[新宿スワン]第8巻 和久井 健 著 講談社
第8巻で渋谷AV編はクライマックスを迎えます。
カエデとアオイの物語も一つの区切りを迎えました。
親が遺した家と1億の借金。カエデは妹のアオイが帰ることが出来る家を残すために1億の借金を相続し、身体を売ってでも返済して来ました。そしてタツヒコと出会うことでこれからはAVに出演して借金を返済していく決意を固めます。
"カエデは親の借金返済のためにAVに出演する。タツヒコはスカウトマンとしてカエデにAVのプロダクションを紹介する"
この筋書きだけを読むと、とんでもない話のような印象を受ける人も多いと思います。
『親の借金をどうして子供が背負わなきゃいけないんだ?』
『借金を返すにしても、もっとマトモな仕事があるだろう?AV出演をするというカエデの発想が間違っている!』
『なんだかんだ言ったところでタツヒコは女性を売って儲けているだけの人間だろう?』
等々の声が聞こえて来そうです。
他人からすればカエデ、タツヒコの考え・行動は理解し難いものかも知れません。
しかし、当事者はカエデ、タツヒコです。
カエデ、タツヒコが腹を括って生死を賭けて現実的な選択をした結果です。それに対して他人があれこれ批判じみたことを言うのは間違っていると僕は思います。
カエデもタツヒコもこの決断に晴れやかな表情を浮かべていました。僕はそこに僅かながらの救いを感じました。
第8巻では紋舞会の天野、美竹組の土屋、灰沢の思惑がより露わになって来ます。これから更に剥き出しになって来るであろう彼らの思惑を知ることが怖くなって来ましたが、僕も最後まで読むと決めた以上、この[新宿スワン]の行く末をしっかりと見届けたいと思います。
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