある小さなベーカリーは今もどこかにある。

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  • ゆめみん@野菜の妖精
    ゆめみん@野菜の妖精

    ドット絵の地球
     「日向、俺達、どうしちまったんだろうな?」
     「うん、僕達、いや、草木や空までみんなカクカクしているよ。ケンイチもカクカクしているし、シンジラレナーイ」
     二人はカクカクした公園でこんな事を話していた。
     普通なら不思議な二人の会話。
     しかし、今は違う、二人のいる公園は全てカクカクだ。
     会社に向かうサラリーマン、おしゃべりしている主婦達、みなカクカクしている。
     歩き方もぎこちない。
     「みんな、気づいてないのかなぁ?シンジラレナーイ」
     日向は主婦達をカクカクした目でとらえてそう呟いた。
     「そんな事ないだろう、現実を受け入れないようにしているんだ」
     ケンイチと日向がどうなってしまったかというと昔のゲームのようにドット絵になってしまっていた。
     ドット絵とはファミコン、スーパーファミコンをしていた人ならよく分かるであろう、あのたくさんの四角で構成された、人物、自然の絵だ。
     朝起きると地球全体がドット絵になっていた。
     「とにかく警察の人に聞いてみようよ。幸いこの世界は右スクロールじゃなくてRPGのように四方八方進める事になっているからな」
     ケンイチは日向にそういうと腕をふりふり歩いて行く。
     後ろに日向が付いてきた。RPGの仲間のように後ろについていく。
     途中で二人は楽器屋に近づいてみると、音がピコピコ音になっている。
     ケンイチはびっくりして後ろにいる日向を眺めた。
     日向は天を見上げ、「シンジラレナーイ」と叫んだ。
     交番にたどりつくとやはり交番もお巡りさんもドット絵になっていた。
     「しっそんな事聞いちゃいけないよ」
     お巡りさんは顔色を変えて二人に忠告する。
     「どうしてです?」
     ケンイチは訝しげにお巡りさんに質問した。
     お巡りさんは顔をケンイチに近づけてヒソヒソ声で話した。
     「これは、すべてドット絵の神様カフカ様のなさった事だ。くちだしすると消される可能性がある」
     「神様の仕業だって? シンジラレナーイ」
     「どうして神様はこの世をドット絵にしたんですか?」
     ケンイチは疑問に思い、お巡りさんに質問を繰り返す。
     「私は神様じゃないからね。そんな事は知らないよ」
     お巡りさんはこの話しはもうやめだと言わんばかりに交番の中に引っ込んで出てこない。
     「どうする?」
     日向はケンイチに聞いた。
     「カフカ様に会って話しをしようじゃないか。どうしてこの世界をドット絵にしたかを……」
     日向はシンジラレナーイと叫んだが付いてきてくれた。
     そしてカフカ様を探しに行く旅が始まった。

     二人はスカイツリーの展望台にカフカ様が住んでいる事を近所の幼女に聞き出した。
     カフカ様は幼女と遊ぶのが大好きらしい。
     スカイツリーにつくとこれも全てがドット絵になっていて二人は感心した。
     スカイツリーを上っていくと警備員が守りをかためていた。
     見つからないように二人は猛ダッシュ(これがBダッシュというものか?)で警備員に見つからないように走り抜け、ついにはスカイツリーの展望台にたどり着いた。
     そこには、奇妙な格好をした(ちぐはぐの靴下をはいて破れた正ちゃん帽を被っていた)中年の男が幼女に囲まれて、ドット絵の豪奢な椅子に座っていた。
     「あなたがカフカ様ですか?」
     「左様」
     カフカ様は妙に高い声で言った。
     「どうしてこの世界をドット絵にしたんですか? シンジラレナーイ」
     カフカ様はふっと笑って説明しはじめた。
     「そんな事を聞きにきたのはあんた達が初めてだ。よろしい教えてやる。私はこういうゲームをしたかったがやるのはお兄ちゃんばかりで全然できなかった。そして大人になるとこのドット絵のゲームはなくなっていた。だから、私はこの地球をドット絵にする事に決めたのだ」
     「そんな、たしかにドット絵のゲームも素晴らしいけど地球全体をドット絵にするなんてメチャクチャだ」
     「シンジラレナーイ」
     「元に戻してほしいかい?」
     「あたりきよ」
     ケンイチはカクカクの腕を盛り上げた。
     レイザップで鍛えているのでケンイチは結構筋肉はある。
     「では勝負だ」
     しかしドット絵での二人は思うように戦うことができなかった。
     そして、勝負はつかなかった。
     「おあいこだな」
     カフカ様は、ハァハァ息をあらげた。
     「そうですね」
     ケンイチも息があらい。
     「シンジラレナーイ、おあいこの時はどうすればいいの?」
     日向は頭をかかえた。
     そして関東はドット絵に関西は元に戻った。
     しかし、ケンイチと日向は全てを元に戻すためにカフカ様に勝負を挑むのだった。

  • ゆめみん@野菜の妖精
    ゆめみん@野菜の妖精

     「もう、ほんっと、あなたってだらしがないわね」
     山奥で迷ったケンスケとヒナタはこれからどこへむかうか分からぬまま獣道というか誰かが散らかしたような道をやみくもに歩いていた。
     足が棒のようになりケンスケとヒナタ夫婦はその場で座り込んでしまった。
     さて、先程あくたいをついたのは、妻の方、ヒナタだった。
     二人は微妙に距離をあけて地面に座り込んでいる。
     「お腹すいたわね。お弁当もお昼に食べちゃったし」
     鳥がさえずる他には音のしない森の中に太陽がかたむきはじめていた。
     ヒナタは少しパニックになりケンスケを罵倒したのだ。
     すると、枯れ草や枝木をふみしめる音がガサッガッサと近づいてくる。
     こんな山奥に人が住んでるわけがない、いのししやクマ、なにか危険な生き物に違いない。
     「だから登山なんて嫌だったのよ。ゴールデンウィークだからってどこかに行こうなんて言って。なんで山登りなの?」
     「自然にふれてみたいと思ったんだよ、そうカリカリするなよ」
     ケンスケは震える声でつぶやいた。
     そうこうしてるうちに足音が大きくなった。
     もうだめだ。っと二人が思った瞬間。
     「ohどなたデスカ?」
     見上げると金髪の外国人の女性がかごいっぱいのキノコを入れて軍手をはめ立っていた。
     最近は外国人は珍しくないが何故こんな山奥に外国人が?
     しかも、かなり若い、20代ぐらいだろうか?
     そう二人は思ったが人がいたことにはあんどした。
     丸太で作られた家に外国人に案内された。
     外国人の女性の名前はエレンと言った。
     その家には大きく(エレン・ベーカーリー)とカタカナで書かれていた看板がかかげられていた。
     「あなたはパン屋なの?」
     ヒナタはパンの形の木製のそれに目をやりながら聞いた。
     「イイエ、私は日本のガキ達に英語を教えている教師デース」
     黒いシュシュでとめた髪をゆらしながらエレンは店の入り口まで進んでいくと少し離れた距離にいた夫婦にてまねきした。
     外国人だから自分の方に腕をふるカムカムだったが。
     パン屋に入ってみるとパンのにおいががあたりを包み込んでいた。
     エレンはカウンターごしの調理場で小麦粉をバンバン叩きはじめた。
     ケンスケとヒナタはきりかぶで作られた椅子に座り、鼻と鼻がぶつかりそうな小さなテーブルに座るように言われた。
     そのため二人の距離がかなり近い。
     西向きの小さな窓からは夕日がさしこんでいてそこから二、三歩歩いた所に金髪のエレンに似たアニメのキャラのポスターがはってあった。
     ティロなんとかとかいてある。
     エレンはうでまくりした服からのぞいた細い腕でひたいに流れる汗を笑顔で拭いた。
     「どうしてこんな所でパン屋を?」
     ヒナタはケンスケと顔を会わせたくなかったのでエレンの方を向き問いただした。
     「私はおいしいパンを日本のみなさんに食べてまらいたくて教師をしながら細々とくらしていマース。ただそれだけデース」
     しばらくしてパンの焼けるにおいが部屋全体をつつんだ。
     お腹をすかしている二人はそわそわしている。
     「あの、すみません。私達にパンを食べさせてもらえませんか? お金は払います」
     ケンスケはエレンにカウンターごしに話した。
     「oh! おあしはいりまセーン。私の心のばかりの、お、も、て、な、しデース」
     エレンはにっこり笑ってキノコが入った焼きたてのパンを夫婦のテーブルに置いた。
     「毒は入ってないでござるよ」
     エレンはカイエ……、お侍に憧れていたのでござるをときたま使う事がある。
     ケンスケはバスケットに入った焼きたてのパンをひとつ片手で持ち上げると、パリッと皮の音が心地よく歯にふれ、やわらかな中身がスッと入っていきもぐもぐと口を動かすとパンとキノコのかおりが口からはなへと運ばれてゆき、なんとも美味であった。
     「お前も食べろよ」
     もう片方の手でケンスケはヒナタにキノコパンを渡すとヒナタはパンを少しちぎり口許に運んだ。
     「おいしい!」
     ヒナタはおもわず大きな声をだした。
     エレンはそれを聞いて満足そうに大きくうなづいた。

     ★
     「山の出口を教えてくれてありがとうございます。それにこんなにパンをくださって」
     ケンスケはかごいっぱいのパンを持っていた。
     ケンスケとヒナタはいつのまにか手をつないでいた。
     「礼にはおよばぬよ。二人に幸せをお、す、そ、わ、けデース」
     そう言いながらエレンは、
     「チョイナ、チョイナと歌いながら山を登っていった。
     「素敵な人だったわね」
     ならんで歩きながらヒナタは言った。
     「もしかして山の妖精かもよ」
     ヒナタはケンスケの冗談に笑った。
     「うん、キノコ持ってたしね」
     山奥にある小さなベーカリーは今もどこかにある。

  • ゆめみん@野菜の妖精
    ゆめみん@野菜の妖精

    題、さよならをつげないカモメ。僕はお母さんが変な事をするので不思議に思っている。
     お父さんが死んだ時も泣かなかった、それどころか近所のみんなを呼んでお別れパーティを開催したほどだ。
     お酒をたっぷり飲んでテーブルをステージがわりにしておしりをぷりぷりして踊った。
     そしてなんと言うことでしょう小学校で僕に変装して女の子のスカートをめくっていた。
      ★
     うちで夕飯を食べながら僕はお母さんに尋ねた。 「どうして、そんな事するの?」
     お母さんはにっこりわらってほかほかのごはんにたらこをのせてほおばった。
     ★
     翌日お母さんは電信柱に隠れていた。
     学校から帰る小学校を電信柱からいきなりとびだしてうぉっと言葉にもならない声を発して驚かせていた。

    「なんなんだ!?」
      家に帰ると僕は怖いテレビ番組を見ていた。
     その夜に僕はお母さんの部屋に入ってベッドにもぐりこんだ。
     お母さんは首をふって小さな声でささやいた。
     「これだから嫌われるような事してるのに」
     お母さんはちょっと嬉しそうに僕の頭をなでた。
     小さい声だったけど僕は気にせずお母さんのむねに顔をうずめた。

     

  • ゆめみん@野菜の妖精
    ゆめみん@野菜の妖精

    今日もこのキャメロットの地下では様々な武器達が楽しく雑談していた。
     「やぁ、今日も天気がいいね」
     エクスカリバーに近づいたのはランスロットの愛剣(犬みたい。ププ)ジュワイユだった。
     「はぁー、俺はついてないよ」
     エクスカリバーはため息をこぼしうつむいた。
     「俺、オワコンだよな」
     「へ?」
     ジュワイユはワインをのみながらエクスカリバーの方に目をやった。
     「なんかさぁ、俺の知名度、人気度がおちてる気がするんだよ」
     「それじゃ、私はどうなるんですか? ランスロットは有名かもしれませんが剣の名前を知っている人なんてあまりいませんよ」
     ジュワイユはエクスカリバーの肩に手をおいた。
     「今のご時世刀が流行ってるからねぇ。とうらぶっていうの? 俺も人間化して女の子にもててーぜ」
     「もててーぜっと言われても……」
     その瞬間。
     「キャーエクスカリバーさん!」
     女の子達の黄色い声がむこうから聞こえてきた。
     「え? 俺?」
     エクスカリバーはそう期待していたがむこうにもう一人エクスカリバーがいた。
     「なっなんだ? 偽物か?」
     ジュワイユははっとした。
     「エクスカリバーは二つあるんですよ!!」
     「じゃあなんで俺はもてねーんだよ」
     ジュワイユは寂しそうな哀愁のある目でエクスカリバーの鼻を見た。
     「鼻毛がはえてるからですかねぇ」
     

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