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ひふみ
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2023.5.6(土) 映画『シェルタリング・スカイ』 監督 : ベルナルド・ベルトルッチ 原作 : ポール・ボウルズ 音楽 : 坂本龍一 他  1990年公開 『友よ、また逢おう』を読んで、 映画『シェルタリング・スカイ』を観ました。 体力を著しく奪われてしまった。 凄い映画だった。 サハラ砂漠の美しい景色。灼熱の太陽、蒼い月夜。映像と音楽が見事にシンクロしていた。 表現不可能な世界観…。書きたいことは沢山あるけれど、自分の力不足をいたく感じてしまふ…。 心の平衡感覚がぐらんぐらんして、不安と恐怖の迷宮へ引きずられて行きそうだった。 身の危険を感じて、実家の母へ電話した。 「庭の梅の実なっている?」なんて。 普通の日常に戻りたかった、満月の夜。 ↓ラストのポール・ボウルズのナレーションが心に残る。坂本龍一さんのアルバム 「async」にも引用されているそうです。 「人は自分の死を予知できず、人生を尽きせぬ泉だと思う。だが、物事はすべて数回起こるか起こらないかだ。自分の人生を左右したと思えるほど大切な子供の頃の思い出も、あと何回心に思い浮かべるか? せいぜい4、5回思い出すくらいだ。あと何回満月を眺めるか? せいぜい20回だろう。だが、人は無限の機会があると思い込んでいる」

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ひふみ.感想文の記録
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    是枝監督が「怪物」というタイトルについて語っているのが印象的だった。
    「人は自分が理解できないものと出会った時、相手を得体の知れないものとして理解を止めてしまう。そうした時に怪物は現れる。この作品を撮りながら、コロナ禍で世界中が分断され、いたる所で怪物らしきものが現れていると感じた脚本は二年前に書かれたが、今の社会を予見していたのかも」

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    2023.Nov.
    [栄光のバックホーム] 幻冬舎刊
     中井由梨子 著

    人の命は儚いけれども、透明な暖かい光がこの本の中には流れていて、心の中の蝋燭に火が点るようです。涙無くしては読めない本ですが、純粋に溢れる涙は全身を浄化してくれる。誰もが生きづらさとか不安に押し潰されそうになりながら、陰惨な荒んだ現実社会に佇んでいる。この涙が結界を張ってくれる気がして、横田慎太郎さんの言葉を決して忘れない。
    力尽き天に召されても、多くの人々の心に生き続ける存在なのだと思いました。

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    この本の出版された直後に阪神の38年ぶりの日本一が決まり、横田慎太郎さんの希望も叶いました。TVで阪神とオリックスのパレードを観ていたら、地元の熱い歓喜伝わってきます。

    2019年9月、横田選手の引退試合のバックホームを見城さんが[報道ステーション]で偶然観たことから、その偶然から何かが始まった気がします。数々の奇跡の連鎖を引き寄せて、歴史的な大きなムーヴメントが達成されたと思えてしまうのです。
    チャンスの神様は、前髪がフサフサで後ろがツルツルって言われてます。アンテナの張り方、スピード感や熱狂が、チャンスの前髪をつかむことなのかもしれません。

    [栄光のバックホーム] のあとがきにある、『20歳のソウル』の浅野大義くんの導きのくだりにも驚きでした。偶然だけれど必然であって、不思議だけれどいろんなご縁が複雑にも絡み合い、手繰り寄せ合い、ゆるやかな大河の流れになっていくのですね。
    スクリーンに横田慎太郎さんが蘇る奇跡を楽しみに待っています。

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    2024.4月.
    NHKスペシャル[Last Days 坂本龍一 最期の日々]

    凄かったです。心が震えました。
    自分でもびっくりするくらい、たくさん泣いてしまいました。
    「表現は自己救済」という言葉が、ずっと私の中でリフレインしていました。

    見城さんはおしゃいました。
    「どう死ぬか?はどう生きるか?と逆照射する」(2018/5.26 のご投稿より)
    この番組を観て凄く考えさせられました。

    そして、生かされている我が身の偶然のような幸運に感謝し、一日一日を生き抜いて行こうと誓ったのです。

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    2024.4月18日
    [椿ノ恋文]
    小川糸 著 幻冬舎 刊

    手紙の代書屋を再開させたポッポちゃんは、多忙を極める3児の母になっていました。
    依頼者に寄り添い、考えに考え抜いて丁寧に手紙を綴っていきます。

    トキグスリ(時薬)という言葉が随所にあります。薄皮をそぉっと一枚ずつ剥いでいくように自然治癒していく、時の過ぎるのを待つことは大切な事ですね。時間が解決してくれることってありますね。
    「幸せは、日々もがく泥の中にあるのかもしれない」 このフレーズは特に心に残りました。
    かけがえのないものって、案外気がつかずに脚元にあったりするのかも…。
    この本を読んで、ポッポちゃんからあったかい優しさをいただきました。冷え切った体を甘いホットミルクティーが、じんわりとあっためてくれるみたいな感じです。

    また、この続編が読みたいです。

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    私には高校時代の友人の文通相手がいます。卒業後、ずっとずっと手紙のやりとりをしてきましたが、最近はメールやLINEが多くなりました。また、ゆっくりと手紙を書きます。

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    2024.2.19
    再読(自戒を込めて)
    見城さんの涙の跡を辿る旅

    個体の掟で生き抜いた生涯
    命を賭けて己れの美学を貫く
    「俺に是非を説くな 激しき雪が好き」
    心の奥の方に楔を打ち込まれてしまった本

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    [あやふやで、不確かな]
    宮田愛萌 著 幻冬舎 刊

    スマホのない恋愛なんて成立しない。
    令和の恋愛には、スマホが大切なアイテム。マッチングアプリとか、既読がつかないとか、そんなスマホに一喜一憂する。便利なスマホがあっても、人と人を結んだりもするけれど、ひとの心が離れていくこともある。
    昭和の恋愛には、''すれ違い''とか''待ちぼうけ"だとかのシチュエーションがつきものだった。そんな時間に恋心が募ったりもする。

    4つのショートストーリーで構成されていて、素直な文章で読みやすく、引き込まれていった。恋愛の痛みも喜びも忘却の彼方の私とって、宮田愛萌さんの瑞々しい感性は眩しすぎて気後れしながらも、だけど(笑)。
    自分で自分の気持ちがわからなくなったり、何かを伝えたくても、自分の想いを言葉にしないと相手には伝わらないね。20代の今を生きる愛萌さんの小説だから、今しか描けないものかもしれない。柔らかな風が吹いていた。そんな印象の本でした。

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    [外科医、島へ]
     中山祐次郎 著 幻冬舎刊
     2024.Apr.

    755の奇跡のひとつ[泣くな、研修医] シリーズ第六弾。神仙島での診療記です。
    都会の総合病院とは違う離島の診療に、戸惑いながらも誠実に患者さんと向き合っていく。いつだって隆治の白衣の中は汗でびっしょり。緊急手術、ミステリー、泡沫の恋、盛りだくさんで読み応えがありました。
    優秀で美しいナースの志真さん(訳ありだけど)の存在が堪らない。互いの想いは同じベクトルに向いていたのに、成就しなかった切なすぎる恋心。だから、キュンってする。寄せては返す波の音が耳から離れない、そんな読了の余韻に浸りました。

    「やりなよ、雨野」と、隆治の背中を押す男前な佐藤玲女史のスピンオフも楽しみなんですが、
    [凜子医師、島へ]なんて、診療記も面白そうです。

    遅ればせながらの投稿でお恥ずかしい限りですが、この本に出会えたことに感謝します。見城さん、中山先生、ありがとうございました。