モリカツのトーク
トーク情報- モリカツ
モリカツ 「大河の一滴」読了。感想を書きます。
五木寛之氏が物事を見て感じ語る上で、常に心の奥に鎮座し、決して忘れ去ることのできないのが敗戦後の引き上げ体験であろう。
「善キ者ハ逝ク」
生き残った者は、「善キ者」の死によって生きながらえている罪深き存在。生き残った一人として、決して拭い去る事が出来ない究極とも言える強烈な自己否定が、五木さんの心の原風景なのだと思う。
そして思想における柱が、親鸞、蓮如といった歴史に大きな足跡を残す宗教家が広めた浄土真宗に基づく仏教思想だと思う。
五木さんは、当時の世相を見て行く末を案じている。これまで是としてきた文明や価値観を一定評価しながらも、五木氏独自の視点から問題となる相剋の先の在り方、考え方について様々提言しているのである。
本書で示された「寛容」は、なるほどまさにその通りと思える考え方と私には思える。論理を追求すると、どうしても正しいか正しくないかの二元論になりやすく、相剋を克服できない。しかしながら、その間の存在、あるいは対極に振れた両者を認める事を是とするのである。
仏教でいう「中庸」を私はバランスと理解していたが、五木氏は要するに「寛容」と言う。徹底しない事でAと非Aが共存し得る。結果として偏りや過不足がないという捉え方である。
もう一つ。「悲」である。人を癒すのは「励まし」と「慰め」であり、これまでは「励まし」てきたが、頑張れないほどに打ちひしがれた人に必要なのは「慰め」だと。
その人の痛みを自分ではどうしても癒せないし、成り代わることも出来ない。その事が辛くて思わず心の底から出る呻き声が「悲」なのだと言う。何も言わずに無言で涙を流して、呻き声をあげる。何の役にも立たないと思われそうでも、これが大きな役割を果たす場合があると。
この本は約30年前に書かれたものだが、当時以上に今は「悲」の重要性が増している様に思えて、驚きと共にその指摘の鋭さを感じた。
最後に本全体から感じたものを書いて感想を終えたい。
五木氏の視線、語り口はとても優しい。そしてとても分かりやすい。慈しみを持った視線のもとになっているのは、やはり強烈な自己否定だと思う。そして分かりやすさ。五木氏は人を「大河の一滴」になぞらえた訳だが、五木氏が紡ぐ文章が、言葉という大海原から珠玉の一滴を選び出して綴られたものに感じられて、実は分かりやすさにこそ五木氏の凄みがあるのではと感じた。
私は五木氏の本はまだこの一冊しか読んでいない。これから引き続き何冊か読みながら、「大河の一滴 最終章」までたどり着きたいと思う。
以上です。 - モリカツ
モリカツ 見城さん、リトーク、拍手、さらにはコメントまで頂き本当にありがとうございます。凄く嬉しいです。そして同時に恐縮しております。その他にも何人かの皆さまに拍手を頂き、本当にありがとうございます。皆さまに感謝申し上げます。
おっしゃる通り作品に妥協はあり得ず、その意味で言えば、K0183さんは誰よりも心強くかつ誰よりも厳しい編集者に見て頂くことになります。
さらに言えば、この事の幸せを1番感じているのもK0183さんなのではないかと思っております。
これからが大変なのだと思いますが、日々命の現場に立たれ、正直、誠実、善良、真心を忘れずに頑張っておられるK0183さんは、きっと良い作品を作り上げられると思っております。
どうか作品が形になり、私たちも読める日が来る事を願っております。 - モリカツ
モリカツ 今日は母の日です。
80を超えた実母は一人暮らしをしています。
何か親孝行出来る事はないかといつも思いますが、毎年のようにちょっとした物を贈るくらいです。
久しぶりに電話をかけて話をすると、真っ先に孫の近況を色々と聞かれました。近況を伝えると嬉々として話を聞きながら、いつまでも話を終える気配がありません。
寂しい思いをさせてしまっているのかなぁなどと思いながら、取り止めのない話を続けます。近くに住む妹が今日母のところに寄ってくれたそうで、そこは妹に感謝です。
妻のご両親、岳父、岳母はご健在で兄夫婦と住んでいます。最近までは孫も一緒でしてが、この春から大学生となり東京で暮らすようになりました。
時の流れを感じずにはいられません。人は生まれた時から、一方通行の時間の中を生きています。老いることは自然の摂理ではありますが、とにかく身体にだけは気をつけて息災に過ごして欲しいと思っています。 - モリカツ
モリカツ 「北極星 僕たちはどう動くか」読了。感想を書きます。【少々ネタバレ含む】
何と言えば良いのだろう。一言で言えば西野さんという稀有な存在の奥深さ、凄みという事であろうか。
西野さんは、自慢するでもなく押し付けるでもなく、読者に対する応援、エール、手助けとなる内容をこれでもかというくらい書き記している。
もしあなたが何かに挑戦しようとしていて、もし壁にぶつかっているのなら、私はこんな方法で、こんな考えで、こんな行動をしてきました。役立つ部分があったならどうぞ取り入れてみて下さいと。
もし、我々に永遠の時間があるならば、悠久の時間を使って資金を作り、悠久の時間を使って挑戦を続ければ良いのであろうが、言うまでもなく我々の時間は有限である。限られた時間の中で、やりたい事への挑戦を可能にし、そして将来に渡って挑戦し続ける事を可能にするメソッドを西野さんは惜しげもなく披瀝しているのである。
紹介されたものの一つ。映画の制作費を集めるために用いられたメソッドは、既存の仕組みにアイデアと覚悟が加味された金融パッケージである。金融リテラシーが重要だと言う西野さんの指摘は本当だと思う。
しかしながら、メソッド以上に重要なのは信頼であろう。映画の制作費に大口の投資をした皆さんの話が興味深い。端的に言えば、支援者は西野さんに投資しているのである。
西野さんもその事を誰よりも理解しているから、リスクと責任を背負い、一枚一枚チケットを売り、映画をPRしている。自分を信じてくれた人を絶対に失望させたりはしませんというメッセージだ。
この本の読者に対しても同様な思いをされてるのではなかろうか。この本を手に取って買ってくれた方には、支出以上のリターンを提供しますと。
端的に言って、この本に書かれている内容は1800円+税で簡単に手に入るような情報ではない。何故なら、西野さんが何度も試行錯誤し、時に失敗し悔しい思いをしながら、一つ一つ積み上げてきた蓄積なのだと思うから。少なくとも私に関する限り、この本を読む事で間違いなく価格以上のリターンを得ることが出来たと断言出来る。
そのような貴重な情報をここまであけすけに披露する西野さんの目指す先はどこなのだろうか。
周りの人間に手を差し伸べつつ、自分の中にあるギラギラとした野心を隠そうともしない。普通の物差しでは、到底測ることのできない西野さんの奥深さと凄みを、やはり私は強く感じるのである。
ちなみに、この本に書かれた事を事細かに理解したとしても、多くの場合、西野さんの様には出来ない。何故か。それは作品の強度が問題となるからである。
紹介されたメソッドの多くは、ある種の金融商品でありリスクを伴う。ではリスクを背負うための源泉は何か。それが作品の強度である。ここが西野さんが私の様な者と圧倒的に違っている部分なのである。西野さんは圧倒的な強度の作品を作り得るのである。
どの様な挑戦をするのも、あるいはしないのも本人が決めれば良い事であるが、知っている事、理解している事は決定的に重要である。その意味で、この本は示唆に富む価値の高い一冊であり、多くの方に読んで頂きたい傑作である。
以上です。