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ヤスナガ

第14章 「学び直し」ではなく、「問い直し」の時代 資格の時代が終わったあと、社会は次の合言葉を探し始めた。 「リスキリング」 「学び直し」 「アップデートし続ける人材」 だが、それらの言葉には、どこか同じ匂いがあった。 “まだ正解がある”という前提だ。 何を学べばいいのか。 どのスキルが将来有望か。 どの資格が次に来るのか。 人々は、かつて資格を追いかけたのと同じ構造で、 「次の正解」を探し始めた。 だが、その探し方そのものが、すでに時代遅れだった。 なぜなら、答えを出すこと自体は、AIが担う時代だからだ。 新しい技術が生まれ、制度が変わり、市場が揺れ動くたびに、 「次はこれを学べ」「いや、こっちだ」と情報は氾濫する。 しかし、そのどれもが、数年後には陳腐化する。 学び直しても、また追い越される。 スキルを積んでも、より速く、より安く、より正確なAIが現れる。 この無限ループの中で、人間が消耗していく。 だからこそ、この章で示す答えは、残酷でありながら、明確だ。 人間に必要なのは、学び直しではない。 “問い直し”である。

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  • ヤスナガ
    ヤスナガ

    企業においても同じだ。

    戦略はAIが立てる。
    市場分析もAIが行う。
    リスク評価もAIが担う。

    その上で、経営者に残る仕事は、ただ一つ。

    「それでも、我々はこの道を選ぶのか?」

    効率が落ちても、信頼を選ぶのか。
    利益が減っても、倫理を守るのか。
    短期的に不利でも、長期の意味を取るのか。

    ここには、データも、最適解もない。
    あるのは、覚悟だけだ。

    彼は、プロローグの朝を思い出す。
    「確認・承認のみを行ってください」
    と書かれていた、あの通知。

    あのとき、彼は、仕事が奪われたと感じた。
    だが今なら、はっきりわかる。

    奪われたのは、“作業”であって、“意味”ではなかった。

    むしろ、意味を与える責任だけが、
    人間の側に、より強く残されたのだ。

  • ヤスナガ
    ヤスナガ

    資格は、役に立たなくなった。
    スキルも、すぐに陳腐化する。
    だが、問いだけは、陳腐化しない。

    人間が人間である限り、
    「それで、本当にいいのか?」という問いは、消えない。

    この時代において、
    プロフェッショナルとは、知識の量ではなく、
    問いの深さによって定義される存在なのだ。

  • ヤスナガ
    ヤスナガ

    エピローグ それでも、人間であるということ

    夜のオフィスは、静かだった。

    かつては人の声がしていた。
    電話の音、キーボードの打鍵音、紙をめくる音。
    今は、サーバーの低い駆動音だけが、空間を満たしている。

    彼は、モニターの前に座っていた。
    AIが提示した、完璧なレポート。
    誤差はなく、論理は一貫し、数字は美しい。

    画面の隅に、いつもの表示がある。

    「最適解を提示しました。承認してください。」

    かつてなら、彼は迷わず承認していただろう。
    それが、正しく、効率的で、無難な選択だからだ。

    だが、今日は、違った。

    彼は、レポートを閉じた。

    窓の外には、静かな街が広がっている。
    この決定によって、配置転換される人がいる。
    この効率化によって、切り捨てられる部署がある。
    この合理化によって、守られなくなる何かがある。

    AIは、それを「副次的影響」と呼ぶ。
    だが、人間にとって、それは「誰かの人生」だ。

    彼は、深く息を吸い、キーボードに指を置いた。

    承認、ではない。
    修正、でもない。

    彼は、新しい指示を打ち込んだ。

  • ヤスナガ
    ヤスナガ

    「別の選択肢を提示してほしい。
    効率が下がってもいい。
    人が残る案を。」

    数秒後、AIは即座に応答する。
    別案。コストは増える。収益性は下がる。
    だが、雇用は維持され、関係性は壊れない。

    彼は、それを見つめた。

    どちらが“正解”かは、わからない。
    だが、どちらを選ぶかは、彼が決める。

    彼は、エンターキーを押した。

    その瞬間、世界が少しだけ、彼の選択に従って動き出す。

    資格は、もう彼を守らない。
    肩書きも、専門性も、以前ほどの意味を持たない。

    だが、それでも。

    「私は、決めた。」

    この一文だけが、
    AIにも、制度にも、代替されない。

  • ヤスナガ
    ヤスナガ

    人間は、もはや最も賢い存在ではない。
    最も正確でも、最も速くもない。

    それでも、人間は、
    意味を引き受ける存在であり続ける。

    資格が終わり、
    正解が機械に委ねられた世界で、
    人間に残された最後の仕事は、ただ一つ。

    「それで、本当にいいのか?」と問い、
    その答えを、自分の名前で引き受けること。

    この物語は、資格を失った者たちの敗北ではない。
    それは、
    “人間とは何か”を、もう一度引き受け直す物語だ。

    そして、これからの時代に生きるすべての人間に、
    静かに、しかし確かに、こう問いかけている。

    ——あなたは、何を選ぶのか。

  • ヤスナガ
    ヤスナガ

    ↑1年以上前の見城さんのコメントが今になってズバズバ当たっている。高市では先が見えない。人気がある。政策も進んでいるように見える。しかし、中身はかなり空洞だ。3月ぐらいに解散か。