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意を払いながら動き回り、過剰なまでの姫扱いをされた。  ファッション誌にファッションショー、ラジオにバラエティにドラマに映画になにからなにまで引っ張りだこ。歌手デビューまでして日本中からもてはやされ、芸能界に憧れる女の子が欲しがるものをわたしは全て手に入れた。  でもわたしは幸せじゃなかった。  全然、幸せじゃなかった。  数々の大きな賞をもらっても他人事のようにしか思えず、なんにも嬉しくなかった。  わたしが生きてたその日々はわたしの人生のはずなのに、わたしには仕事をチョイスする権利もなければ、減る暇もなく働いてるこの仕事でいくらもらってるかすら知らなかったし、自分がやりたいことをする時間なんてまったくなかった。  誰かが勝手に決めたことの責任。負う理不尽さは、だんだんわたしの心を壊していっあーた。  そんな日々が続いて、わたしはとうとう仕事へ行かなくなった。  芸能人なら誰もがやりたいであろう大手企業のCM撮影も、夢のようなはずの表紙撮影も、全てやめた。  ただやめたといってもそんなに簡単なわけはない。代用のきかない仕事なだけにそれまではどんなに熱があろうと必ず時間前に現場入りし仕事をこなしてきたわたしには、この決断がどれだけのかかることなのか、簡単に想像がついた。  それでもわたしはもう、自分で稼いだお金なのに金額も知らされず親に管理されて勝手に使われたりすることも、自分の体なのに爪ひとつやりたいようにできないことも、本当は泣きたいのにカメラの前で元気いっぱいにおちゃらけることもできなくなってしまっていた。  仕事に行かなかったことで凄まじい額の違約金が発生したり、周りの大人たちに多大なる迷惑をかけたことを思い出すと、今でも胸が苦しくなる。  そんなふうに自分の輝かしい地位を自ら捨てたあとのわたしもまた、全然幸せじゃなかった。それまで売れっ子として生きてきたのにいきなりの転落ぶりに周りの目が恐ろしかったし、トップとして仕事をしていない自分の価値はどこにあるのか、そんな自分を誰にも見られたくなくて生きているのが恥ずかしかった。  それまでわたしは両親に、「わたしは芸能活動を、そんなに長くはできないと思う。だからお願いだから貯金だけはしておいてほしい」と何度も頼んでいた。

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    ウチの庭の、金木犀。
    花が、咲き誇りまくっちょります ©︎ろこ。
    薫りを、振り撒きまくっちょります ©︎ろこ。


    金木犀を見ると、私は小学校の「手洗所」を思い出すんです。

    木造二階建ての校舎に、千人からの児童が通う、マンモス小学校だった、我が母校。
    裏門のそばに、別棟でトイレが建ててありました。
    石の壁に用をたして、下の幅広な溝を流してるいく、小便所。
    もちろん汲み取り式の、大便所。
    風が吹くと、カラカラと音を立てて回るトップエンドがついた、あまり役に立っていそうもない、排気用の煙突。

    母校の、百年からの歴史を物語る、古い古い作りの、「手洗所」の看板も凛々しい、由緒正しきトイレだったんです。

    そのそばに、消臭用も兼ねてでしょう、大きな金木犀が植えられていました。
    秋の盛りには、それはもう甘くて芳しい薫りで、トイレの悪臭を和らげてくれていたんです。


    金木犀で思い出す、もう一つのもの。
    それは、あの曲なんです。

    鳳晶子さんの「みだれ髪」を入れた歌詞から、「明星」を「みやうじやう」と読む粋。
    与謝野鉄幹との道ならぬ恋の、自らの熱情を歌った歌集を持ってくる若さ。
    「あの高速道路の〜」の疾走感は、晶子の熱い歌の引用で、よりその勢いを増すように感じられます。

    一発屋でしたが(失礼)、この曲は、私には忘れえぬ名曲なんです。

    それでは聴いてください、
    キンモクセイで
    『二人のアカボシ』



    ( 。・_・。 ) 53

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    ホワイト

    『二人のアカボシ』
    演奏:キンモクセイ
    作詞:伊藤俊吾
    作曲:伊藤俊吾

    夜明けの街 今は こんなに
    静かなのに また これから 始まるんだね
    眠る埋立地(うみべ)と 化学工場の
    煙突に 星が 一つ 二つ 吸い込まれ

    沢山 並んだ 街の蛍たちも
    始まる今日に 負けて
    見えなくなってゆく
    君とも 離れることになる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    消えそうに 欠けてゆく月と
    被さる雲は そのままに
    二人のアカボシ
    遠くへと 連れ去ってしまおうか


    橋の継ぎ目と 二人に届く
    電波には 懐かしいあのメロディーが
    聞こえてるかい 「みだれ髪」に
    沁みるよう 明星(みやうじやう) 遥か 彼方へ

    見渡せば 青 続く信号機が
    二人の想いを
    照らせばいいのにな
    明日の僕らは 何処にいる

    また 今日も 汚れてく街は
    蝕む煙を 吐き出す
    君の 知らない
    遠くへと 連れ去ってしまおうか

    瞬かない星が 一つ
    夜明けの街に 消えてゆく
    二人 ここから
    宛てのない明日を 探そうか



    僕の決意と 伝えきれない
    想いが 街の音に 消えないうちに

    朝焼けの水蒸気が
    隣の空を彩る
    懐かしいメロディーは
    風と共に 終わる
    君の 髪の毛が 震えてる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    さようなら 街の灯りと
    月夜と 二人のアカボシ
    最後の想いは
    君が 振り向く前に 話そうか


    夜明けの街

    夜明けの街

    夜明けの街



    ( 。・_・。 ) ♪

    #二人のアカボシ
    #キンモクセイ