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前略 見城先生
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  • 吉田真悟
    吉田真悟

    ↑この人のブログの文章

    今回ご紹介する本は、横田慎太郎さんの『奇跡のバックホーム』(幻冬舎文庫)と中井由梨子さんの『栄光のバックホーム』(幻冬舎文庫)です。

    『栄光のバックホーム』を読書会で紹介いただきました。

    野球少年だった過去があるので興味を持ち読みました。

    将来を嘱望されながらも、脳腫瘍に侵されそれでも野球に向き合っていく横田慎太郎選手の自伝が『奇跡のバックホーム』です。

    その横田選手のお母様の視点から書かれたのが『栄光のバックホーム』です。

    併せて読むのをおすすめします。



    脳腫瘍の手術から一時は目が見えないという状況になりました。

    光を取り戻したあとも懸命のリハビリを行いました。

    その甲斐もあって体力や視力は戻ったのですが、視界のぼやけ等は最後まで治らずに引退をすることにしました。

    2軍での引退試合にはクライマックスシリーズ中にも限らず1軍選手が観にくるほどでした。

    横田選手の人望の厚さがうかがえます。

    8回裏2アウトから守備に入ります。

    そこで魅せたバックホームのプレーは今でも語り継がれています。



    プロ野球選手の父を持つ横田選手は昔からプロ野球選手になるのが夢でした。

    その大きな目標に対して小さな目標を立て、ひとつずつクリアをしていくという生活を送っていました。

    野球一筋であったので野球ができなくなるかもしれないと感じたときの絶望は想像を超えるものだと思います。

    それでも懸命にひた向きに野球に向き合っていきます。



    二冊読みながら、また映画を見ながら母親の存在の大きさと強さを感じました。

    私も入院生活を送ったことがあります。

    私の場合、精神疾患でしたが薬の副作用でほとんど記憶がない時期もあります。

    そんなときでも母親は欠かさずお見舞いに来てくれました。

    回復の過程でも福祉サービスを調べてくれたりと色々なサポートをしてくれました。

    今自分がこうして生活できているのも母親のおかげだなと思いました。



    母親とはいえ正解はわからないはずです。

    そのような中でも灯台のように行く先を照らしてくれる存在だと感じました。



    病気になってよかったと私は思ってはいません。

    それでも病気が教えてくれたことというのはたくさんあります。

    それを伝えていくということはできますし、それこそが私の使命でもあると思うのです。



    横田選手はお母様をはじめ家族やタイガースの選手、球団スタッフ、ファンなど多くの人に支えられました。

    それと同時に多くの人に生きた証を残してくれました。

    私自身限りある命を大切に使っていきます。

  • 吉田真悟
    吉田真悟

    ↑全文

    起き抜けに「今日も目が覚めました。ありがとうございます」と、朝の目覚めに感謝することなどまだない。いい歳だが自分が明日、目覚めないかもしれないなどと思いもしない。


     元阪神の野球選手、横田慎太郎は28歳にして毎朝の光に感謝する。父と息子2代に渡るプロ選手の夢をかなえた直後に、脳腫瘍の診断を下された横田の人生が描かれる。

     泣けと強制される映画が苦手だ。見る前から悲劇の青年の話にそんな匂いがしたらと思ったが杞憂(きゆう)に終わる。短い人生を精いっぱい駆け抜けた横田の勇気は、かわいそうなどという安直な同情心を笑ってくれる。

     長いも短いも結果なのであって、今日一日をどう生きたかという事だけが、未来へつながるのだと横田は教えてくれる。涙は横田への憐憫(れんびん)ではなく自身のふがいなさを思い知り流れる。

    (スターシアターズ・榮慶子)