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ちゅーそん

恩田陸さんの「蜂蜜と遠雷」を読みました。 読んでいる間、いつも恍惚の中に包まれていました。こんなにも純粋にピアノに打ち込む求道者達。 華道家とのシーンでの風間塵の言葉、 「再現性という点では、生花と音楽は同じでほんの一瞬。ずっとこの世にとどめておくことはできない。いつもその一瞬だけで、すぐに消えてしまう。でも、その一瞬は永遠で、再現している時には永遠の一瞬を生きることができる。」 私は音楽ロックフェスによく出かけます。サタニックカーニバル、AirJAM、サマーソニック、ロッキンジャパン、氣志團万博。そこにはバンドの強いメッセージ、演奏があり、観客は、それぞれが抱え日常ではひた隠している過去の悲しみ、虚しさ、諦め、喜び、努力、未来への畏怖をライブを通して感じ、そして涙を流す。流す涙は、人それぞれの軌跡であり、そのグループはあたかも永遠であるかのように思えるが、それは一瞬にして消えてしまう。だから、また足を運んでしまう。 音楽は普遍であり、不変の真理である。タワレコでいう「No Music No Life」なのだ。 「蜂蜜と遠雷」を読みながら、永遠に風間塵、栄伝亜夜、マサル・カルロス・レヴィ・アナトールの三人の音楽家の物語を感じていたいと願いながらも、それは一瞬であり、また小説が読みたいと本屋へ足を運んでしまうのです。

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