ikutamaのトーク
トーク情報ikutama 見城徹見城徹 [かに吉]山田大将の凄さは「カニ」への想像力だ。そして、カニだけではなく野菜をはじめパンや米まで全ての食材に精通している。全ての旬が頭に入っている。カニを中心にどれとどれをどうやって料理し、掛け合わせるかを天才的な閃きで決めて行く。そのプロセスの繊細さと圧倒的努力は息を呑む。かくしてこの世あらざる料理がその日の客に供される。その日の天候や温度や湿度、大将の気分や店の空気が関係するから同じ料理は2度と出来ない。客は大将の葛藤と瞬時の判断を堪能するのだ。日本全国から毎日鳥取まで客を集め、[かに吉]を予約が取れない店にしているのは山田達也大将の料理に賭ける「真心」だ。
店を出る時、山田大将と客は「真心」で通じている。だから、自然に涙が出る。僕は[かに吉]を出る時、泣いていた。[かに吉]はそういう店だ。ikutama 見城徹見城徹 それぞれがそれぞれの切ない事情で生きている。目立つ能力もなく、目立ちたいとも思わず、日々を誠実に生きている人々。昨日まで悲しかった、昨日まで嬉しかった、自分の運命を受け入れて黙々と僕の傍らを歩いている無数の影たちよ。その溜息。その息遣い。その歩み。その微笑。その悲鳴。僕の自己嫌悪を意にも介さず、彼らは痛々しいほど真っ直ぐに通り過ぎて行く。僕はあなた方と抱擁出来るだろうか?僕の戦い、僕の人生はあなた方と交錯出来るだろうか?僕のスピード、僕のサーカス、僕のパラドックス、僕の苛立ち、僕のジャンプ。僕の絶望。僕の歓喜。僕の孤立。僕の誠意。僕とあなた方は引き剥がされる。無力が全身を覆い泣きたくなるような朝。僕は破局の予感の暗い階段を昇り続けるしかない。

