ゆあたん 湯浅洋
トーク情報ゆあたん 見城徹見城徹 ↑ 懐かしい。創刊号では世界的建築写真家でGAオーナーでもある二川幸夫さんの特集を組んだ。僕が35歳、二川さんが53歳の頃だ。神宮前の[バー・ラジオ]で2人は初めて会った。カウンターで飲んでいた二川さんも僕も女性連れだった。
21時を過ぎていたぐらい。隣りのスキンヘッドのオッサンが大きな声で飲んでいるワインの説明を女性にしている。それがうるさくてくどい。と僕には思えた。カウンターだけのセンスのいい小さなバー。我慢出来ずに僕が言った。
「あなたがワインに詳しいのはもう解ったから、静かにして下さい」
オッサンは怒った。
「なにい、その言い方はなんだ。表に出ろ」
売り言葉に買い言葉んでバー・ラジオの横にある小さな公園に出て、睨み合った。
「言っとくが、俺は早稲田のラグビー部だ」
「それがどうした。俺は慶應のラグビー部だ。やるんならやるぞ」
僕のラグビー部は嘘である。相手の胸板の厚さに目をやりながら、「やるしかないか」と覚悟を決めた。お互いに構えたところで
オッサンが言った。
「おまえ、気に入った。飲み直そう」
正直、ほっとした。店に戻った。それからが面白い。オッサンは連れの女性を帰し、
「君ら2人でこれから自分の家に飲みに来い」と言う。なんだかオッサンを好きになって来たので近くの家にお邪魔した。
もの凄いワインがワインセラーにずらりと並んでいた。そして、部屋にはマチス、ピカソ、ルノアールなどの本物の絵がずらりと並んでいた。
「俺はどの絵にどのワインが合うかを考えて、選んだ絵を味わいながら飲むんだよ」
奥様も一緒に2時ぐらいまで飲んだ。
二川幸夫という名前もその時、初めて知った。途轍もなくスケールの大きな人だった。それからはずっと僕を可愛がってくれた。[GOETHE]創刊号で二川幸夫特集をどうしてもやりたかった。絶対にメディアに出ないと公言していた人だったが、即座にOKをしてくれた。[GOETHE]創刊号は僕にとって二川幸夫との思い出が詰まっている。


