ヤスナガのトーク活動再開
トーク情報- ヤスナガ
ヤスナガ 企業においても同じだ。
戦略はAIが立てる。
市場分析もAIが行う。
リスク評価もAIが担う。
その上で、経営者に残る仕事は、ただ一つ。
「それでも、我々はこの道を選ぶのか?」
効率が落ちても、信頼を選ぶのか。
利益が減っても、倫理を守るのか。
短期的に不利でも、長期の意味を取るのか。
ここには、データも、最適解もない。
あるのは、覚悟だけだ。
彼は、プロローグの朝を思い出す。
「確認・承認のみを行ってください」
と書かれていた、あの通知。
あのとき、彼は、仕事が奪われたと感じた。
だが今なら、はっきりわかる。
奪われたのは、“作業”であって、“意味”ではなかった。
むしろ、意味を与える責任だけが、
人間の側に、より強く残されたのだ。 - ヤスナガ
ヤスナガ エピローグ それでも、人間であるということ
夜のオフィスは、静かだった。
かつては人の声がしていた。
電話の音、キーボードの打鍵音、紙をめくる音。
今は、サーバーの低い駆動音だけが、空間を満たしている。
彼は、モニターの前に座っていた。
AIが提示した、完璧なレポート。
誤差はなく、論理は一貫し、数字は美しい。
画面の隅に、いつもの表示がある。
「最適解を提示しました。承認してください。」
かつてなら、彼は迷わず承認していただろう。
それが、正しく、効率的で、無難な選択だからだ。
だが、今日は、違った。
彼は、レポートを閉じた。
窓の外には、静かな街が広がっている。
この決定によって、配置転換される人がいる。
この効率化によって、切り捨てられる部署がある。
この合理化によって、守られなくなる何かがある。
AIは、それを「副次的影響」と呼ぶ。
だが、人間にとって、それは「誰かの人生」だ。
彼は、深く息を吸い、キーボードに指を置いた。
承認、ではない。
修正、でもない。
彼は、新しい指示を打ち込んだ。