絶望しきって死ぬために
トーク情報- 死ぬために生きる
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国際大会の敗退からもう20日以上が経った。
残すは10日後から始まるリーグ戦のみ。
僕は前述の国際大会の試合で両足首の靭帯の部分断裂という怪我を負った。
まだまだ腫れも熱も引かない。
夜は痛みにうなされてろくに寝ることもできない。
本来なら休むべきだろうが、今の僕に休んでいられる時間はない。
僕は日々、着実に来年5月の引退へと向かっている。
怪我を負いながらプレーすることは決して褒められたことではないが、死と終わりを常に意識して生きる苦しみと幸せを感じ、僕の頭からは休むという文字が消えた。
ようやく本当に生き始めたかと思う反面、これまでの自分の甘ったれた生き方に嫌気がさす。
日本ほど恵まれた環境ではないものの、今のクラブは待遇もそれなりで、練習や治療など、全ての水準が高い。
そんな環境にいる自分が嫌になり、このままでは腐ってしまうと思っている中で、もう1つ上のグレードの国際大会に出場する別の国のクラブからオファーが舞い込んだ。
スタメンで出られる確証もなく、治安や環境も全く読めない。そして怪我がある中でのチャレンジ。
僕の心は狂うように踊った。
現所属クラブのオーナーにその話をすると、オーナーは溢れんばかりの誠意を持って言葉を伝えてくれた。
「これから始まるリーグ戦で、クラブ史上初の優勝をするために残ってほしい。でも上のステージで活躍もして欲しいから本当に行きたいなら止めない」
僕は気づくとオファーをくれたクラブに断りを入れていた。
心を動かされたのだ。
残るのであれば、優勝以外に価値はない。
いや、優勝しても価値がない。
僕には価値がないと思って生きている。
だからやるしかない。毎日生きるしかない。
生と死、終わりと始まり、虚無と情熱。
敗者と死は永遠。勝者と生は一瞬。
永遠の紙一重。永遠のゼロ。
死に向かう怖さと切なさを抱いて、今を死ぬために生きる。
「四十九年 一睡の夢 一期の栄華 一盃の酒」!
僕が残ると決めたのは、慣れ親しんだ甘く贅沢な環境。
気を抜くと豚になってしまう環境で、いかに狼になれるか。
余談だが、この国では狼が崇拝されている。



