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トーク情報すぬたろう♀ 藪 医師(中山祐次郎)藪 医師(中山祐次郎) 幻冬舎で初めての本を出させていただいて8年。泣くな研修医シリーズはこの4月に5冊目の発刊になります。
麻布十番のレストランで「見城さん、小説を書きたいです」とお伝えしたところ、少し戸惑いの表情をされましたがすぐに「やってみろ」と言って下さったあの日のことを、まるで昨日のように思い出します。それから担当編集者が私の一冊目の担当だった幻冬舎小木田(こぎた)さんに決まり、数多の猛烈なダメ出し。話がつまらない、キャラに魅力がない、文学的表現ごっこをしているようだ、と言われたときは深く傷つき、あの頃は「なんて酷いことを言うのだ」と思っていました。
小木田さんは私の拙い小説を見城さんにも決してお見せしなかったと聞きました。今思えば、見城さんに「ああ、藪は小説は書けないな」と思われることを回避してくれていたようにも思います。
2年のあいだ、ほぼ全ての余暇時間を使って何度も小説を書きました。夏や冬には温泉旅館に一週間泊まり込み、外出せずずっと書き続けてました。
やっとこさ小木田さんのお眼鏡にかない、出来た小説が「泣くな研修医」でした。
あの2年という時間は、本当に苦しかったし自分に何度も絶望しましたが、同時にぞくぞくするような興奮のさなかに私はいたのです。
今でも見城さんの幻冬舎から小説を出させていただいていることに、深い幸せを感じています。