見城徹のトーク
トーク情報見城徹 ikutamaikutama 大河の一滴〔幻冬舎文庫〕五木寛之
小説だと思っていたが、随筆。しかし、読み終えてみると、小説(物語)を体験したような感覚。人の命は大河の一滴。大きなリズムに向かって時間を旅する小さな一滴。
「一見、出来損ないに見える1本のライ麦が土の中でシベリア鉄道の1.5倍もの根を張る」というエピソードに心打たれた。“生きること”それ自体がどんなに、大変で力強い営みなのか、こんなに丁寧に優しく書かれている本は無い。『息絶えた秩序より、生きて命を保つ無秩序を愛する』命はただ生きているだけで尊い。
「遠慮せず本音を書く」その願望と自己嫌悪。見城さんに迫られ、執筆を決めた心情が、文庫版あとがきに書かれている。『なにかひとつの物語を信じるということによって、人間は少しだけましな動物になったのではないか』作家の葛藤の末の覚悟。
この本に感謝します。