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しゃれ過ぎる料理を味わいもせず流し込みながら人の噂話を聞き、下手なことを言ってしまえば噂のネタにされるのは次は我が身と誰も本音を言わずその場をやり過ごす女子会に参加した。成功の証に並べていた今季の服や流行の品が一瞬で古くなっていくことに焦り、常に次なる成功の証探しにお金と労力をつぎ込んでいた日々。  ずっとできなくて劣等感を感じてきた『周りのキラキラ女子みたいに普通にする』ことの実態は、果たしてこれだったのだろうか?  わたしはなんとなく違和感を抱きながらも今の生活に心底満足できないのは、まだなにかが足りないからなんだ、もっと頑張らなくちゃならないんだと思っていた。もっとたくさんの靴を並べなきゃ、もっと大きなダイヤモンドも欲しいし、バーキンを色とりどり並べたい。根元に黒い髪の毛が生えてるなんて許せないから美容院に定期的に通って、まつエクも常に綺麗にしてなくちゃいけない。  そのころのわたしは、広い家に住みたくさんのモノを所有することや高級車に乗ること、休みの日は都会のおしゃれなお店にショッピングに行くことが幸せの象徴だと信じていた。  それまで幸せを噛み締めたり心から満たされた日々を送ったりしたことがなかったから、自分にとっての『本当の幸せ』がなんなのか、知らなかった。  お互いに忙しくしていた彼とわたしはいつからか一緒に暮らすようになり、結婚を約束していたけど、未だに消えない違和感や、自分とちゃんと向き合えていないことをどこかで感じていたから、入籍しようと二人で決めた日までの1年間、わたしは一人で留学をすることにした。  わたしのことを誰も知らない国で、一人の人間として、自分のことは自分で全部決めて誰にも頼らず生活をする。そんなふうにしたことがなかったから、それをすればなにかが変われる期待でいっぱいだった。  1年間の間に何ヶ国か移動しようと決め、最初に暮らす場所をハワイに決めた。  一人で海外に行くこと自体初めてだったから、自然が豊かで海や空がわたしを笑顔にさせてくれる何度も訪れたことのあるハワイなら、きっと大丈夫だと思えた。ハワイで住む場所や英会話の先生を決め出発が迫ったころ、妊娠が判明した。  入籍を決めていた日の14ヶ月前。  わたしは全ての予定をキャンセルして東京に留まったけれど、休みを取っていた期間は留学という形じゃなくてもハワイに行こうと決めて、新しく手続きを始めた。  東京にいたときはマスコミにお腹を拡大して写され、ふっくらしてきたとか性別はど

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    ウチの庭の、金木犀。
    花が、咲き誇りまくっちょります ©︎ろこ。
    薫りを、振り撒きまくっちょります ©︎ろこ。


    金木犀を見ると、私は小学校の「手洗所」を思い出すんです。

    木造二階建ての校舎に、千人からの児童が通う、マンモス小学校だった、我が母校。
    裏門のそばに、別棟でトイレが建ててありました。
    石の壁に用をたして、下の幅広な溝を流してるいく、小便所。
    もちろん汲み取り式の、大便所。
    風が吹くと、カラカラと音を立てて回るトップエンドがついた、あまり役に立っていそうもない、排気用の煙突。

    母校の、百年からの歴史を物語る、古い古い作りの、「手洗所」の看板も凛々しい、由緒正しきトイレだったんです。

    そのそばに、消臭用も兼ねてでしょう、大きな金木犀が植えられていました。
    秋の盛りには、それはもう甘くて芳しい薫りで、トイレの悪臭を和らげてくれていたんです。


    金木犀で思い出す、もう一つのもの。
    それは、あの曲なんです。

    鳳晶子さんの「みだれ髪」を入れた歌詞から、「明星」を「みやうじやう」と読む粋。
    与謝野鉄幹との道ならぬ恋の、自らの熱情を歌った歌集を持ってくる若さ。
    「あの高速道路の〜」の疾走感は、晶子の熱い歌の引用で、よりその勢いを増すように感じられます。

    一発屋でしたが(失礼)、この曲は、私には忘れえぬ名曲なんです。

    それでは聴いてください、
    キンモクセイで
    『二人のアカボシ』



    ( 。・_・。 ) 53

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    ホワイト

    『二人のアカボシ』
    演奏:キンモクセイ
    作詞:伊藤俊吾
    作曲:伊藤俊吾

    夜明けの街 今は こんなに
    静かなのに また これから 始まるんだね
    眠る埋立地(うみべ)と 化学工場の
    煙突に 星が 一つ 二つ 吸い込まれ

    沢山 並んだ 街の蛍たちも
    始まる今日に 負けて
    見えなくなってゆく
    君とも 離れることになる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    消えそうに 欠けてゆく月と
    被さる雲は そのままに
    二人のアカボシ
    遠くへと 連れ去ってしまおうか


    橋の継ぎ目と 二人に届く
    電波には 懐かしいあのメロディーが
    聞こえてるかい 「みだれ髪」に
    沁みるよう 明星(みやうじやう) 遥か 彼方へ

    見渡せば 青 続く信号機が
    二人の想いを
    照らせばいいのにな
    明日の僕らは 何処にいる

    また 今日も 汚れてく街は
    蝕む煙を 吐き出す
    君の 知らない
    遠くへと 連れ去ってしまおうか

    瞬かない星が 一つ
    夜明けの街に 消えてゆく
    二人 ここから
    宛てのない明日を 探そうか



    僕の決意と 伝えきれない
    想いが 街の音に 消えないうちに

    朝焼けの水蒸気が
    隣の空を彩る
    懐かしいメロディーは
    風と共に 終わる
    君の 髪の毛が 震えてる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    さようなら 街の灯りと
    月夜と 二人のアカボシ
    最後の想いは
    君が 振り向く前に 話そうか


    夜明けの街

    夜明けの街

    夜明けの街



    ( 。・_・。 ) ♪

    #二人のアカボシ
    #キンモクセイ