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吉田真悟

2020/10/18の先生の投稿 ※映画『スパイの妻』について [スパイの妻]は最初から一気に引き込まれた。胸を鷲掴みにされてグイグイ引っ張られる。映像も独特の世界観が滲んで大傑作の予感がした。さすがヴェネチア国際映画祭「銀獅子賞(監督賞)」とワクワクしながら観ていたが、後半の三分の一は失速した。謎は残ってもいいが、これでは何だか解らない。男の生き方と女の生き方を戦争という大波の中に描いたのはいいが、それぞれの人物の結末には疑問が残った。僕はそう思う。 蒼井優と高橋一生の演技は素晴らしく、僕が大好きな恒松祐里は美しい。感想はまた書く。 ビターズエンドが配給だから応援したい映画だ。 映画[スパイの妻]について書く。 冒頭からただならぬ気配があり、一気に心を掴まれる。見事である。だから最初から3分の2までは申し分がない。映画を観る快楽を満喫させられる。多分、この映画は女の生き方と男の生き方を描いた映画だ。その生き方と生き方が交錯する。僕はキャロル・リード監督の名作[第三の男]を思い出した。あの衝撃的で深い余韻を残すラスト。[スパイの妻]は映像もストーリーも役者も演出も世界観も申し分がない。しかし、残りの3分の1はどうだろうか?ネタバラシになってしまうので書くことが出来ないが、僕は不満が残った。あれ以上説明する必要がないという監督の意図は理解しているつもりだ。しかし、そうだろうか?あの終わり方では主要登場人物4人の人物造形が余りにも都合が良すぎる。つまり浅い。ここまでの作品を作って、何で?という疑問がどうしても残る。それは余韻ではない。単なる安易な道を選んだだけだと僕には思える。それが僕に言わせてもらえれば、惜しい。 しかし、それでも凄い映画であることは間違いない。 昨夜はずっと[スパイの妻]について考えていた。竹下文雄(=坂東龍太)のその後について、草壁弘子(=玄理)と福原優作(=高橋一生)の本当の関係について、津村泰治(=東出昌大)の葛藤について、あの決定的な場面で「お見事!」と叫んだ福原優作の妻・聡子(=蒼井優)の矜恃と哀しみについて、そして、何よりも福原優作の男としての生き方について。 謎は謎として映画の全体像から観た者それぞれが考えればいい。しかし、僕はもっと知りたかった。余韻はそこから先にあるものだと思う。その余韻の鮮やかさが僕にはなかった。どうしても[第三の男]のラストと比べてしまう。 それだけ[スパイの妻]は凄い映画であることは確かだ。是非、観て欲しい。 [第三の男]も[スパイの妻]も健気だが強烈で真っ直ぐな女の生き方の映画だ。 2020/12/19 僕の今年の邦画ベスト10 ①罪の声 ②喜劇 愛妻物語 ③アンダードッグ ④望み ⑤糸 ⑥スパイの妻 ⑦ミッドナイトスワン ⑧朝が来る ⑨コンフィデンスマンJP プリンセス編 ⑩今日から俺は‼︎ [番外] 三島由紀夫vs東大全共闘 僕たちの嘘と真実 Documentary of欅坂46

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