No.529 映画『いのちの停車場』 【公開日】 2021年5月21日 【上映時間】 119分 【配給】 東映 【監督】 成島出 【脚本】平松恵美子 【製作総指揮】岡田裕介 【原作】南 杏子「いのちの停車場」（幻冬舎文庫） 【出演】 吉永小百合、松坂桃李、広瀬すず、南野陽子、柳葉敏郎、小池栄子、伊勢谷友介、みなみらんぼう、泉谷しげる、森口瑤子、中山 忍、松金よね子、小林綾子、菅原大吉、国広富之、西村まさ彦、石田ゆり子、田中 泯、西田敏行ほか 2021/05/25（5/23観映） 冒頭の緊迫した救命救急処置の場面は予想通り迫力があり、映画ならではと思いました。金沢の美しい四季を背景に、生を全うする人とその命を看取る人達の遣り取りがとても切なくなります。特に幼い少女がささやかなおねだりをして海で遊ぶシーンには泣けて泣けてしょうがなかった。62歳の女医を76歳の吉永小百合さんが演じ、父親役の田中泯さんも実は76歳という設定には無理があるかなと思いましたが、違和感なくのめり込んでしまいます。役者の凄さが伝わります。これは吉永小百合さんありきの映画だと思いますが、負けず劣らず広瀬すずさん、松坂桃李さんの存在感を強烈に感じました。 訪問医療というと在宅患者を看取るだけと思ってしまいますが最先端の医療への橋渡しなどで希望を感じるシーンもあります。また原作でも積極的安楽死がテーマとして描かれていますが、身内が回復も見込めず目の前で苦痛にさいなまれ続けていたら、果たして冷静にいられるでしょうか。ラストシーンについては賛否があると思います。皆さんも観て考えて欲しいですね。少し物足りないなかった。 映画にはいろいろな雪が登場します。ふわふわと舞い、時に刺す様に降り、積もって人の足を掬い、悲しみや苦しみを覆い隠す。儚い命の象徴ともとれます。それでも春が巡り桜の花が咲くと希望を感じます。生きてさえいれば。 昨年11月に映画の打合せ中に倒れ亡くなられた岡田プロデューサー。 「製作総指揮　岡田裕介」のクレジットを拝むだけでも価値は有ると思いました。是非劇場へ。 公開に合わせて原作（南杏子著　幻冬舎文庫）も読み、具体化された映像を観たことによって、理解が一層深まりました。見城先生、ご紹介頂き、ありがとうございました。