［悟らなくたって、いいじゃないか　普通の人のための仏教・瞑想入門］　 プラユキ・ナラテボー＋魚川祐司 著　幻冬舎新書　 を読み終えました。　　 プラユキ・ナラテボーさんと魚川祐司さんとの対談本なのですが、正直に告白しますと半分ほど読み進めた段階で魚川さんの発言箇所は斜め読みしてしまい、プラユキさんの発言に集中して読み終えてしまいました。 “どうして魚川さんの発言を斜め読みしてしまったのか”に対する深い理由があるわけでもなく、魚川さんのロジカルな語り口よりもプラユキさんの柔らかなお言葉のほうが単純に心地よかったからです。もちろん仏教研究者の魚川さんも一般の読者に分かりやすいようにお話いただいていますが、やはり僕の知識量の乏しさから読み進めるのに時間がかかりました。それに対して僧侶であるプラユキさんのお言葉は平易で優しい。魚川さんの理論立てた発言に対して意見の相違があったとしても柔らかく受け止め、おおらかにご自身の考えを述べられていました。 今の僕は悟りを開きたい欲求があるわけではなく、ただ自分のやるべきことを粛々とやる精神状態を保つためのヒントを得たいという思いでしたので、普通の人の悩みや苦しみを和らげることに仏教の教えを役立てようと日々実践されているプラユキさんの発言には大いに刺激と気付きをいただきました。 本書を読み終えて実感出来たことは、“悟りを開きたい、開かなくてもよい”いずれの判断をするにしてもまずは“悟りとは何か”を自分なりに納得出来るまでの知識を得、思考し、自分の肉体を使って実践する努力をしないといけないな、ということです。知識を得る努力・考える努力・実践する努力をしないままに“悟らなくてもいい”と判断してしまうのは、それは単なる思考停止であるということです。プラユキさんはそのことを表現を変えながら何度も繰り返して説いてくださったので、とても納得出来ました。そしてこれは悟りについてだけではなく森羅万象に言えることだと実感しました。 間違いなく今の僕はこの本の内容を理解出来ていません。この本に書かれている仏教用語の知識が足りませんし、自分なりの思考も足りていません。そして僕自身の肉体を使った実践も足りていません。すべては僕自身の努力にかかっています。“すべては自分自身の努力にかかっている"という当たり前とも言えるこのことを改めて実感できた本でした。 このような素晴らしい本を書いて頂いたプラユキ・ナラテボーさん、魚川祐司さん、本当にありがとうございました。 このような素晴らしい本を世に出していただいた見城さん、本当にありがとうございました。