必死に体勢を維持する左足の僕。
しかし、塩崎さんは今、コックピットの外。
体勢維持の際、大事なポジションである胴体が不在。
コックピット開閉装置も鉄球により破壊され、
塩崎さんは戻ることができない。
「くそたれどもがぁ!」と声をあげる塩崎さん。
森本さんが、
「左足、右足!お前らしかいない!
死ぬ気でふんばれ!」
と言う。
死ぬ気でふんばる僕。
すると森本さんが
「右足!何をしている!右足!」
と叫ぶ。
右足の方を見ると、そこには
真顔で遠くを見つめ、ただ座っている戸田くんが。
僕も
「戸田くん!!!」と叫ぶ。
戸田くんが
「ハッ!」と我に返り、慌てて
ふんばりにかかるが
時、すでに遅し。
7mの巨大鬼は、体勢を維持できず
無様に倒れてしまった。
今年は子供たちの勝利。
子供たちの勝利の雄叫びが響く中、豆が焼けたような香ばしい匂いもした。
僕が戸田くんの戦意を喪失させてしまったことを、森本さんに話すと
森本さんが
「悔しいが、また来年だ。
来年は戸田にもっと良いポジションをやらないとな。」
と言った。
戸田くんは
「いや、来年も右足でいかせてください。
このままじゃ悔しいです。
いきなりビンタしてきた堂前さんも間違っていると思いますが、僕も間違ってました。すみません」と言った。
僕は「めっちゃすいません」と泣きながら言った。
その後、子供たち大人たちみんなで恵方巻きを食べた。
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