#1989tiananmensquareincident
"実際にトランプ政権の国務省報道官は、政府の公式見解として、30周年記念の直前の5月30日の記者会見で以下のように言明していた。「天安門事件において、中国当局による徹底した虐殺が実行されたことを我々は忘れてはならない。事件の30周年を前に、中国共産党が断行したおぞましい組織的な迫害行為で拘束された人々はただちに釈放されるべきだ」この声明は、具体的には習近平政権が最近また天安門事件関連の民主化の活動家や支援者を拘束したことへの抗議だった。トランプ政権はこのように天安門事件での弾圧を現在の習近平政権に結びつけて非難する姿勢をとっているのである。これまで中国政府は天安門事件を「反革命暴乱」と断じて、その出来事自体を闇に葬っていた。事件自体について完全に口を閉ざしているのである。だがトランプ政権はそれを承知のうえで、あえて事件を未解決の問題として習近平政権に突きつけ、全容の解明を迫った。それは中国共産党政権の邪悪性を衝く要求でもあった。米国の他の歴代政権も、天安門事件の悲劇を中国政府の人権弾圧として非難してきた。だが、中国との経済や外交の関係を断ったり保留したりすることはなかった。基本的にはオバマ政権まで各政権はみな中国との関与政策を続けてきた。ところがトランプ政権は、その関与政策自体を間違いだったと公然と宣言した。共産党政権下の中国は、基本的な価値観においても、安全保障においても、国民の生活に直結する経済においても、米国と対立する相手だと言明し、正面衝突をも辞さない姿勢を明確にするようになったのだ。現在の米国の対中政策にとって、なぜ天安門事件が大きな意味を持つのか。その最大の理由は、トランプ政権が対中政策を立案するうえで「人権」という要素をますます重視するようになってきたことである。トランプ政権の対中政策の支柱となる「国家安全保障戦略」も、「米国の価値観」として個人の自由や権利の尊重を強調している。トランプ大統領は貿易、そして安全保障という順番で中国との対決姿勢を固めてきたという印象が強い。しかし、最近は中国政府のウイグル民族大弾圧に象徴される人権抑圧への非難も頻繁に述べるようになった。この人権弾圧非難の中核が、天安門事件への糾弾なのである。つまり、現在のトランプ政権の対中政策には、天安門事件への激しい非難が大きな役割を占めている、ということなのだ。"↓
『トランプ政権が今も天安門事件を厳しく追及する理由~米国の価値観と正反対の人権弾圧、対中政策の大きな指針に~ --- JB Press』 http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/56595?display=b
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"日本の各メディアでは天安門事件30周年の回顧報道が盛んである。1989年6月4日、北京中央の天安門広場で起きた中国人多数への大弾圧、そして大規模な殺戮は世界を揺るがせ、当事者の中国共産党政権はその全面的な隠蔽をいまも続けるのだから、その検証の報道が必要なことは自明だろう。この大事件は民主主義の弾圧であると同時に多数の人間が命を奪われた痛ましい悲劇だった。だからその事件を回顧するにあたってはまずは死者への追悼だろう。その意味では天安門事件の記念というのは生きている人間が殺された人間の霊を悼む厳粛な儀式でもある。ところがこの6月2日夕方、NHKのテレビ番組をみて、唖然とし、憤慨を感じた。天安門事件をアニメふうに戯画化して、登場するタレントふうの若者たちにゲラゲラと大笑いさせていたのだ。NHK総合1午後6時05分~午後6時42分「これでわかった!世界のいま 天安門事件から30年当時の学生たちはいま」という番組だった。国際的な出来事など時事問題を子供たちにわかりやすく説明するという趣旨の番組である。だからある程度の軽いタッチはやむをえないだろう。だがそれにしても虐殺された多数の中国人男女の霊への配慮をあまりに無視するアプローチだった。番組では中国政府をドラゴンにたとえたアニメふうキャラクターが何度も何度も登場する。解説役のNHK記者が自分の子供らしい3人を引き連れて、「64」という小旗を掲げて、ピクニックふうに行進する。小学生の一行が事件とは無関係のその小旗を持って、天安門広場に見学に行ったら、当局側からその旗を奪われたという経緯が笑い話のように語られていた。(略) 同番組の後半では天安門事件で民主化に同調したかつての若者たちの現状を紹介もしていた。だが実際の生身の人間が貴重な命を不当に奪われたという人間的悲劇、人道主義上の惨劇への鎮魂や追悼という姿勢はまったくうかがわれなかった。多数の人間の命を奪った側の中国共産党政権はいまにいたるまでその非を認めず、死者の数も含めて、事件全体を隠しとおそうとしている。このNHK番組はその点での民主主義や人道主義に基づく非難や糾弾もツユほども感じさせなかった。(略) 一方、私は民間の「チャンネル桜」というテレビグループの天安門事件30周年を語る番組に招かれた。6月1日に放映された3時間もの討論番組だった。7人ほどの中国や米中関係の専門家たちの討論だった。その一人が著名な中国研究者の石平氏だった。天安門事件にも直接にかかわった中国での民主活動家で、いまは日本国籍を取得している。この討論のはじめの部分で他の討論者が当時の天安門広場の拡大地図をみせて、抗議集会参加者の集まりぐあいと、人民解放軍部隊の乱入と攻撃の様子を再現した。するとそれまで意見をときおり述べていた石平氏が突然、沈黙してしまった。私の向かい側に座っていた彼をついじっとみると、彼は必死で涙をこらえているのだった。だが大粒の涙がどっとこぼれた。そして石平氏は顔を伏せ、頭を抱えて、声を抑えながら、しばらく泣いていた。明らかに当時の同志や友人たちが殺された模様を思い出し、悲しみに襲われていたのだ。私はこれこそが天安門事件の被害者側の反応なのだと実感した。"↓
『NHK天安門事件解説の不謹慎 --- Japan In-depth』 https://japan-indepth.jp/?p=46114
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