ヤスナガのトーク活動再開
トーク情報- ヤスナガ
ヤスナガ AIの出力をなぞっただけの仕事は、履歴にならない。
だが、AIの提案を前にして、あえて別の道を選んだ記録は、残る。
成功であれ、失敗であれ、そこには「その人の判断」があるからだ。
ここで、人間のプロフェッショナル像は完全に変わる。
かつて:
「正しい答えを出せる人」
これから:
「正しさの意味を定義できる人」
この違いは、決定的だ。
正しい答えは、誰でも持てる。
だが、「何を正しいとするか」を決めることは、代替できない。
資格が失効した世界で、人間が再び価値を持ったのは、
この“意味を与える力”においてだった。
彼は、ふと、自分の名刺を思い出す。
そこに書かれていた、いくつもの資格。
それらはもう、彼を守ってはくれない。
だが、代わりに、彼には「選び続けてきた記録」があった。
効率ではなく、信頼を選んだとき。
正解よりも、納得を選んだとき。
AIの提案に従わなかった、いくつかの瞬間。
それらは、誰にも証明できない。
だが、彼自身だけは知っている。
「私は、決めてきた。」
肩書きも、資格もない。
だが、その言葉だけが、彼の仕事の本質だった。 - ヤスナガ
ヤスナガ 第14章 「学び直し」ではなく、「問い直し」の時代
資格の時代が終わったあと、社会は次の合言葉を探し始めた。
「リスキリング」
「学び直し」
「アップデートし続ける人材」
だが、それらの言葉には、どこか同じ匂いがあった。
“まだ正解がある”という前提だ。
何を学べばいいのか。
どのスキルが将来有望か。
どの資格が次に来るのか。
人々は、かつて資格を追いかけたのと同じ構造で、
「次の正解」を探し始めた。
だが、その探し方そのものが、すでに時代遅れだった。
なぜなら、答えを出すこと自体は、AIが担う時代だからだ。
新しい技術が生まれ、制度が変わり、市場が揺れ動くたびに、
「次はこれを学べ」「いや、こっちだ」と情報は氾濫する。
しかし、そのどれもが、数年後には陳腐化する。
学び直しても、また追い越される。
スキルを積んでも、より速く、より安く、より正確なAIが現れる。
この無限ループの中で、人間が消耗していく。
だからこそ、この章で示す答えは、残酷でありながら、明確だ。
人間に必要なのは、学び直しではない。
“問い直し”である。 - ヤスナガ
ヤスナガ 何を学ぶか、ではない。
**「何を問題だと定義するか」**である。
・この効率化は、本当に必要なのか
・この最適化は、誰を犠牲にしているのか
・この判断は、十年後の社会に何を残すのか
これらの問いには、正解がない。
そして、正解がないからこそ、AIには答えられない。
AIは、与えられた目的を最大化する。
だが、**「その目的自体が正しいのか」**を問うことはできない。
この世界で、最後まで人間の仕事として残るのは、ただ一つ。
「何を目的にするかを決めること」
企業であれ、国家であれ、個人であれ、
AIに任せられるのは“どうやるか”までだ。
“なぜやるのか”は、常に人間の領域に残る。
だから、これからの教育は、根本から変わっていく。
暗記よりも、対話。
正解探しよりも、問題設定。
模範解答よりも、価値観の衝突。
子どもたちに求められるのは、
「速く解く力」ではなく、
**「何を解くべきかを疑う力」**になる。 - ヤスナガ
ヤスナガ 企業においても同じだ。
戦略はAIが立てる。
市場分析もAIが行う。
リスク評価もAIが担う。
その上で、経営者に残る仕事は、ただ一つ。
「それでも、我々はこの道を選ぶのか?」
効率が落ちても、信頼を選ぶのか。
利益が減っても、倫理を守るのか。
短期的に不利でも、長期の意味を取るのか。
ここには、データも、最適解もない。
あるのは、覚悟だけだ。
彼は、プロローグの朝を思い出す。
「確認・承認のみを行ってください」
と書かれていた、あの通知。
あのとき、彼は、仕事が奪われたと感じた。
だが今なら、はっきりわかる。
奪われたのは、“作業”であって、“意味”ではなかった。
むしろ、意味を与える責任だけが、
人間の側に、より強く残されたのだ。 - ヤスナガ
ヤスナガ エピローグ それでも、人間であるということ
夜のオフィスは、静かだった。
かつては人の声がしていた。
電話の音、キーボードの打鍵音、紙をめくる音。
今は、サーバーの低い駆動音だけが、空間を満たしている。
彼は、モニターの前に座っていた。
AIが提示した、完璧なレポート。
誤差はなく、論理は一貫し、数字は美しい。
画面の隅に、いつもの表示がある。
「最適解を提示しました。承認してください。」
かつてなら、彼は迷わず承認していただろう。
それが、正しく、効率的で、無難な選択だからだ。
だが、今日は、違った。
彼は、レポートを閉じた。
窓の外には、静かな街が広がっている。
この決定によって、配置転換される人がいる。
この効率化によって、切り捨てられる部署がある。
この合理化によって、守られなくなる何かがある。
AIは、それを「副次的影響」と呼ぶ。
だが、人間にとって、それは「誰かの人生」だ。
彼は、深く息を吸い、キーボードに指を置いた。
承認、ではない。
修正、でもない。
彼は、新しい指示を打ち込んだ。