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そして、もうどうしても仕事に行けなくなってしまったタイミングで親のところへ行き、わたしはもう現場に行けない、でも生きていかなくちゃならない。芸能界以外でできる仕事を探すからそれまでの生活費に今までわたしが働いて稼いだ貯金を分けてほしいとお願いしに行った。  両親はわたしの稼いだお金で借りた豪邸の玄関で顔を青ざめさせ、よくわからない言い訳を繰り返し、数時間後に持ってきた通帳には豪邸の家賃の1ヶ月にも満たない額しか残っていなかった。  それまでに親にされてきたことや彼らの性格から、あまり貯金をしてくれていないことはなんとなく予想していたけれど、まさか月々入ってきてるはずの収入をここまで使つていたとは思っていなかったから、わたしは愕然とした。  そのタイミングからわたしの働いたお金は親ではなくわたしの口座に振り込んでもらうことになった。  自分のやりたいことを我慢して大人に言われることをこなし続けたことで手に入れた『わたしは売れっ子なんだ』という自信なんて簡単に崩れ落ちてすっかりなくなっていた。どん底まで落ちていったわたしを周りの大人たちは更生させようと色々言ってくれたけど、誰にも会いたくなくて仕事なんてしなければしないほどいいやと、『できる限り働かない』をモットーに過ごすことに決めた。  今までとガラリと変わった毎日をどう過ごせばいいのかわからなくて、わたしは毎日途方に暮れていた。  そのころは興味があるものが全然なくて、毎晩飲んだくれたり子どものころから大好きだった海でひたすら過ごしたりと、自分と向き合わずいつも逃げていた。  自分たちの生活資金を100%わたしの稼ぎで賄っていた両親は、わたしが働かなくなって最低限のお給料しかもらわなくなってからも、いつもわたしのところへきては自分たちが使うお金を用意するように言った。両親の生活費をわたしが用意できなかったら自分たちは生きていけないから、そうしたら吉川ひなのの両親が・・・・・・、とニュースになり大変な思いをさせてしまう。それだけは避けたいと尚もわたしを追い詰めた。  一人暮らしをするわたしの家の前にはいつも、母親からわたしにお金を用意させるようにと命令された父親が待ち伏せしていた。  あるとき朝帰りしたわたしは、郵便物でぱんぱんのポストを久しぶりに開け、家に帰って眠っていないぼーっとした頭でひとつひとつ開封しているとそこに成人式を知らせるハガキを見つけた。日時を見るとわたしの成人式はちょうどその日の数時間後で、今

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    ホワイト
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    ウチの庭の、金木犀。
    花が、咲き誇りまくっちょります ©︎ろこ。
    薫りを、振り撒きまくっちょります ©︎ろこ。


    金木犀を見ると、私は小学校の「手洗所」を思い出すんです。

    木造二階建ての校舎に、千人からの児童が通う、マンモス小学校だった、我が母校。
    裏門のそばに、別棟でトイレが建ててありました。
    石の壁に用をたして、下の幅広な溝を流してるいく、小便所。
    もちろん汲み取り式の、大便所。
    風が吹くと、カラカラと音を立てて回るトップエンドがついた、あまり役に立っていそうもない、排気用の煙突。

    母校の、百年からの歴史を物語る、古い古い作りの、「手洗所」の看板も凛々しい、由緒正しきトイレだったんです。

    そのそばに、消臭用も兼ねてでしょう、大きな金木犀が植えられていました。
    秋の盛りには、それはもう甘くて芳しい薫りで、トイレの悪臭を和らげてくれていたんです。


    金木犀で思い出す、もう一つのもの。
    それは、あの曲なんです。

    鳳晶子さんの「みだれ髪」を入れた歌詞から、「明星」を「みやうじやう」と読む粋。
    与謝野鉄幹との道ならぬ恋の、自らの熱情を歌った歌集を持ってくる若さ。
    「あの高速道路の〜」の疾走感は、晶子の熱い歌の引用で、よりその勢いを増すように感じられます。

    一発屋でしたが(失礼)、この曲は、私には忘れえぬ名曲なんです。

    それでは聴いてください、
    キンモクセイで
    『二人のアカボシ』



    ( 。・_・。 ) 53

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    ホワイト

    『二人のアカボシ』
    演奏:キンモクセイ
    作詞:伊藤俊吾
    作曲:伊藤俊吾

    夜明けの街 今は こんなに
    静かなのに また これから 始まるんだね
    眠る埋立地(うみべ)と 化学工場の
    煙突に 星が 一つ 二つ 吸い込まれ

    沢山 並んだ 街の蛍たちも
    始まる今日に 負けて
    見えなくなってゆく
    君とも 離れることになる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    消えそうに 欠けてゆく月と
    被さる雲は そのままに
    二人のアカボシ
    遠くへと 連れ去ってしまおうか


    橋の継ぎ目と 二人に届く
    電波には 懐かしいあのメロディーが
    聞こえてるかい 「みだれ髪」に
    沁みるよう 明星(みやうじやう) 遥か 彼方へ

    見渡せば 青 続く信号機が
    二人の想いを
    照らせばいいのにな
    明日の僕らは 何処にいる

    また 今日も 汚れてく街は
    蝕む煙を 吐き出す
    君の 知らない
    遠くへと 連れ去ってしまおうか

    瞬かない星が 一つ
    夜明けの街に 消えてゆく
    二人 ここから
    宛てのない明日を 探そうか



    僕の決意と 伝えきれない
    想いが 街の音に 消えないうちに

    朝焼けの水蒸気が
    隣の空を彩る
    懐かしいメロディーは
    風と共に 終わる
    君の 髪の毛が 震えてる

    あの 高速道路の橋を
    駆け抜けて 君 連れたまま
    二人 ここから
    遠くへと 逃げ去ってしまおうか

    さようなら 街の灯りと
    月夜と 二人のアカボシ
    最後の想いは
    君が 振り向く前に 話そうか


    夜明けの街

    夜明けの街

    夜明けの街



    ( 。・_・。 ) ♪

    #二人のアカボシ
    #キンモクセイ